2022年2月、サンライズとバンダイナムコアーツという、それぞれアニメ業界名門の共同によるオリジナル新IP(編注:キャラクターなどの知的財産)動画コンテンツとなる「ハイドライバーズ」プロジェクトの始動が、両社より発表された。
「ハイドライバーズ」は個性豊かなキャラクターがカーレースを通じて互いに絆を深めていく姿を描くさまざまな動画コンテンツを、ユーザー参加型施策とともにYouTubeを中心に展開。なお、プロジェクト内で描かれるクルマについては、国内自動車メーカー4社の協力のもと、実車ならではのリアリティを CG で忠実に再現していくという。
1990年代中盤の若者たちに鮮烈な衝撃を与えた初代ホンダインテグラタイプR!! その実力と功績を振り返って考える
また、3月26日と27日に開催される「AnimeJapan 2022」ではステージイベントが実施され、プロジェクトの詳細情報を発表するとのことで、ここではハイドライバーズに登場する6台のスポーツモデルを解説していく。
「ハイドライバーズ」公式サイト
ハイドライバーズ公式YouTubeチャンネル
文/永田恵一、写真/©Team Hi-DRIVERS、HONDA、SUBARU、TOYOTA、NISSAN
ホンダからは初代&2代目NSXが登場!!
登場車種:NA1型初代&NC1型2代目NSX
キャラクター:神代暁(かみしろ あかつき)、不知火帳(しらぬい とばり)、紅林夕(くればやし ゆうひ)、御子柴朱(みこしば しゅう)
1990年に登場した初代NSXは、当時F1のエンジンサプライヤーとして大成功を収めていたホンダのシンボル的存在という意義も込めて開発されたミッドシップのスポーツカーである。
初代NSXは当時のポルシェ911(964型)やフェラーリ328などをターゲットに開発され、ターゲットとなった2台は「『スポーツカーだから』という先入観から扱いにくさや、クオリティの低さが許されていた」という弱点もあった。そのため初代NSXは「性能の高さだけでなく、スポーツカーでも扱いやすく快適で、高いクオリティを持つ」というコンセプトで開発された。
このコンセプトは画期的で、のちのポルシェ911やフェラーリ355などにも小さくない影響を与え、当時黄金期にあった日本車において初代NSXは初代セルシオやR32型スカイラインGT-Rと並ぶ「外国車と勝負できる日本車」の1台だった。
また、初代NSXはアルミボディの採用やV6のNAエンジンの搭載といった身軽なクルマだったことや基本設計の確かさが幸いし、排気量アップなどの改良を受けながら2005年まで15年という長きに渡って生産された。なお、劇中に登場する初代NSXはリトラクタブルライトのNA1型なので、比較的初期の初代NSXと思われる。
初代NSXから11年の空白期間を経て2016年に復活した2代目NSXは、フルパワーとなるシステム出力が500馬力オーバーとなる3モーターハイブリッドシステムを搭載した2000万円を大幅に超えるスーパーカーに移行。
2代目NSXは「需要の多いところで生産する」というホンダの基本方針もあり、アメリカ中心の開発、アメリカでの生産となったせいもあっただろう。初期モデルは軟派で大味なところもあった。
しかし、2018年の改良でNSXらしいピュアな部分も取り戻し、この改良をスタート地点にした成長も期待されていた。だが、2代目NSXはお世辞にも収益のいいモデルではなかったこともあり、2021年登場したよりスポーティなタイプSをフィナーレに絶版となった。
EJ20型エンジン搭載車も登場!! スバルからはこの2台!!
登場車種:スバルVAB型WRX STI&ZC6型BRZ
キャラクター:釈迦堂雷(しゃかどう らいう)、響クラウド(ひびき くらうど)、藤堂霞(とうどう かすみ)
1992年に登場した初代インプレッサのスポーツモデルで、ラリーをはじめとしたモータースポーツ参戦ベース車となるWRXが起源となる2014年登場のVAB型WRX STIは、WRXとしては4代目となるモデルである。
VAB型WRX STIはSIシャーシと呼ばれるプラットホームや伝統のEJ20型ターボエンジンといった基本部分は、3代目モデルを継続した改良型だ。そのなかで大きな違いとして挙げられるのは5ドアハッチバックと4ドアセダンという2つのボディがあった3代目モデルに対し、VAB型4代目モデルは4ドアセダンのみとなった点だ。
VAB型4代目モデルはいろいろな意味で苦しい環境のなか、スバル車らしく毎年のように改良されていたのだが、EJ20ターボエンジンの環境対応という節目もあり、惜しまれながら2020年に絶版となった。
絶版の際にフィナーレを飾る限定車として設定されたファイナルエディションはスペックこそ変わらないものの、エンジン内部パーツの入念な重量合わせなどが行われた特別なモデルだっただけにオーダーが殺到し、抽選に落ちた購入希望者が多数いたほどだった。
ZC6型初代BRZは、デザインと企画はトヨタ、開発と生産はスバルという両社の協業により2012年に登場したスポーツカーである。初代BRZのトヨタ版となる86も同様なのだが、初代BRZは2LNAエンジンを搭載するFRのスポーツカーということもあり、「充分な速さは持つけど、強烈に速いわけではない」というモデルだった。
その代わりコントロール性の高さをはじめとした扱いやすさを基板とした楽しさや、充分な荷物が載る実用性といった実にバランスのいいスポーツカーに仕上がっており、この点も大きな理由に初代BRZは初代86とともに着実な販売実績を残した。
このことはアフターマーケットの活性化や2021年登場した2代目モデルへの継続など、非常に大きな功績を残し、BRZと86は日本を代表するスポーツカーに成長した。
トヨタからは、2019年に復活したGRスープラが登場!!
BMWとの協業により17年ぶりに復活した現行90スープラ。写真は、初代70型スープラ発売から35周年をを記念した特別仕様車、35thアニバーサリー・エディション(グレードはSZ-R)
登場車種:GRスープラ
キャラクター:鳥谷京(とりたに きょう)、龍ケ崎圭(りゅうがさき けい)、早乙女麟(さおとめ りん)、亀梨万(かめなし まんと)
スープラはセリカの上級モデルとなるXXが発展したモデルで、日本では1986年登場の初代A70型と1993年登場の2代目A80型が販売されていた。スープラは2代目モデルで排ガス規制の強化により2002年にR34型スカイラインGT-RやFD3S型RX-7などとともに一度絶版になっており、2019年登場の現行型3代目モデルはスープラとしては17年振りの復活である。
いかに大トヨタといえどスープラ級のスポーツカーを自社だけで開発するというのは負担の大きい事業なこともあり、3代目スープラは86&BRZのようにトヨタが業務提携を結ぶBMWとの共同開発車として開発された(そのため輸入車となる)。
3代目スープラは兄弟車でオープンボディのBMW Z3に対し2シータークーペとなるモデルで、コンセプトやボディ形状もあり、より硬派なモデルとなっている。
スープラに搭載されるエンジンはすべてBMW製で8速ATのみと組み合わされる、標準とハイチューンの2L直4ターボ、スープラの伝統である直6の3Lターボの3つだ。
「スーパーカー」の概念変えた? 日産R35型GT-R登場!!
登場車種:R35型GT-R
キャラクター:王子仁(おうじ じん)、板垣誠(いたがき まこと)、樋口忠(ひぐち ちゅう)
2007年登場のR35型GT-RはスカイラインGT-Rから日産GT-Rに移行したことも象徴するように、日本車としてははじめてスーパーカー市場に参入したモデルである。
R35型GT-Rのコンセプトは「マルチパフォーマンススーパーカー」という未だ世界に例のないものだ。それだけにR35型GT-Rはこのコンセプトに沿って、スーパーカーでありながらリアシートやスーパーカーとしては広いラゲッジスペースを持つなどの高い実用性、独立型トランスアクスル4WDなどによる雪上を含めたあらゆる路面への対応、2ペダルのDCTの採用になどによる扱いやすさを備えたスーパーカーである。
また、ニュルブルクリンクのラップタイムをはじめとした絶対的な速さに目を奪われがちなR35型GT-Rだが、それだけでなく法規を大幅に超えたスピードでの衝突安全性や規格を大幅に上回るランフラットタイヤの性能など、レーシングテクノロジーが多数盛り込まれたモデルでもある。
登場から15年となるR35型GT-Rだが、基本設計の素晴らしさに加え毎年のように行われる改良により未だ性能や魅力は色褪せていない点もすごさの1つだ。なお、劇中に登場するR35型GT-Rは2回目のビッグマイナーチェンジを受けた2016年登場の2017年モデル以降の個体と思われる。
■AnimeJapan 2022「BLUE STAGE」特設イベント開催概要
日時:2022年3月27日(日)16:50開演予定
場所:東京ビッグサイト東展示棟4ホール BLUE STAGE
登壇者(順不同・敬称略):伊瀬結陸、諏訪部順一、福山潤、堂島颯人、吉野裕行
イベントの詳細は、AnimeJapan 2022公式サイトをご覧ください。
AnimeJapan 2022公式サイト
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