TOYOTA GAZOO Racingのテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンはは、日本メーカーのハイパーカーがWEC世界耐久選手権の“シーズンフィナーレ”となったバーレーン8時間レースで2台が別々の問題を抱え、「一筋縄ではいかなかった」と語った。
彼によれば、このレースを予選から支配し8時間で争われた決勝も最初から最後まで支配した8号車トヨタGR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組)は、クラッチのトラブルに直面していたという。
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また、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペスの3名がドライブし総合2位でフィニッシュした姉妹車の7号車は、今季2度目のトルクセンサー不良に見舞われた。
トヨタの技術部門責任者であるバセロンは、このふたつのトラブルについて、ケルンに本拠を置くWECチームが前を走り続けるためには厳しい管理が必要だったと指摘した。
「両方のクルマにとって、まったく単純なことではなかった」とバセロンは述べた。「我々は2台のマシンにトラブルが発生したことで、状況はかなり激しくなった」
「8号車はかなり早い段階でクラッチに問題を抱えていた。ある時点ではピット作業後にエンジンを再始動することができなかった。冷えたタイヤでは、それが引きずってしまいエンジンが掛からなかったんだ」
「だから我々はかなり限界だった。その後2速でスタートすることにしたが、本当に不安定だったよ。エンジンが始動しなかったので、かなりの時間を失ってしまった」
「最後の3回のピットストップはもっとも重要なものだったが、このトラブルはそれ以前に起きていた」
■可夢偉組にふたたびの不運
J SPORTSによる中継で可夢偉から語られていた7号車のドライブシャフト・マウント・トルクセンサーの不具合は、シーズン序盤のポルティマオ6時間レースでこのクルマから表彰台獲得のチャンスを奪ったタイプの問題ではなかった。
第2戦ポルティマオでは、トヨタ7号車はガレージに入ってドライブシャフトを交換するよう命じられ、大幅なタイムロスとチャンピオンシップ・ポイントの犠牲を強いられた。
しかしこのエピソード後に手順が変更され、バーレーンではトヨタがFIA国際自動車連盟とACOフランス西部自動車クラブに状況を伝えた後、7号車はパフォーマンスを落とした“バックアップ・モード”での走行が許可された。
「ポルティマオでのトラブルは内部の故障であり、センサーは一体化していた」とバセロンは説明する。
「それは単なる電子的な故障だった。一方、今回は機械的に壊れていた。ふたつのパーツに分かれているセンサーが開いた状態だったんだ。同じクルマで、このようにふたつのまったく異なるセンサーの故障が発生したことは本当に驚きだ」
■壊れたセンサーを外すべきか、触らぬべきか……
バセロンは「問題はその後バックアップ・モードと少し戦わなければならなかったことだ」と続けた。
「バックアップ・モードは(本来のパフォーマンスと)同等ではないからね。私たちはACOの友人を納得させるために、かなりのパワーをデチューンしなければならなかった」
「レギュレーションが変わったことで、私たちはバックアップの許容範囲についてより正確に取り組むようになった。だから、それが起こったときにはFIAに報告する。私たちはバックアップ(・モードの使用を)を求めたんだ」
「しかし、バックアップは(故障の)前のように100%ではない。このようなことが起きたときに利益がないことを確実にするために、かなり多くのポテンシャルを弱めなければならない」
バセロンによると7号車はレース後半、壊れたセンサーをドライブシャフトにぶら下げたまま、バックアップ・モードで走行していたという。そのため、TGRでは長時間のピットストップを行うべきかどうかの議論が引き起こされた。
「センサーがぶら下がっていたので、配線を引きちぎってしまわないか心配だった」と彼は振り返った。
「そして私たちは、ピットストップ中に本当に適切にセンサーを取り外すことができるのか、配線が外れてクルマが止まってしまうリスクを冒すのかを自問自答していた」
「ピットストップで少し見てみると、センサーはぶら下がってはいるものの定位置に留まっていた。だから我々はそのまま行くことにしたんだ」
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