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鈴鹿8耐で4連覇狙うTeam HRCの高橋巧「強敵に負けたくない」もてぎ2&4で垣間見えた勢力図

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鈴鹿8耐で4連覇狙うTeam HRCの高橋巧「強敵に負けたくない」もてぎ2&4で垣間見えた勢力図

 2025年シーズンの全日本ロードレース選手権が幕を開け、日本国内での2輪レースもいよいよ本格化にスタート。すでに盛り上がりが期待される今季の鈴鹿8時間耐久ロードレースでの4連覇に向け、もてぎ2&4レースにワークス体制の下スポット参戦した高橋巧(Honda HRC Test Team)が、レースを振り返るとともに鈴鹿8耐本戦に向けての意気込みを語った。

 2022年から2024年の鈴鹿8耐において3連覇を成し遂げ、昨年はホンダ通算30勝目を挙げ強豪として知られるTeam HRC。過去には全日本ロードでもワークスとして参戦し強さを見せていたが、2019年以降の参戦はなかったため、今回のもてぎ2&4レースにおける参戦は大きなトピックスだった。今回Honda HRC Test Teamとしてエントリーしており、目的としては鈴鹿8耐に向けてのテスト参戦だったが、その裏にはエースライダーである高橋の葛藤もあった。

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 高橋は鈴鹿8耐にも勝利に多大な貢献をし、昨年は自己最多勝利数を6に伸ばす快挙を達成するなどHRCにとってなくてはならない存在だ。全日本ロードにおいては過去2009年から2019年、2024年と長期に渡ってJSB1000クラスに参戦経験もあるが、今季のエントリーリストに名前はなくフル参戦は叶わず、1戦のみのスポット参戦となってしまった。

「昨年走っていたJAPAN POST HondaDream TPが走れないと分かったのが結構年末に近いタイミングだったので、そこからチームを探すことは難しかったです。一番近いのはHRCなので出られるチームを探してほしい、もしくはHRCで出てほしいとずっと要望は出していました。一戦だけでも出られているのでまだいいですが、1度離れたら戻るのも厳しいと思うので……ここ(もてぎ)である程度スピードを見せてアピールしたいですね」

 全日本ロードへのフル参戦は惜しくも叶わず、悔しさを口にした高橋。彼にとって今季のターゲットとなるのは、必然的に鈴鹿8耐での4連覇、および自己最多勝利数の更新となる。その目標に向け、JSB1000クラスのレギュレーションに沿って多少の変更は加えられているが、タンクなども同じものを使用しており実車に近い状態のホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SPを用意し、今回の開幕戦もてぎ2&4レースでテストを兼ねて実践投入した。

 全日本ロードの舞台とはいえ、鈴鹿8耐で争うこととなるライバル勢が揃っているため、今回もてぎ2&4レースはテストをするには最高の機会となる。2年目にして初優勝を狙うDUCATI Team KAGAYAMAだけでなく、2019年以来に復活するYAMAHA RACING TEAM。さらにワークススペックのエンジンを積むBMW M1000RRを投入したAutoRace Ube Racing TeamBMWと強敵が揃っているため、本戦を前にお手並み拝見ができる場となっている。

 実際、鈴鹿8耐の模擬戦のような形で全日本ロードが幕を開けることとなったが、そのことも想定し今回HRCと高橋はスポット参戦を決めたのではないだろうか。決め手となったのはそれだけではないはずだが、考えられるのは鈴鹿8耐本戦まで走行機会が限られていることが大きな理由のひとつだと予想される。実際に高橋も「走行時間や乗る頻度を増やしてほしい」と口にするほどだ。

 エースライダーの高橋は少ない時間で勝てるマシンを作り上げなければならないため、今回はウイーク中の数少ないセッションでも様々なことを試し、改良していく必要がある。モビリティリゾートもてぎにて行われた事前テストで初乗りができたとはいえ、すぐにもてぎ2&4レースの本番を迎えたため慌ただしいスケジュールとなったが、それでも彼らにとっては貴重な走行時間となった。

 その少ない時間のなかで、予選ではトップのドゥカティから0.393秒差の2番手を獲得し、さすがと言わざるを得ないポテンシャルの高さを見せつけた。高橋も「予想よりタイムも出ているし、ある程度は満足している」と語っていたが、マシンにはまだわずかに手応えを感じていない様子だった。

「今年からサスペンションがSHOWAさんから、オーリンズさんにメーカーが変わったので、それをうまく今の車両に合わせる準備と努力をして、良さをもっと引き出せるようにいろいろ試しています。去年の状態でもてぎを走っていないのでなんとも言えませんが、去年の方がまとまっていたと思います。まだまだやらなければいけないことはたくさんありますが、伸びしろはあると思います」

 予選で速さを見せ多くの期待を背負い臨んだ決勝だったが、好スタートを切るも1コーナーで集団にのまれてしまい、順位を下げてしまい追い上げる展開となった。中盤以降少しずつ挽回を図り、終盤は中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)と浦本修充(AutoRace Ube Racing TeamBMW)の後方まで追いつくことに成功。ただ、直接対決には至らずそのまま最後は4位で終えることとなった。 とはいえ、テストを兼ねての参戦ということを考えると、高橋の言うとおり今回転倒もなく走り切って多くのデータを収集できたことはチームにとってもプラスと言えるだろう。

「マシンのフィーリングがあまり良くなく、最初から攻められませんでした。転んでしまったら意味がないので、走り切るために順位を下げましたが、その後もフィーリングが戻らず最後まで何もできませんでした。とりあえず走り切ってこそ参戦の意味があると思うので、チェッカーを受けてデータは残したので参戦した意味はあると思います」

 また、鈴鹿8耐から比べるとスプリントではあるものの、20周の決勝レースを走り切り見えた課題もあり収穫はあったようで、すでにチームと話し合いを進めて改良を進めているという。さらに、決勝においては鈴鹿8耐さながらのバトルもあり、他メーカーの戦闘力も垣間見えた1戦となったようだ。

 なかでも、レース終盤にターゲットとなっていた浦本が駆るBMW M1000RRについて高橋は「ホンダもストレート速いはずなんですけど、相当速いですね。ストレートもコーナーへの立ち上がりからずっとストレートまで速くて、もうすべての加速がすごいです」と驚きを隠せない様子。

 さらに、過去に優勝経験のあるヤマハ・ファクトリー・レーシングの復活は高橋もすでに意識しているようで、「ヤマハの鈴鹿8耐参戦は大会にとってはすごく嬉しいことだと思います。去年以上にさらに盛り上がると思いますが、その分強敵にもなるので、レースには当然負けたくないですし、しっかり準備を進めていきたいです」と語った。

 今季は強豪チームが集まるだけに、ライダーラインアップも豪華となり激戦となることが予想されるため、Team HRCの4連覇はそう容易くいかないだろう。だが、そのプレッシャーも背負い、勝利に向けて着実に準備を進めていくTeam HRCと高橋に今年も注目していきたいところだ。

[オートスポーツweb 2025年05月03日]

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みんなのコメント

8件
  • hab********
    昨年型かもしれないがワークススペックのエンジンを全日本というローカル選手権に投入してきているドゥカティとBMW。
    対して、ワークスマシンが1台になったヤマハと、8耐にしか力を入れてないHRC。
    いいのか?このままで。
  • cho********
    スーパーバイクでもMotoGPでもHRCはちょっとずつ順位が上がってきてる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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