10月26日(木)から11月5日(日)にかけて開催される「ジャパン モビリティショー2023」で発表された新型車を深掘り! マツダが発表した斬新な2ドアクーペ「ICONIC SP」は、見た目も、機能もよく考えられた1台だった!
27回塗り重ねた力作のボディカラー
マツダは、ジャパン モビリティショー2023でコンパクトスポーツカーコンセプトのICONIC SP(アイコニック・エスピー)を世界初公開した。“純粋に楽しいクルマがほしい”というカスタマーの気持ちに応えるのがコンセプトという。
実車のサイズはコンパクトで、全長×全幅×全高は4180×1850×1150mm、ホイールベースは2590mmだ。マツダは“ガルウイング”と、表現しているが、前ヒンジを起点に斜め上方に跳ね上がる、いわゆるシザースドアを採用。2シーターで、ハンドル位置は左。フットボックスにはオルガン式のアクセルペダルとブレーキペダルが並んでいる。
パワートレーンは「2ローターRotary-EVシステム」を、搭載。会場にいた技術者の説明によれば、「MX-30 Rotary-EV」に搭載するシリーズ方式のハイブリッドシステムが技術のベース。MX-30はシングルローターのロータリーエンジンを発電専用に用い、その電力でモーターを駆動して走る仕組みだ。
MX-30 Rotary-EVはパワートレーンを横置きに搭載するものの、ICONIC SPはエンジンを2ローターにした上でパワートレーンを縦置きに搭載。大容量のバッテリーはセンタートンネルに搭載……と、想像するのが順当だろう。ただし、ここにプロペラシャフトを通すことも技術的には可能だ。走行はすべてモーターでカバーするのではなく、2ローター・ロータリーエンジンの動力を後輪に伝えつつ、状況に応じてモーターの力を付加するパラレル式にもできるとの説明だった。
ちなみに、公表されている車両重量は1450kgで、ボディサイズを考えれば重量級だ。相応のバッテリー容量を見込んだ数値だろう。2ローターRotary-EVシステムの最高出力は370psで、パワーウエイトレシオは3.9kg/ps。圧倒的な加速を約束する数値だ。低い車高と低いノーズは、コンパクトなロータリーエンジンがあってこそ実現できている。
マツダのデザイン本部・本部長の中山雅は、「子供のときにクルマを見たときのときめきが復活するはず」と、ICONIC SPについて説明する。“プラモデル少年”だった中山は少年の頃、プラモデルの箱を開けて中身を見て(当時は透明ビニールでラップされていなかった)、心のメーターが“ビーン”と振れたら購入を決断し、そうでなかったらそっと箱を閉じて棚に戻したという。そのときクルマを見る角度は上からだった。
プラモデルの箱を開けた瞬間の、ときめきが復活したら……そこで、ICONIC SPは上から見たとき、ドラマティックなデザインになるよう心がけたという。確かに、低い位置から眺めるより、見下ろすアングルで眺めた方がドラマティックかもしれない。とくに、ふくよかなリヤフェンダーが強調されるリヤからの眺めがいい。展示ブースに展望デッキを設けたのは、ICONIC SPを上から眺めてもらうためだ。
エクステリアのデザインには、マツダの歴代スポーツカーの“ニオイ”が感じられるようにしたという。「コスモスポーツ」のニオイも感じられるし、「ユーノス・ロードスター」(1989年)や、“FD”の「RX-7」(1991年)のニオイもする。「現在の“魂動デザイン”のニオイも感じられるでしょう」と、中山さん。歴代マツダのスポーツカーのニオイを受け継いでいるのがICONIC SPというわけだ。
ボディカラーの赤にもこだわっている。スミレ科の花に由来を持つビオラレッド(室内センター部に配された4本のラインやふくよかなリヤフェンダーのふくらみは、弦楽器のビオラをイメージ)は、白の上にクリアレッドを27回塗り重ねた力作。「赤に関して世界一でありつづけるため」につくり上げたという。
バッテリーEVへの流れが進むと大容量の電池を積むために車高は低く出来ず、かつホイールベースは長くなる。さらに、電費を稼ぐために空力性能が優先され、それがクルマの形を決める。すなわち、機能が優先され、美意識は置き去りになる可能性が高い。「それでいいの?」「本当はこういうクルマが欲しいんじゃないの?」「こういうクルマに乗ることが“生きる歓び”につながるんじゃないの?」と、ユーザーに問いかけるのが、ICONIC SPなのだ。
文・世良耕太 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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