■加速する「脱純ガソリン」で石油元売り各社はどうなる?
2020年12月に突如として「純ガソリン車の新規販売を2030年代半ばまでに終了する」という方針を政府が打ち出したのは記憶に新しいところです。
今から約15年後には、純粋なガソリン車やディーゼル車が新車で販売出来なくなりますが、現在全国各地に点在するガソリンスタンドは、今後どうなるのでしょうか。
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全国のガソリンスタンドの数はもっとも多かった1994年の6万強をピークに減り続け、2009年には3万8777か所、2020年3月末には2万9637か所(職権消除分除く)にまで減少しました。
ハイブリッド車など燃費の良いクルマが増えたり、クルマに乗る人が減ったりしてガソリン自体の需要が減ったことが主な理由ですが、加えて大きく影響しているのが2010年に公布された消防法の改正です。
この改正は、2000年以降増加傾向にあった地下タンクの劣化による燃料流出事故に対応する規制で、設置から40年から50年を経過した地下タンクを油漏れや腐食から保護するための対策が義務付けられました。
1000万円前後の経費が掛かることで、後継者のいない個人経営の給油所のなかには、この改正によって閉店を決めたケースも多くあったようです。
2020年に入ってからは、国の「低燃費」「脱ガソリン」の動きは加速しており、同年1月には「エネルギーの使用の合理化等に関する法律施行令の一部を改正する政令」が公布・施行され、2030年度燃費基準を発表するとともに、2030年までに「企業平均燃費」(CAFE)を25.4km/Lまで向上させることが自動車メーカーに義務付けられました。
記憶に新しいのは、前述の2020年12月に発表された「純ガソリン車(ディーゼル車を含む)の新規販売を2030年代半ばまでに終了する」という新たな施策です。
この純ガソリン車とは、エンジンのみで駆動するガソリン車やディーゼル車が含まれ、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)、電気自動車(EV)は電動車として定義されています。
この新たな施策は、政府が進める「2050年カーボンニュートラル」の一環として表に出てきたもので、詳細は明らかにされていませんが、今後はますます「脱ガソリン」の動きが加速していくでしょう。
このようななか、気になるのが既存のガソリンスタンドの変化です。
エネオスや出光昭和シェルなどの大手石油元売り会社が展開する「脱ガソリン」の「一般利用者に直接かかわる動き」をまとめると以下となります。
1.EVスタンドや水素スタンドへの転換もしくは既存のガソリンスタンドに併設
2車検や簡単な整備、洗車やコーティングなどの給油以外のカーケア事業を強化
3.車両のリース販売や中古車販売などクルマの販売
4.コインランドリーやカーシェア、レンタカーステーションなどを併設
これらに加えて2016年4月の電力自由化以降は、エネオスや出光昭和シェルなど石油元売り会社が家庭用電気の小売事業に参入するケースが増えています。
ガソリン燃料と電気は別世界のイメージがあるかもしれませんが、実は発電をおこなうには石油や天然ガスなどの燃料が必須です。
元売り会社ならばこれらの燃料調達の面でも有利になるため電気の小売事業へ参入が進んでいるといいます。
家庭用電気の料金もトータルで下げることが可能でさらに、ガソリンも一緒に安くなるシステムが好評です。
■石油元売り会社の「脱ガソリン対策」は?
石油元売り会社はどのような「脱ガソリン」対応策を講じているのでしょうか。
エネオスブランドは、2017年4月に当時の「エッソ」「モービル」「ゼネラル」を展開していた東燃ゼネラル石油が「エネオス」を展開しているJXホールディングスの完全子会社になり、2021年1月現在はエネオスブランドに統一されました。
業界再編をおこないつつ、従来のガソリンスタンド運営以外に全国44か所で水素ステーションを展開しています。
2020年10月現在、エネオスは全国に44か所の水素ステーションを展開しており全国の約4割を占める数です。
2021年1月4日に国土交通省が水素ステーションに関する規制緩和を発表(2月中に公布・施行予定)したことで、近い将来にはFCVへの水素充填が現在よりもやりやすくなることが考えられます。
エネオスの水素ステーションも今後はますます増えていくことが期待されます。
また、エネオスブランドではコインランドリー併設事業を開始しています。
2020年9月、給油所の経営多角化の一環として、ガソリンスタンドへのコインランドリー併設事業が発表されました。
グループ直営店での併設を進め、2021年4月以降は特約店での併設も始まり、給油や洗車などをしている間に、コインランドリーの利用が出来るなど、利便性が高まっています。
2019年4月に経営統合を発表した出光と昭和シェル。2021年4月から新ブランドのガソリンスタンド「アポロステーション」が展開されます。
2023年末までには両ブランド合わせて全国6400拠点がアポロステーションに切り替わることになります。
アポロステーションでは、従来の給油やカーケアサービスだけでなく、地域の移動を支えるさまざまな新たなサービスの展開を見据えているとのことで、EV用の充電サービスはもちろん、ほかの元売り会社との差別化を図る戦略を進めるようです。
また、2018年12月14日に昭和シェルと日本ピザハットは、日本初となる協業店舗・第1号店「セルフ代々木サービスステーション」と「ピザハット代々木店」を東京都渋谷区にオープンしました。
新業態で展開される協業店舗は、より身近で、便利に、楽しくピザを食べて頂く機会を提供するピザハットと協業することで、利用者が燃料補給とピザのテイクアウトという2つのニーズをワンストップで済ませられるという利便性に富んだ店舗だといいます。
日本ピザハットとの協業をスタートした背景について、昭和シェルは次のように話します。
「お客さまのニーズは多様化しています。より身近で利便性の高い店舗を実現するために、以前から他業種との協業を検討しつつ、パートナーとなる企業を探していました。
ピザハットとの協業については、弊社から提案させて頂き、ピザハットにとっても集客がある場所に出店することで新たにピザを購入する機会が増えるなどメリットがあり、2018年8月に業務提携を合意しています」
コスモ石油も系列店への充電設備の設置や電力販売を展開しています。
ほかにないユニークなサービスとして人気を高めているのが、「めんくるパック」(免許+クルマ)というサービスです。
同社では、2011年からガソリンスタンドで契約が可能な個人向けカーリース「コスモMyカーリース」を展開してきましたが、2019年より自動車教習所の費用と車両の費用が月々の料金に組み込まれた「めんくるパック」の販売がスタートしています。
運転免許を取得する段階でクルマを保有するイメージが持てるようになることから、販売開始以降、大変好評を得ているとのことです。
2021年1月15日現在、全国125か所の自動車教習所と提携してサービスの提供をおこなっています。
給油や充電(充填)だけではなく、利用者にとって使いやすいサービスが拡大することで、これまでとは異なるモビリティのハブスポットとしての活用が期待されます。
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みんなのコメント
世界ではまともなEVインフラも作れない国のほうが多い
車は年販数千万台、世界では圧倒的に燃料車が売れている
HV系、実は世界販売の半分が日本向けなんだよね。
日本市場は世界で1割程度なのに、HVの半分がそこで売れてる。
今の日本人は外国を見ないから煽られるだけで、お人よしだよね
原油を積んだタンカーがある。
精油過程でその3割がガソリン、2割が軽油になります。
マグロを解体し、赤身や内蔵は要らないと言っているのと同じこと。