日米欧のクラシックカーが数千台
米コロラド州ラマーという地域にあるジャンクヤード『ウォラー・オートパーツ(Woller Auto Parts)』は、1968年にささやかな板金修理工場として創業した。それから徐々に規模を拡大し、現在は米国西部でも屈指の異彩を放つ廃車置き場となっている。敷地は約80エーカーの草原に広がり、広大な空の下に何千台ものクルマやトラックが並んでいる。塗装は数十年浴び続けた日差しで色あせているが、乾燥した気候のおかげで金属部分は驚くほど綺麗なまま残っていることが多い。
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そのすべてを支えているのは、創業者のドン・ウォラーさんだ。彼は生粋のクルマ好きで、ミシガン州のスクラップヤードを駆け回りながら育ち、チャンスを求めて西へと旅立った。そして半世紀以上が経った今も、ウォラー・オートパーツは世界中のクラシックカー愛好家に部品を供給し続けている。今回はほこりまみれの列の中に隠された、素晴らしい車両の数々をご紹介しよう。
(翻訳者注:同ジャンクヤード、ウォラー・オートパーツに関する特集としては第2弾となります。第1弾の記事『乾燥した大平原で見つけた日米欧の廃車 40選』もあわせてお楽しみください。)
ハドソン・ホーネット – 1953年
ウォラー・オートパーツを散策する楽しみの1つは、ほぼすべての車両に物語があり、創業者ドン・ウォラーさんがそのほとんどを把握していることだ。ここに並ぶ車両の多くは彼自身のプライベートコレクションとして購入されたものであり、その来歴が謎に包まれていることはめったにない。
例えば、こちらの1953年式ハドソン・ホーネット。直列6気筒のフラットヘッドエンジンと人気の高い純正ツインキャブレター、オートマティック・トランスミッションを備えている。時の経過は容赦なく、昔行われた再塗装や内装の張り替えの痕跡が残っているが、その出来栄えはお世辞にも模範的とは言えないレベルだ。この個体はレストア用の「プロジェクトカー」として販売されており、スペアのロッカーパネルが2枚付属している。
さらにその奥には、もう1つの逸品が、1952年式ハドソン・ワスプがある。極めて状態が良く、背景にひっそりと佇んでいる。
オールズモビル・デルタ88 – 1977年
この1977年式オールズモビル・デルタ88の2ドア・クーペは、ウォラー・オートパーツのウェブサイトではプロジェクトカーとして掲載されていないのだが、部品取りにするにはあまりにも状態が良すぎるため、間違いなくレストア対象とするべきだろう。
車体をざっと見て回ったところ、部品がほぼ完全に揃っているだけでなく、気持ちいいほど綺麗であることも確認できた。
キャデラック・カレー – 1966年
この1966年式キャデラック・カレーの2ドアモデルは、プロジェクトカーとして販売されているが、それにしても驚くほど腐食が少ない。キャデラックの大排気量V8エンジンと4バレルキャブレターを搭載し、新車当時はパワーステアリング、パワーブレーキ、エアコン、パワーウィンドウ、パワーロック、パワーシート、そしてワンダーバー・ラジオ(Wonderbar radio、GM独自のカーラジオ)といった充実装備を備えていた。
ドン・ウォラーさんによると、この個体は1971年に軽微な事故を起こし、右後部と左後部のクォーターパネルに損傷を受けた状態で購入したが、当時はまだ走行可能だったという。
アウディ4000
同ヤードには、このアウディ4000を含め、欧州車が豊富に揃っている。1980年にフォックスの後継車として米国に導入された4000は、ボディサイズがわずかに大きくなり、2ドアまたは4ドア・セダンとして販売されていた。
初期モデルは控えめな1.6L直列4気筒エンジンを搭載し、通常は5速マニュアル・トランスミッションと組み合わされた。当初の売れ行きはあまり目立たず、デビュー年には1万4681台にとどまった。写真の1980年代初頭の4ドアモデルは、現在部品取り車として余生を過ごしている。
トヨタ・セリカ – 1975年
ウォラー・オートパーツには日本車も数多く揃っており、人気のある1975年式トヨタ・セリカもその1つだ。1975年の段階ではすでに、セリカのエンジンは以前の1968ccから、より大型の2189cc直列4気筒へと切り替わっていた。これは、厳格化された米国の排ガス規制による出力低下を補うための措置だった。
セリカのスポーティなスタイリングと優れた燃費性能が相まって、まさに絶好のタイミングでのヒット商品となった。実際、1975年はトヨタの米国での販売台数が過去最高を記録した年であり、実に34万6920台が販売されている。
AMCグレムリン
燃費の話題と言えば、欧州や日本から押し寄せる経済的な輸入車の波を受け、AMCが繰り出した対抗馬がグレムリンだ。1970年に登場したこのずんぐりしたコンパクトカーは、AMCホーネットのリア部分を切り詰めて作られ、米国製サブコンパクトカーの先駆けの1つとなった。
安価でシンプル、かつそこそこの燃費性能を備えていたが、競合車の低燃費や洗練性には到底及ばなかった。それでも1970年から1978年の間に67万台以上のグレムリンが生産され、AMCのモデルの中でも比較的大きな成功を収めている。この個体は、すでに有用な部品の多くを失っているようだ。
ビュイック・スペシャル – 1958年
こちらも、ウォラー・オートパーツのウェブサイトではレストア用のプロジェクトカーとして掲載されていない車両だ。1958年式のビュイック・スペシャルで、一見したところ、分解するにはあまりにも状態が良すぎるように感じられる。
ビュイックのエントリーモデルだが、きらびやかなクロームメッキと存在感は十分に備わっている。コロラドの草原に長期間放置されていたことを考えれば、驚くほど綺麗で、車体も歪んでいない。
シボレー・デラックス・ワゴン – 1951年
こちらは1951年式シボレー・デラックスの4ドア・ワゴン。ドン・ウォラーさんはこの車両の経歴を知らないそうだ。6気筒エンジンと3速マニュアル・トランスミッションがそのまま残っており、色あせたイエローの塗装が目を引く。主要なボディパネルは一通り揃っているように見えるが、多くの修復作業が必要なことは明らかで、ガラス類の交換も相当数必要になるだろう。大変だとは思うが、誰かレストアに挑戦してみてはもらえないだろうか?
キャデラック・カテラ – 1996年
昔はよく見かけたキャデラック・カテラだが、一体どこへ消えてしまったのだろうか? 実のところ、そもそもそれほど多くは生産されておらず、ベースとなったオペル・オメガの欧州での販売台数にも到底及ばない。カテラは、小型で欧州車らしい雰囲気を持つエグゼクティブセダンとして米国市場に投入されたモデルであり、1997年から2001年モデルまで販売された。生産はドイツで行われるなど、基本的にはオペルのバッジエンジニアリング車であり、3.0L V6エンジンを搭載していた。
この個体の窓には「96」と書かれていることから、ごく初期のモデルであると推測される。本格的に販売が始まる前の1996年、米国でのカテラの販売台数はわずか1676台だったが、1997年には2万5411台へと急増した。わずか5年後の2001年に米国市場から撤退し、総販売台数は9万4801台にとどまる。
シボレー・セレブリティ
シボレー・セレブリティはかつて、米国の道路で最もよく見かけたクルマの1つだったが、今やほぼ姿を消してしまっている。1982年に登場したセレブリティは、GMの前輪駆動Aボディ・ファミリーの一員であり、瞬く間に大ヒットとなり、1980年代半ばには米国の販売ランキングで首位に立った。
数百万台が生産されたが、そのほとんどは酷使され、静かにスクラップにされていった。そのため、現存車は驚くほど希少だ。ウォラー・オートパーツの雑草の中にひっそりと佇むこの1台は、昔はごくありふれた普遍的な存在であったにもかかわらず、今では人々から忘れ去られてしまった哀しい歴史を感じさせる。
ビュイック・エレクトラ225 – 1974年
1974年式ビュイック・エレクトラ225の4ドア・ハードトップは、ビュイックの高級車ラインナップの最上位に位置し、455立方インチ(7.45L)のV8エンジンを搭載して、1970年代初頭のデトロイトが得意としたフルサイズ車の快適性を前面に打ち出していた。石油危機が深刻化する中でも、エレクトラの販売台数は堅調で、1974年には全ボディタイプ合わせて9万台以上が生産された。
この個体はウォラー・オートパーツに運び込まれて久しいが、まだ使える部品が数多く残っている。重量は4839ポンド(2200kg)もあり、他のスクラップヤードならとっくに金属スクラップとして処理していただろう。幸いなことに、ウォラー・オートパーツは賢明な判断を下している。
AMCスピリット
AMCスピリットは1979年、コンパクトカーのラインナップ刷新のため、グレムリンの後継車として登場した。いくつかのボディスタイルが用意されたが、写真のリフトバックバージョンは、大きく寝かせたリアハッチとワイドなテールランプを備え、スポーティな外観を特徴としている。
エンジンは控えめな4気筒から、AMCの頑丈な直列6気筒まで幅広くラインナップされていた。この個体は、登録ステッカーから判断すると、1998年以来走行していないようだ。
(翻訳者注:この記事は「中編」へ続きます。)
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