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万能選手──新型ホンダ ヴェゼル e_HEV RS試乗記

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万能選手──新型ホンダ ヴェゼル e_HEV RS試乗記

ホンダの新型「ヴェゼル」に追加された「e_HEV RS」は、雪道でいかに? ジャーナリストの小川フミオがリポートする。

新型ホンダ ヴェゼル e:HEV RSの特徴

新しいホンダZR-Vは、起死回生の一手となるか?

1.概要2.エクステリア3.インテリア4.安定した走り5.まとめ1.概要

ホンダが“アーバンスポーツ”と謳うヴェゼルの新グレード「e:HEV RS」を追加設定したのが、2025年10月だ。

今回のテストドライブの場は、26年2月の北海道だった。

新型ヴェゼルe:HEV RSは、デザインと走りを磨き、スポーティさを追求したと謳われる。 ヴェゼルはそもそも「CR-V」「WR-V」「ZR-V」なるホンダのSUVラインナップにおいては、少しだけ異色。クロスオーバーの名のほうが合っていそうな、乗用車に近い使い勝手をもつモデルだ。

乗った場所は、ホンダが旭川近くに所有する鷹栖プルービンググラウンド。専用ローダウンサスペンションをそなえた新型ヴェゼルe:HEV RSだけに、どんな走りを味わわせてくれるだろうか。

2.エクステリア

「一目でスポーティさが伝わるデザインを目指しました」。

ホンダはプレスリリース内で、新型ヴェゼルe:HEV RSのエクステリアデザインをコンセプトを説明する。フロントグリルは意匠が新しくなった。車体同色の細いスリットタイプでなく、ブラック基調で小さなパターンが連続する。

グリル内には“RS”の文字が誇らしげに。RSの意味について、ホンダはいまも「ロードセイリングの略」と言い張るが、そろそろレーシングスポーツとして、本格的なスポーツモデルとしてはどうだろう、と思ったりもする。 スポーツSUVはドイツメーカーの専売特許ではない、ということを、「シビック タイプR」で世界中にファンを持っているホンダだからこそ、真の(?)RSモデルで示してもらえたらと期待するのだ。

フロントではさらに、バンパーロアーグリルとバンパーモールディングが目をひく。クロームが効果的に使われていて、スポーツハッチやスポーツワゴンのようなイメージがうまく演出されている。リヤバンパーにもモールディングがつく。

側面に回ると、ドア下部のロアーガーニッシュが目をひく。車体の低さが印象づけられる加飾だ。ホンダでは新型ヴェゼルe:HEV RSのテーマを“ロー&ワイド”と表現している。なるほどと思うデザインだ。 18インチ径のロードホイールはブラック基調。スポーク部の表面はクローム切削されていて、スポーティカーで重要な足回りが視覚的に“締まって”いる。

新型ヴェゼルe:HEV RSの車高は1545mmに下げられている。「X」(1580mm)や「Z」(1590mm)といった従来のモデルに対して、スポーティさが追求されているのだ。 先に触れたとおり、専用デザインのグリルは、ファントゥドライブ(運転しての楽しさ)のキャラクターによく合っている。 個人的には、横スリットのグリルは、工業デザインとして見た場合はいいとしても、クルマのダイナミズム(走り)との相性には疑問を持っていた。なので、RSのエクステリアはおおいに評価している。

3.インテリア

新型ヴェゼルe:HEV RSのインテリアの特徴は「室内空間でもスポーティさを感じられるよう仕上げました」(ホンダ)というところ。 ダッシュボードをはじめ、ドア内張、センターコンソール、そしてシートにいたるまで、黒を基調にして、赤のアクセントが入れられている。

具体的には、本革巻ステアリングホイールやアームレストにレッドステッチ、ダッシュボードのガーニッシュとドア内張のガーニッシュにレッドカラーを採用している。

「上質かつ耐久性に優れたラックススェード」と謳う表皮張りのシートは、座り心地がよいうえ、走行中に身体が滑りにくく、疲れにくそう。 前席シートはサイドサポート部が張りだしている。全体としては、やや控え目ではあるものの、視覚的にも機能的にも、RSに合った仕上げだ。 後席シートには中央に引き出し式アームレストも備わる。

家族1台で使われることの多い(はずの)ヴェゼルだけに、e:HEV RSといえども全席重視のスポーティさに傾注するのではなく、広い層への目配りが必要なのだろう。

4.安定した走り

新型ヴェゼルe:HEV RSのパワーユニットは、1496ccガソリンエンジンを組み合わせたハイブリッド。

ホンダ独自の「e:HEV」と呼ばれるもので、エンジンとモーターの駆動力を同時でなく、必要に応じて使い分けるところに特徴をもつ。 特筆点は、今回RSとしては初めて4WDモデルが設定されたこと。FWDモデルと2本立てとなる。

4WDシステムは「リアルタイム4WD」とホンダが呼ぶもの。「4輪駆動を基本に、走行状況に応じて前後の駆動力をきめ細かく最適に調節」するとホンダでは謳う。

アクセル開度や車輪速などに加え、ステアリングホイールの舵角やヨーレートなど各種センサーからの情報をもとに、「理想的な前後の駆動力配分を即座に算出し、最適な駆動力を後輪に伝える」と解説される。

今回、鷹栖プルービンググラウンドに用意されていたのは4WDモデル。はたして走りはというと、ブリヂストンのスタッドレスタイヤ「ブリザック」装着の恩恵もあるだろうが、実に安定していた。

数多いカーブではアクセルのオンオフに気を遣わず回っていけるのにまず感心。直線路で強めに加速すると車輪は空転せず、スムーズに加速する。 前後輪へのトルク配分は、さまざまな場面に応じて制御されている。コーナリングは一例だ。カーブの入り口でアクセルオフすると、後輪への駆動力がカットされ、前輪駆動による安定性が優先される。 広いスペースでドリフト走行を試みたが、後輪が張り出すのは一瞬で、すぐに姿勢が安定。あっけないほど、つまらない、いや、安定して安心だ。 この安定感は、出力制御がしっかり効いているせいもある。

やや滑りやすい路面で強めに加速してみると、速度の上がりかたはゆっくり。 クルマが「先手を打つようにして」前後輪への駆動力を最適配分するというホンダの説明通り、不安感がまったくない。比較的こなれた価格設定もあってヴェゼルに惹かれる人には、万能選手ぶりは朗報だ。

新型ヴェゼルe:HEV RSには専用のローダウンサスペンションが組み込まれているけれど、前人未踏のオフロードに踏み入っていくのでなければ、走破性に問題はなさそうだ。それも鷹栖でわかった。

5.まとめ

比較的コンパクトなサイズのSUVというのが、ヴェゼルのセリングポイントだ。 全長4340mmに対してホイールベースは2610mm。比較的長めのホイールベースを活かしたパッケージングで、後席空間も余裕があり、荷室容量も404リッター。使い勝手は良い。 新型ヴェゼルe:HEV RSの価格は、FWDが¥3,748,800、今回乗った4WDが¥3,968,800。競合には、トヨタ「ヤリス クロス」あるいは「ヤリス クロスGRスポーツ」がある。 スバルには「クロストレック」がある。こだわりの水平対向エンジンやシメトリカルAWDシステムとキャラクターがたっていて、特定層には強くアピールしている。

新型ヴェゼルe:HEV RSは、4WDモデルにスタッドレスタイヤを装着すると、雪道で安心感の高い走破性が、アピールするポイントだ。 加えて、ヤリス クロスやクロストレックのような”ラギッド感”(ヨンク的なデザイン)でなく、あえて都会的なスタイルも、独自の個性になっている。

価格は、ホンダ車の常として(?)高めだが、オフロードだけでなくオンロードでも積極的にスポーティなドライビングを楽しめると考えると、納得できる範囲ではないだろうか。

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文:GQ JAPAN 小川フミオ

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