1980~1990年代にかけて「クロカンブーム」を支えた4WDが各自動車メーカーから続々と発売された。この連載企画では、今でいうSUVとは、ひと味もふた味も異なる「泥臭さやワイルドさ」を前面に押し出したクロカン4WDを紹介する。第25弾はいすゞ「2代目ビッグホーン」だ。
3ナンバー専用ボディにより広々とした室内空間を実現した
1991年、マツダ「787B」がル・マン24時間耐久レースで日本メーカーでは初となる総合優勝を果たすと、F1の音速の貴公子「アイルトン・セナ」は3度目のワールドチャンピオンを獲得。市販車では、ホンダ「ビート」やスズキ「カプチーノ」、1992年にはマツダ「オートザムAZ-1」などの軽スポーツカー「平成ABCトリオ」がデビューしていた。そしてクロカン4WDでは「2代目パジェロ」が登場し、話題になったが、同年の年末に最新機能を満載する、いすゞ「ビッグホーン」も2代目へと進化した。バブルが崩壊してもクルマ業界はまだまだ元気だった時代である。
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2代目ビッグホーンはターゲットを若い層に絞らず、全世代で受け入れられるようなシックなスタイルを取り入れた。初代にラインナップされていたワイドフェンダー仕様はなくなり、ボディサイズは全幅を3ナンバー枠の1745mmまで拡げたことで、ゆとりのある居住空間を実現した。まずは7人乗りロングボディから発売し、4カ月後に5人乗りショートを投入。1993年にはロングボディにも5人乗りを設定するなど、割り切ったモデルもラインアップしていた。
グレード構成もわかりやすく、しなやかな乗り心地と快適装備をあつらえた上級グレード「ハンドリングバイロータス(以下ロータス)」、走りをアクティブに楽しむ「イルムシャー」と、よりスポーティーさをレベルアップさせたショートボディの「イルムシャーRS」、基本性能でまとめた「ベーシック」とした。また、過酷な「ダカールラリー」にプライベーターとして参戦した「チームアオヤギ」が、1994年に市販車無改造クラスで優勝したベース車両が、イルムシャーRSだった。
パワーユニットは全グレードに3059cc直4インタークーラーターボディーゼル4JG2型(最高出力125ps/最大トルク28.0kgm)と新開発の6VD1型ガソリンエンジン 3165cc V6(最高出力200ps/最大トルク27.0kgm)をラインアップした。
1995年、パートタイム4WDから電子制御トルクスプリット4WDへと大幅に進化
また2代目はサスペンションも一新されたのもトピックだった。フロントはダブルウイッシュボーン+トーションバースプリング式の独立懸架として、リアサスペンションはセンターリンクを備えた4リンクのコイルリジッドを新採用。このリアサスペンションの個性的なレイアウトは、ハイレベルな路面追従性と走行安定性を持ち合わせ、ハードなレース参戦車に丸ごと移植されることもあったほど高く評価されたサスペンションとして知られていた。
1992年には日本カーオブザイヤーの選考委員会特別賞を受賞。その翌年のマイナーチェンジでは、最上級グレード「ハンドリングバイロータスSE」、ベーシックに代わり「LS」を設定。LSは3年後に「プレジール」とするなど進化を続けていた。
そして2代目ビッグホーンが大きく変わったのは1995年だった。従来、パートタイム4WDのみだった4WDシステムに、「TOD(トルク・オン・ディマンド:電子制御トルクスプリット4WD」を追加したのだ。このシステムは通常走行時はFRで走り、路面状況に応じて前輪にも駆動配分する電子制御4WDシステムだ。これによりタイトコーナーブレーキング現象などをなくし、確実なグリップ走行ができるようになった。これをまずはロータスSEに投入し、翌1996年から他グレードへと展開していった。
それと同時にエンジンもリニューアルされ、4JG2型ディーゼルターボエンジンの噴射ポンプを機械式から電子制御式に変更し、排出ガスのクリーン化を果たしつつ、パワーを125psから135psまで引き上げた。そして1998年のマイナーチェンジでは、ディーゼルをコモンレール噴射式「Dd」の4JX1型2999cc直4インタークーラー付ターボディーゼル(最高出力160ps/最大トルク34.0kgm)へ、ガソリンエンジンは3494cc V6の6VE1型(最高出力230ps/最大トルク32.0kgm)へとサイズアップした。
グレード構成は、最上級の「ロータスSE」、量販グレードの「プレジールII」、リーズナブルな「フィールドスター」の3種に集約された。
そして2002年、いすゞは乗用車事業から完全撤退し、21年間活躍したビッグホーンも販売を終えることとなった。なお、ビッグホーンは1994~1999年の間、ホンダに「ホライゾン」として、1988~1993年の間でスバルに同名の「ビッグホーン」としてOEM供給していたが、どちらも契約満了とともに販売を終了した。
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みんなのコメント
ロータスやイルムシャーに使われたV6エンジンは元々GMに売り込むために開発されたものだが(気筒数を増やしたV8も東京モーターショウに出品された)良い返事がなく、なんとか自社で使うしかなくなったものだ。mu系に搭載された2.5リッターのV6はピアッツァに搭載される計画もあった。
アクシアムの影響か、ハイラックスサーフ風に屋根を低めてスタイリッシュになったと言う3代目ビッグホーンでは件のV8の登板もあったかも知れないが、開発を終えて完成したにもかかわらずお蔵入りになり、トレイルブレイザーのOEMであるアセンダーに後を譲っている。