■なぜ今、義務化になった? 「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」
「アクセルとブレーキを踏み間違えました」。
交通事故の原因について、加害者がそのように警察へ説明することがあります。
コンビニやスーパーマーケットの駐車場を出る際、「踏み間違い」によってクルマが急加速してそのまま店舗に突っ込んだ。
交差点で止まろうと思ったが、アクセルとブレーキを踏み間違えてしまい、、前方のクルマに追突した。
そんな交通事故に関する報道を目にすることが少なくありません。
このような状況に陥ることを防ぐために、最近のクルマには、いわゆる「アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置」が備わっています。
機能としては、クルマの周辺を感知する赤外線センサーや、レーザーを使い、停止状態から一気にアクセルを踏み込んでも、周囲に障害物があればエンジンやモーターの出力が上がらないように制御する仕組みです。
すでに、軽自動車から高級車まで各メーカーが標準装備になっている状況です。
なかには、走行中でも条件によって急加速が不自然だとクルマが判断した場合、エンジンやモーターを制御するシステムも実用化されています。
また、こうした予防安全技術については、ジャパン・ニュー・カー・アセスメント・プログラム(JNACP)でも必要性が議論されてきました。
そんな中、国土交通省が2025年6月17日、「ペダル踏み間違い時加速抑制装置の搭載を義務化する」と発表したのです。
道路運送車両の保安基準などの「一部改正によるもの」との説明です。
このニュースを見て、「どうしてこのタイミングなの?」と思う人もいるでしょう。
または「え! まだ法律では決まっていなかったの?」と驚く人がいるかもしれません。
その理由について、考えてみましょう。
まずは、義務化の内容から紹介します。
適用期間は、令和10年(2028年)9月1日から。輸入車は令和11年(2029年9月1日)から。
対象は新型乗用車。ただし、「運転者がクラッチ操作を必要としない乗用車」(乗車定員10人未満)としているので、MT(マニュアルトランスミッション)車は除外されます。
急発進抑制に関する主な要件は、障害物の手前1.0m及び1.5mに停止状態でアクセルをフルストロークまで踏み込んだ場合に、次のいずれかであること、としています。
ケース1は、障害物に衝突しないこと。ケース2は、障害物との衝突時の速度が時速8キロを越えず、障害物がない状態に比べて30%以上の速度が低下していること。運転者への警報は、視覚警報が必須です。
そして、機能を解除する要件は、「解除中の運転者への表示」と「機能の復帰条件」と記載しています。
国がいう「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」はこれまで、自動車メーカー各社が独自の判断で開発してきましたので、今回こうした明確な基準が示され、それが義務化されてことは、ユーザーはもとより、社会全体にとっては良いことだと思います。
ただし、気になるのは、なぜこのタイミングで義務化が決まったのかということです。
キーポイントとなるのが、国土交通省の発表にある「日本発の安全技術」という点。
見方を変えると、この機能は日本ではすっかりお馴染みなのに、海外ではまだまだ普及していないとも言えます。
国土交通省の発表資料には、令和6年(2024年)11月に開催された国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において、日本発の安全技術として国連基準化され、今後の世界スタンダードとして認められたとあります。
日本が世界に対して発案し、日本の技術や評価方法をベースとした国際基準になったのです。
WP29は、国連欧州経済委員会に属しており、国連に加盟する国や地域で自動車の相互認証を明確化するための議論の場です。
この国際基準が令和7年(2025年)6月(予定)に発効されることに合わせて、今回、「国内の法令である道路運送車両法の一部改正に盛り込まれた」ということです。
■日本が自動車の安全で世界をリード? どういうこと?
では、この話をもう少し深掘りします。
6月11日に、東京大学・本郷キャンパス内で実施された、令和7年度・交通安全環境研究所講演会に参加してきました。
同研究所は、昭和25年(1950年)に旧運輸省の研究所として発足。
国が行う自動車の陸上交通に関わる施策立案・規準策定のための試験研究、自動車の型式指定審査、そして自動車のリコールに係る技術的な検証等の業務にあたっています。
平成28年(2016年)4月には、旧自動車検査独立行政法人と統合し、独立行政法人 自動車技術総合機構の交通安全環境研究所となっています。
近年では、一連の型式指定不正問題で、交通安全環境研究所の重要性がメディアでクローズアップされています。
今回の講演会では、同研究所の自動車安全研究部から、ペダル踏み間違い時加速抑制装置(英語名称:アクセレレーション・コントロール・フォー・ペダル・エラー「ACPE」)の国連規則を策定するにあたり、具体的にどのような議論が行われたのかが詳しく説明がありました。
それによると、ACPEの議論がGRVA(自動運転分化会)で始まったのは2023年3月から。
最初、日本からはJNCAP(ジャパン・ニュー・カー・アセスメント・プログラム)と同様に、クルマが完全に停止した状態から急踏みする試験方法が提案されました。
ところが、他国からは「クルマが走行している状態から…」という提案が出たのです。
ただし、どの国もペダル踏み間違い時加速抑制装置の評価試験での実績がありませんでしたので、新たに試験法を考えることになったのです。
その後の試験方法の改正については、技術的な要件が多いので本稿では紹介しませんが、結果的に日本がWP29における「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」の基準化に大きく貢献したことは間違いありません。
日本発の予防安全の考え方が、世界各国で認められたということです。(桃田健史)
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みんなのコメント
本人の意識はブレーキ踏んでるんだよ
警告して気付くなら加速した時点で気付くはずです。
それでもブレーキを踏んでるつもりでアクセルを踏み続ける。
だから重大事故につながる。
それよりも本人の意思でアクセル、ブレーキ以外の操作で
動力を簡単に切れることを考えた方がいいと思ってしまう。
話ではない。
その為に、ドライバーの質の低下が激しい。
免許更新に実技試験を取り入れて不適合者を
減らすことが必要。
余計な補助装置で車が高すぎる。