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水素パワーを“戦いの場”で解き放つ。MissionH24、3世代目の新型燃料電池プロトタイプは「パフォーマンス重視」

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水素パワーを“戦いの場”で解き放つ。MissionH24、3世代目の新型燃料電池プロトタイプは「パフォーマンス重視」

 ル・マン24時間レースの主催者であるACO(フランス西部自動車クラブ)と水素テクノロジーにおけるスペシャリストであるGreenGTのジョイントベンチャーであるMissionH24が、新型の燃料電池プロトタイプマシンを公開した。

 MissionH24は、FCVのプロトタイプマシンであるLMPH2Gのデモ走行を2018年にスパ・フランコルシャンで実施。翌年にはル・マン・カップでフリー走行に参加した。

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 LMPH2Gは4つの電気モーターを搭載していたが、その後継モデルであるH24はふたつの電気モーターと刷新されたパワートレインを備え、2022年にル・マン・カップの4レースを完走した。

 ACOはル・マン24時間レースに水素カテゴリーを設けることを目標に、ワーキンググループを立ち上げ、2018年5月に初めて会合を開催。今年に入り、2026年からル・マン24時間レースに燃料電池車と水素エンジン車の参戦が可能になると発表が発表され、ル・マンではトヨタが水素エンジンマシンのGR H2 Racing Conceptを公開した。

 MissionH24は、燃料電池システム、水素タンク、電気モーター、バッテリーの「研究、開発、検証、バーンイン試験といった重要な段階」を終えた今、新型プロトタイプでは「サーキットで他のエネルギー形態(のマシン)に匹敵するパフォーマンスを発揮することに焦点を移した」としている。

 MissionH24の共同代表であるジャン-ミシェル・ブーレッシュが「カーボンニュートラルのモータースポーツに向けた次なるエキサイティングなステップ」と称する新型プロトタイプの車重は、H24より116kg軽い1300kg。最高時速は320km/hに達するとして、LMGT3クラス上位と同等のスピードを目指すと表明した。

 ACOのピエール・フィヨン会長は、新型プロトタイプの発表に際して次のように語った。

「レーストラックに水素を持ち込んだ後、MissionH24は新たな段階に入ろうとしている。水素を競争の場に持ち込むのだ!」

「この新しいプロトタイプは、この場における他のエネルギー形態に肩を並べようとしている」

「水素テクノロジーは安全で、信頼性が高く、性能も発揮できる。現在の野望は、ル・マン24時間レースでゼロエミッション(マシン)の勝者を生み出すことだ」

 また、GreenGTでテクニカル・ディレクターであるバセル・アスランは次のように語った。

「MissionH24のおかげで、水素テクノロジーは競争の世界で注目を集めている」

「今こそ、このテクノロジーが化石燃料と同じ効率でゼロエミッションを実現できる代替燃料になると証明する時だ」

「この新しいマシンは、関係者にとって、エネルギーの転換に伴うモータースポーツの未来の象徴となるだろう」

 新型プロトタイプは来月、ソーシャルメディア上でのファン投票を経て命名が行なわれる。シャシー設計を担当するのはLMPH2G、H24同様にADESS AGで、3月にはシャシー設計が完了。来年10月にはパワーユニットのベンチテストが開始され、2025年にはマシンが組み上げられて最初のサーキットテストが開始される予定となっている。

 この新型プロトタイプは1基の電気モーターを搭載。18kgの軽量化を図りつつ、H24の350kW(約475PS)から650kW(約883PS)へ最高出力が引き上げられ、採用されるバッテリーは最高400kWを出力する。これにより、前述のパフォーマンスを発揮するのだ。

 次世代マルチスタック技術を用いた改良型のシンビオ社製水素セルシステムは、最大300kWを出力し、パワー密度はH24より50%向上すると推定される。

 H24では3つの水素タンクを搭載していたが、新型プロトタイプではACOのパートナー企業であるプラスティック・オムニウムから供給される水素タンクをふたつ搭載し、重量配分で有利に働くという。

 この水素タンクは700barで7.8kg(3.9kg×2)の水素を貯蔵することが可能で、重量は100kg程度となる。

 この新型プロトタイプは、将来的にル・マンで設置されるH2クラス用に計画されたインフラを用いて水素を補給することができるようになるという。

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