3.0L直6ガソリンターボに197psのモーター
BMW 7シリーズの運転席へ座ると、ひと味違うラグジュアリー・サルーンだと気付く。ボンネットに収まるエンジンから、特徴的なサウンドが耳へ届くからだ。BMW M3とは違う目的のサルーンだが、他のプラグイン・ハイブリッドとも違う。
【画像】ベストはBEVのi7 BMW 7シリーズ M760e xドライブ 競合のハイブリッド・サルーン 全122枚
今回試乗したM760eの主な動力源となるのは、3.0Lの直列6気筒ガソリン・ターボエンジン。8速ATと一体になった197psの駆動用モーターが、フロア部分に敷かれた17.6kWhの駆動用バッテリーによる電力で、アシストを加える。
BMW X5 50eほど、そのバッテリーの容量は大きくないものの、1度の充電で74kmから77km程度は走れる能力を持つ。英国の場合、自動車にかかる現物給付税の税率を低く抑えられる。メルセデス・ベンツSクラスと、良い勝負ができる。
現在のBMWは、同じシャシーに多様なパワートレインを搭載する戦略を取っている。新しい7シリーズの場合、基礎骨格をなすのはCLARプラットフォーム。バッテリーEVのi7や、市場は限定されるが、内燃エンジンだけで走る選択肢もラインナップする。
英国の場合、内燃エンジンを搭載する7シリーズはプラグイン・ハイブリッドのみ。今回のM760eのほかに、パワーを抑えた750eも導入される。どちらも、エアサスペンションと四輪駆動が標準装備となる。
ボディサイズは、先代のロングホイールベース版と比べても大幅に拡大された。全長は5391mm、ホイールベースは3215mmもある。
シアタールームのような31インチモニター
車内は広々。後席側の空間は、特に前後方向でゆとりを感じる。
試乗車にはオプションのエグゼクティブ・パッケージが備わり、シアタールームのようだった。天井に31インチの巨大なフリップダウン・モニターが据えられ、シートは深くリクライニングできる。
難しいとは思うが、フリップダウン・モニターの位置は、もう少し前方でも良いだろう。大きな映画館で、最前列へ座ったような気分になるかもしれない。とはいえ、190cm近い身長がある友人も問題なくくつろげていた。
ドアパネルには、タッチコマンドと呼ばれるタッチモニターが実装されている。インフォテインメント・システムの操作や、エアコンの温度調整などを手元でできる。子どもを乗せると、いたずらされるが。
フロントシート側も、極めてラグジュアリー。レザー張りのシートは適度にソフトで、ダッシュボード上部にはモニターが2面続いたワイドなパネルが鎮座する。大きなボディには、ちょうど良いサイズに見える。
エアコンの操作系はタッチモニターへ埋め込まれているが、インフォテインメントやナビはロータリー・コントローラーやボタンで操作でき、使い勝手は良い。他の新モデルにも、反映させてもらいたい。
インテリアのデザインには上品さが薄いものの、中国やアメリカが主な市場だと考えれば納得できる。ダッシュボードの化粧トリムは、クリスタル風に加工されたプラスティックだったが、好みはわかれるだろう。
新しい7シリーズのベストはBEVのi7
M760eを発進させると、初めは駆動用モーターだけでボディを動かす。非常に滑らかで気持ちが良い。エンジンが始動しても、穏やかに走っている限り主張は控えめ。ゆったり幹線道路を流せる。本気を出せばかなり鋭く、0-100km/h加速は4.3秒でこなす。
8速ATはシームレスに変速を繰り返し、駆動用モーターがトルクのギャップを埋めるため、高い速度域までリニアにスピードが上昇していく。ドラマチックさは薄いかもしれないが、7シリーズが求めるものとしては理想的といっていい。
乗り心地は、秀抜なi7には恐らく届いていない。直接は乗り比べていないものの、M760eでは深いワダチなどの入力をなだめきれず、荒れたアスファルトとの隔離性も際立つほど優れているとは感じなかった。
i7は素晴らしい衝撃吸収性を披露するが、M760eでは、強い負荷がかかるとタイヤが上下に動く影響が車内へより伝わる印象。フル加速時やコーナリング時は、エアサスペンションがバネ下重量をさばききれていない様子もあった。
そのかわり、i7よりボディロールは控えめ。ステアリングの正確性も高く好ましい。S字カーブのように切り返す場面では、2525kgもあることを隠しきれていないが。
確かに、直列6気筒エンジンのサウンドは聴き応えがある。しかし、ドライバーズカーとして明確なアドバンテージがあるわけではないだろう。新しい7シリーズでのベストチョイスは、バッテリーEVのi7といえるかもしれない。
BMW 7シリーズ M760e xドライブ(英国仕様)のスペック
英国価格:12万945ポンド(約1947万円)
全長:5391mm
全幅:1950mm
全高:1544mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.3秒
燃費:83.2-91.0km/L
CO2排出量:25-27g/km
車両重量:2525kg
パワートレイン:直列6気筒2998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:17.6kWh
最高出力:571ps(システム総合)
最大トルク:81.4kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック
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みんなのコメント
散々向こうで言われてたのが詰まらない車がトヨタHV車の代名詞的にもなっていたから
USでもタクシーに使われてるが車好きからは指を差される様な位置付けだった