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ゼロエミッションアイランドへの挑戦。世界自然遺産 屋久島にEVバスが走る

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ゼロエミッションアイランドへの挑戦。世界自然遺産 屋久島にEVバスが走る

ヒョンデは、日本市場において2009年から大型観光バス「Univers(ユニバース)」を販売しているが、近年ではこうしたバスのZEV(ゼロエミッションヴィークル)化にも積極的である。そのひとつが中型電気バス「ELEC CITY TOWN(エレクシティタウン)」だ。今回は、ヒョンデといわさきグループが協定を締結し、そんな電気バスが世界自然遺産 屋久島を走ることになった。

公共交通機関の路線バスをEV化することでCO2排出量を削減
Hyundai Mobility Japan(ヒョンデ モビリティ ジャパン、以下ヒョンデ)では、エレクシティタウンの日本発売に先立ち、2024年7月18日にいわさきグループとの間で、EVバス「エレクシティタウン」5台の販売に関する基本合意書を締結している。そして2025年4月21日には、鹿児島県熊毛郡屋久島町でその納車式が行われた。

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またその前日には、ヒョンデと屋久島町が「屋久島における電気自動車を活用した包括連携協定」を締結している。これは屋久島が、鹿児島県の掲げる「2050年カーボンニュートラル実現」にむけた先進地域であり、水力発電による再生可能エネルギー自給率99.6%を誇る「ゼロエミッションアイランド構想」にヒョンデが賛同し、公共交通の脱炭素化を通じて持続可能な島づくりに貢献するという官民連携の取り組みなのである。

こうして今回、納車されたヒョンデのEVバス「エレクシティタウン」は、いわさきグループが運営する屋久島・種子島交通株式会社の路線バスとなり、屋久島内を走ることになる。

脱炭素と自然共生の第一歩が始まる
いわさきグループへの納車式には、岩崎産業の岩崎芳太郎社長、Hyundai Motor Group(HMG)の張在勲(チャン ジェフン)副会長、HMJの七五三木敏幸(しめぎ としゆき)社長が出席して行われた。

チャン副会長は「この美しい自然と共生する地で、弊社の電気バスが走る姿を見て、屋久島のゼロエミッションアイランドへの挑戦とともに歩めることはカーボンニュートラルの実現に向けた大きな一歩だと思いました」とコメント。

また岩崎社長は「屋久島は世界遺産に登録される以前から、自然と共生する特別な環境を有する島です。電力の99%以上を水力でまかなう、世界的にも稀少な地域であり、まさにゼロエミッションの理想に近い場所だと感じています。ヒョンデの電気バス導入を通じて、この地で持続可能な未来への一歩を踏み出したいと考え、5台の導入を決断いたしました。ヒョンデの高度な技術と真摯な姿勢に支えられ、地域と連携しながら、世界に発信できる新たなモデルづくりを共に進めてまいります」と語る。

そして七五三木社長は「屋久島でゼロエミッションの電気バス導入を実現することは私たちの強い願いでした。静かな走行性能や2段階回生ブレーキにより、山道でも安定した走行が可能で地域環境と調和した移動手段となります。安全性、快適性、経済性を兼ね備えたこのバスは、地域住民や観光客によって新しい価値をを提供します。さらにこのバスは災害時に電源供給車としても活用可能で、避難所へ電力を供給することで地域のレジリエンス強化にも寄与します。今回、いわさきグループ様、屋久島町様、そして弊社の三者間で災害時の電源供給に関する協定を締結しました。この取り組みは、屋久島町が目指す持続可能な観光と地域づくりに貢献し全国に広がる公共交通のスタンダートになると確信しています」と思いと今後の展望を語った。

安全性能や装備、保証は日本のニーズに合わせている
従来、バスはディーゼルエンジンが唯一の選択肢だったが、技術革新によりバス運行で求められる条件を満たせる「エレクシティタウン」が開発され、2024年末に日本で販売が開始された。

このヒョンデの中型電気路線バスは、日本のバス車体規格ガイドラインにも準拠し、ワンマン路線バスに必要な装備や安全装備、保証などに対応するなど日本市場のニーズに合わせている。

またリチウムイオンバッテリーは、乗り降りのしやすさに配慮しフロア位置を下げるため、車両の上部に搭載する。

「エレクシティタウン」の導入に際し、標高1000mを超える山岳地帯を有する屋久島の独自環境を想定した実走行試験を実施している。とくに電気バスにとってもっとも厳しい走行環境とされる「ヤクスギランドルート(往復約30km)」や「白谷雲水峡ルート(往復約25km)」にて走行テスト、積載や長距離の登坂といった地形課題の懸念もクリア、急勾配、急カーブの続く山岳ルートにおける安定した走行性能も確認されている。

充電は、CHAdeMO方式に対応、90kWh×2の入力に対応し、充電時間は最短50分(SOC10%→100%)となる。また、新規車両登録後からフロントガラス、サイドミラーは10年間、タイヤパンクは5年間にわたり修理、交換サービスが提供、車両管理の省力化を実現するOBD2コネクタを介したテレマティクスサイービスの導入準備、車両故障や修理対応による稼働時間減少への対策として現在販売中のユニバースの部品同様に国内翌日納品率95&以上を目指して初期部品在庫を準備している。

エレクシティタウンの特徴
プロジェクター式LEDヘッドライト/LED式デイタイムランニングライト/専用フロントデザイン/セミフラッシュタイプ側窓/LED式車高灯/熱線入りアウトサイドミラー/専用リアデザイン/リアコンビランプ/フルカラー12.3インチマルチインフォメーションメーター/ステアリングヒーター/プッシュボタン式ミッションセレクター/マルチファンクションシート/車内に空気清浄機(車内集塵式)/車両安定装置(VDC=Vehicle Dynamic Control)※1/後退時車両直後家訓装置(PDW=Parking Distance Warning)※2/ドライバー異常時対応システム(EDSS=Emergency Driving Stop System)※3/ドライバーモニタリングシステム(DSW=Driver State Warning)※4/扉外部センサー※5/全席にUSBの充電ポート
※1 各種センサーで車両の挙動を測定し、モーターの出力、ブレーキを制御し悪天候や滑りやすい路面でも車両のコントロールを容易にする
※2 後退時に超音波センサーで歩行者や障害物の接近を感知しメータークラスターの表示と警報音で乗務員に注意を促す
※3 ドライバーが安全運転できないなどの緊急事態が発生した場合、運転席と客席に設置された非常ボタンを押すことで車両を緊急停止できる
※4 ダッシュボードに設置されたカメラがドライバーの状態をモニタリングし居眠りや脇見運転をシステムが判断するとメータークラスターの表示と警告音で注意を促す
※5 前扉及び中扉外部に近づく歩行者や障害物を超音波センサーで感知しメータークラスターに表示して注意を促す

災害時の非常電源として利用可能なIONIQ5とインスターが寄贈された
V2H機能を使い災害時の非常用電源車としても活用、協定式では、台風や豪雨などの災害リスクに備え、ヒョンデと屋久島町は電気バスのV2H機能を使用することで避難所や医療施設への電力供給を通じて、地域の防災を強化する。さらに今回は、ヒョンデから災害時の非常電源として活用可能なIONIQ 5とインスターが寄贈されている。

ヒョンデ エレクシティ タウン 主要諸元
全長×全幅×全高:8995×2490×3400mm
ホイールベース:4420mm
トレッド 前/後:2080/1855mm
バッテリー容量:145kWh
充電方式:CHAdeMO
航続距離:208km
最高速度:80km/h
駆動モーター:ZF製セントラルモーター
モーター出力:160kW
最小回転半径:7.6m
乗車定員:55人
登坂能力:25%
タイヤサイズ:275/70R22.5 150/145J

[ アルバム : エレクシティタウンやIONIQ5、インスター はオリジナルサイトでご覧ください ]

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