小さい、可愛いがホンダ・モンキーの特徴。しかしそれだけではない! かつての50cc・8インチ車は走りでガマンすることが多かったけれど、モンキー125に生まれ変わって大きく進化した。これは立派なスポーツバイクだ!
ホンダ「モンキー125」は、小さいからってアソビじゃないミニスポーツバイク(太田安治)
僕の最初の愛車は、高校通学用に手に入れたモンキーZ50Mだった。「猿」というより小動物のような愛らしさと、気軽に乗れそうな小ささが気に入っていたが、前後リジット(サスペンションなし)に5インチタイヤという足回りは小さなギャップでもピョコピョコ跳ね回り、シフト操作でさえ車体が暴れる。
右左折の手信号(信じられないことにウインカーが装備されていなかった)で左手を離すのも恐ろしく、幹線道路を走るだけで緊張する。実は初心者には扱いにくいオートバイだった。
フルチェンジされたZ50Aから前後タイヤが8インチになり、フロントサスペンションとウインカーも装備して実用性は格段に向上したが、僕からすると「なんとか大通りも走れるようになった」というのが素直な印象。
大学時代には、先輩から74年型Z50Jを貰って、アパートの6畳一間に持ち込んでボアアップキットやハイカム、ビッグバルブ、大径キャブレターだのを組むことに熱中した。ここで覚えたメカニズムの基礎は今も役立っているし、オートバイ誌の仕事に関わってからはゴリラ系を含め、横型エンジン全モデルに乗っているので、モンキーとは不思議な縁を感じるんだ。
それだけに17年に生産終了になったときには旧友との永遠の別れが来たような寂しさがあったが、現在の交通環境下では50ccエンジンの動力性能も、小さな車体ゆえの操縦性も安全とは言えない。ミニマムトランスポーターが125ccクラスに移っていく流れの中で、50ccのモンキーは役目を終えたのだ、と考えるようにしていた。
だから18年に登場したモンキーが125ccのエンジンを搭載し、車体が50cc時代よりふた回り大きくなったことは、時代に合った新型モデルとして「モンキー」のネームバリューとデザインを活かしたのだと納得できた。
ベースとなったのがグロムなので小動物のような愛らしさは薄れたが、前後ホイールからタンク/シートにかけての台形シルエットは紛れもなくモンキー。メッキパーツの多用で質感も高く、眺めて愛でる対象にもなる。
走行性能はごく普通の125ccバイクだ。直進安定性も高く、ギャップ通過時の落ち着きもいい。エンジンは低回転から高回転までフラットに回転が上昇する特性。ゼロ発進が楽で60km/h程度までの加速も力強いから、交通の流れに飲み込まれることはない。
クラッチ付き4速ミッションを駆使しての走りにはスポーツモデル的な爽快さ、面白さがあるし、ブロックパターンのタイヤを履いているからオフロードで遊ぶこともできる。
最初の一台に迷っているエントリーライダーはぜひ試乗してみてほしい。クラッチのないスクーターやカブ系とはまるで違う楽しさを知らないのはライダーとして損だとさえ思う。モンキー125が単に可愛いオートバイではないことを知って欲しい。
ホンダ「モンキー125」の特徴
ミニサイズながら、ライディングポジションには余裕があり、長時間ライドも快適。シート高は775mm、8インチ時代は660mmのことが多く、可愛いサイズでも乗りにくかった。(ライダー身長:176cm)
ホンダ「モンキー125」主なスペックと価格
[ 表が省略されました。オリジナルサイトでご覧ください ]
文:太田安治/写真:森 浩輔
[ アルバム : ホンダ「モンキー125」 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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