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「クルマがLC500に変われば結果が出る、とは思っていない……でもLM corsaでどうしても王座を獲りたい」吉本に宿る冷静さとアツさ

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「クルマがLC500に変われば結果が出る、とは思っていない……でもLM corsaでどうしても王座を獲りたい」吉本に宿る冷静さとアツさ

 スーパーGTのGT300クラスに、また新たな車両が登場する。それこそがLM corsaが投入する、レクサスLC500をベースとしたLC500 GTだ。これはaprが昨年デビューさせたLC500h GTからハイブリッドシステムを下ろしたものといっても差し支えないが、そのLC500hが昨季好成績を収めたこともあり、今季のLM corsaにも注目が集まる。

 ここ数年、GRスープラを使いながら苦しいシーズンを送ったLM corsaだが、苦戦の要因は何だったのか? そしてLC500へのスイッチでどんなことが期待できるのか? ドライバーとして長年チームを引っ張る吉本大樹に聞いた。

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■タイヤとのマッチングに苦しんだ3年間

 LM corsaがベース車両をRC Fからスープラにスイッチしたのは2021年。同年には富士スピードウェイでの2レースで優勝し、ランキング3位といきなり活躍を見せたが、翌年以降はほとんど上位に食い込めないレースが続いた。その後もチームはフロントマスクを独自開発してエアロバランスの改善に努めるなど試行錯誤したが、結果は上向かなかった。

 これについて吉本は、ドラッグ(空気抵抗)が増えてストレートスピードが伸びなくなった側面もあるとしつつも、一番はタイヤとのマッチングがうまくいかなかったことが苦戦の要因だったと語る。だからこそ、「クルマが変わったからといって『今年はイケますよ』とは思っていません」と冷静に語る。

 スーパーGTは現代のモータースポーツカテゴリーでは珍しくマルチメイクによるタイヤ開発競争が行なわれているため、全体的なパフォーマンスにおけるタイヤのファクターは非常に大きい。タイヤ戦争が苛烈が故に、路面温度が2℃、3℃変わっただけでもパフォーマンスには大きく影響が出るため、都度コンディションにバッチリハマったタイヤと車両のパッケージを作り上げるのは容易ではない。

 LM corsaはダンロップタイヤを履くが、同じダンロップユーザーでは昨年D'station RacingのヴァンテージGT3が鈴鹿戦で優勝するなど活躍し、ランキング4位に。これが陣営最上位だった。

「D'stationが好調だった時も、例えば5℃路面温度が違っていたらあのパフォーマンスは出ていないかもしれません。それだけコンディションに対してシビアで、難しいんです」と吉本は言う。

「ここ数年の僕らはタイヤがコンディションにピンポイントに合う状況が全然なく、苦しんでいます。そこには、自分たちがタイヤをうまく使えなかったということもあるでしょうし、僕らのクルマに対してタイヤがうまくマッチングしなかったこともあります」

「ダンロップさんが頑張ってくれているのは間違いありません。毎回色々なスペックを持ち込んでくれますし、タイヤは一昨年から去年にかけて進化しています。ですから、僕らがそこに正しい情報を提供しつつ、一緒に同じ方向を向いて開発していくことが何より一番重要ですね」

■LC500へのスイッチは「ポジティブなことしかない」?

 とはいえ、車両がLC500に変わること自体はポジティブな要素も多いと言える。LC500はロングホイールベースを活かして大きなダウンフォースを出すことが可能。また、ややエンジン搭載位置がミッドシップ寄りなこともあって重量バランスにも長けており、全長が長いことによる旋回性の悪さを軽減することができる。

 こういった旋回性能は、岡山でのシェイクダウンでも感じられた様子。吉本は「今我々が使っているダンロップタイヤは、舵角の浅いところではすごく機敏に動くのですが、舵角を足していったところで良くないというか、(グリップが)破綻するところがあります」と説明し、「そういう意味ではロングホイールベースになったことで、小さいコーナーでその症状がさらに出るんじゃないかとイメージしていましたが、良い意味で思っていた動きではなかったです」と話した。

 昨年のapr LC500hも上記のアドバンテージを活かしつつ、様々なタイプのサーキットで満遍なくポイントを獲得しており、小高一斗と中村仁のドライブでランキング6位に入った。これらはLM corsaにとっても明るい材料に思える。

 ただ吉本は、LC500への変更が「ポジティブな要素しかない」としつつも、aprのLC500hのパフォーマンスはそれほど気にしていないようで、「ハイブリッドかそうでないかはすごく大きな違いなので、基本的には同じものとは見ていません」と語る。

「去年一緒に走っていても、僕らのようなGT300規定の車両の中では、ハイブリッドの彼らがぶっちぎりで直線は速かったですからね。それにハイブリッドは加速でも有利になりますよね」

「当然、その分重量が重くなるのでタイヤにも厳しくなるでしょうし、僕らがハイブリッドをつけたらいきなり速いかと言われても、そうではないと思います。31号車(apr LC500h GT)に関しては、車両に対する知識や、タイヤ(ブリヂストンを装着)という部分もありますから」

 ベテランらしく、決して浮き足だったコメントはしなかったものの、車両変更をポジティブに捉えている吉本。そして今季に向けた意気込みを問うと、一転して「どうしてもこのチームでタイトルを獲りたい」とアツい思いを語った。

「スープラの初年度で2勝した後、クルマは進化しているのに結果を残せず、本当に苦しみました。クルマがLCに変わったからすぐに結果が出るとは思っていませんが、最初に転がしたイメージではポジティブなことしかありません」

「もちろん、上位争いを目指すのは当たり前ですが、僕らはポイントを獲るためにレースをしているわけではなく、チャンピオンを狙っています。LM corsaで12シーズン目になりますが、このチームでどうしてもチャンピオンを獲りたいです」

「色々な条件が噛み合わないと難しいですし、去年までの流れを考えるとチャンピオンなんて語れるものじゃないかもしれませんが、やっぱり常にチャンピオンを目指してやっていきたいです」

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