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技術の日産が本気出したらスゴいことに!? 8代目「U12型 ブルーバード」を振り返る

掲載 更新 9
技術の日産が本気出したらスゴいことに!? 8代目「U12型 ブルーバード」を振り返る

■一気に高性能化にシフトしたブルーバードとは

 日産の自動車製造は100年以上もの歴史がありますが、第二次大戦後に自動車製造を再開した同社は、イギリスのメーカーであるオースチン車のノックダウン生産から開始しました。

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 そして、ノックダウン生産で学んだ技術を生かして1955年に自社開発の「110型 ダットサン乗用車」を発売し、1957年には110型の後継車である「210型 ダットサン 1000セダン」が登場。

 しかし、どちらのモデルもデザインやメカニズムは前時代的でした。

 そこで、1959年に初代「310型 ダットサンブルーバード」が発売されると、デザインやメカニズムは一気にモダンに変貌。

 その後ブルーバードは代を重ね、1967年に発売された「510型 ダットサンブルーバード」は日本のみならずアメリカでもヒットを記録し、日産の世界進出の足がかりとなります。

 こうしてブルーバードは日産の主力車種の1台となり、大ヒットした6代目の「910型 ブルーバード」が最後のFR駆動で、7代目ではFF化することで時代の変化に対応しました。

 そして、1987年に登場した8代目の「U12型 ブルーバード」は、それまでのコンセプトを大きく変えた、ターニングポイントとなったモデルです。

 このU12型 ブルーバードについて、振り返ります。

※ ※ ※

 U12型 ブルーバードは先代のU11に続いてFFを基本として開発されました。発売当初は4ドアセダンと4ドアハードトップで、先代まであったステーションワゴンやバンは廃止。

 ボディサイズは全長4520mm×全幅1690mm×全高1390mmと、同年代の「スカイライン」よりもややコンパクトです。

 搭載されたエンジンは全グレードとも直列4気筒で、排気量は1.6リッター、1.8リッター、1.8リッターターボ、そして2リッターディーゼルをラインナップし、トランスミッションは3速AT、4速AT、5速MTが設定されています。

 外観は先代が910型からのキープコンセプトで直線基調だったのに対し、U12型ではボンネットのラインをわずかに傾斜させ、全体的に角を丸くすることで、オーソドックスなセダンのフォルムながらもスマートな印象に変貌。

 内装のデザインも、外観と同様に直線基調だった先代にくらべ、やわらかくラウンドしたメータークラスターやダッシュボードを採用したことで、一気に世代が変わったことをアピールしています。

 そして、U12型最大のトピックスはトップグレードの「SSSアテーサリミテッド」にありました。

 SSSアテーサリミテッドに搭載されたエンジンは1.8リッターDOHCターボ「CA18DET型」で、最高出力は175馬力を発揮。

 駆動方式はセンターデフにビスカスカップリングを組み合わせた、新開発のフルタイム4WDシステム「アテーサ」を採用。

 アテーサは前後駆動トルク配分50:50を基本とし、前後輪で回転差が生じるとビスカスカップリングの作用でセンターデフの差動を制限して、駆動力を確保するというもので、左右輪でいうところのLSDと同様な仕組みです。

 アテーサに加え、4輪操舵システム「HICAS」と「STC-Sus(スーパー・トー・コントロール・サスペンション)」の採用によって、高い旋回性能と安定した走りを実現しています。

 こうして一気に高性能化したブルーバードは新たなステージへと向かいました。

■モータースポーツへの参画と豪州モデルの導入

 SSSアテーサリミテッドと同時に、モータースポーツへの参画を果たすために、ニスモによって開発され、オーテックジャパンによって生産されたのが「SSS-R」です。

 エンジンはSSSアテーサリミテッドのCA18DET型をベースに、専用のピストンやカムシャフト、ターボチャージャー、ステンレス製エキゾーストマニホールド、ブーストアップなどにより最高出力185馬力にチューンナップした「CA18DET-R型」を搭載。トランスミッションはクロスレシオの5速MTのみとなっています。

 また、快適装備を排除して軽量化され、室内にはロールケージを標準装備したことで2名乗車(後期型では4名乗車)です。

 外観は廉価グレードの加飾に近く、インタークーラーに導風するためにボンネットに取り付けられたエアスクープが控えめに高性能さをアピールしています。

 オプションで大型の補助灯や、アンダーガード、タワーバーなどが装備できるなど、購入してすぐにでも競技に参加することも可能でした。

 SSS-Rは主に国内のラリー選手権で活躍したことで、かつてサファリラリーで優勝して「ラリーの日産」と言わしめた510型 ダットサンブルーバードを彷彿とさせました。

 その後、1989年のマイナーチェンジでは1.8リッターエンジンが「SR型」に換装され、上級グレードは2リッターとなり、SSSアテーサリミテッドの最高出力は205馬力に向上し、SSS-Rも同じく205馬力となります。

 そしてもう1台、U12型で忘れてはならないのが、1991年に発売された「ブルーバード オーズィー」です。

 日産は1976年にオーストラリアで現地生産を開始し、国内モデルをベースに現地のニーズに合った独自の車種も生産。そのなかのひとつがブルーバード オーズィーで、日本では輸入車として販売されました。

 なお、「オーズィー」の車名は、「オーストラリアの、オーストラリア人」という意味を持つ「Aussie(オージー)」に由来。

 ブルーバード オーズィーのボディはステーションワゴンタイプの5ドアハッチバック車で、外観はセダンと同様のフロントフェイスに、ロングルーフに大きく傾斜したリアハッチを備え、スタイリッシュなフォルムを実現しています。

 また、前後にスポイラーを装備し、エンジンは日本向け専用に2リッター直列4気筒DOHCを搭載するなど、スポーティさを強調しています。なお、トランスミッションは4速ATのみです。

 使い勝手も良いモデルのはずでしたが、ブルーバード自体のフルモデルチェンジもあって、わずか3か月ほどで販売を終了。期間限定の販売に留まり販売台数も少なく、いまではかなり貴重なクルマとなっています。

 こうして、U12型ブルーバードは9代目のU13型にバトンタッチするかたちで、1991年に販売を終了。以降も高性能なモデルもラインナップされましたが、モータースポーツからはU12型をもって撤退し、1996年に登場した10代目のU14型をもって、2001年にブルーバードの歴史は幕を閉じました。

※ ※ ※

 かつて、日産の屋台骨を支えていたうちの1台だったブルーバードは生き残れませんでしたが、いまも数多くの愛好家がいます。

 そしてオーナーズクラブもいくつもあり、印象的なのが世代別でクラブが分かれていることです。

 たとえば初代の310型から、410型、510型、910型、U11型、U12型など、個別にオーナーズクラブが存在し、活動しています。

 さらに日産車では、決して高性能なモデルや特別なモデルでなくても、「サニー」など普通の大衆車でもオーナーズクラブがあることが特徴で、日産の旧車系クラブは国内でもっとも多いといわれています。

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みんなのコメント

9件
  • 定期的に出る使いまわしネタ
    そしてHICASなんぞついて無いのに、毎度指摘されてもHICAS付
  • 随分持ち上げた記事だけどこのブルーバードに乗せたエンジン・・・オイル漏れ多発してたんだよね。
    何台も見たけど殆ど同じような状態で走行距離5万キロ辺りから怪しくなる。
    クランクケースの精度の問題だと思うけど今考えるとリコール車だったんだろな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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