メルセデス・ベンツが長年培ってきたラグジュアリーと快適性の理想を実現
メルセデス・ベンツ日本は、9月29日、同ブランド初のラグジュアリー電気自動車「EQS」を発表。同日より「EQS 450+」を発売すると同時に、「EQS 53 4MATIC+」の予約注文の受付を開始した。なお、納車は本年10月ごろを予定しているという。
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このEQSは、メルセデス・ベンツが長年培ってきたラグジュアリーと快適性の理想を実現した電気自動車となる。専用のプラットフォームを新たに設計・開発するだけなく、電気自動車ならではのパッケージの有用性を活かしたエクステリアデザインでは、空力という機能性も兼ね備えた先進の美しさを表現した。
室内で圧倒的な存在感を放つタッチ式のMBUXハイパースクリーンもまた、機能性と美しさの両面を持ち合わせている。NVH対策も徹底的に行い、静粛性はこれまでにないレベルに達している。またHEPAフィルターを採用した空気清浄システムにより、室内の空気はクリーンに保たれる。
こうしてメルセデス・ベンツEQSは、人間の視覚、聴覚、触覚、嗅覚を通して、次世代のラグジュアリーを感じられる電気自動車として誕生した。同時に、EQSをベースにしたメルセデスAMG初となる電気自動車モデル、EQS 53 4MATIC+も登場した。
「Sensual Purity」思想が反映されエクステリアデザイン
EQS 450+
EQSの革新的なデザインは、EQ初のプレミアムな電気自動車としての新しいプラットフォームをもとに生まれたもので、内燃エンジン搭載車とは大きく異なるスタイリングであることが一目でわかる。機能性やエアロダイナミクスに対する厳しい要求を満たす「目的に沿ったデザイン」には、ゆったりとした面の構成、継ぎ目の少なさ、そしてシームレスデザインといった「Sensual Purity(官能的純粋)」の思想が反映されている。
EQS 450+
スポーティで低く構えたフロントは、グリーンハウスを跨いで続く「ワン・ボウ」(弓)のラインとサッシュレスドアにより、クーペのようなシルエットを形成している。フロントにエンジンやトランスミッションを縦置きする必要がないことから、メルセデス・ベンツの典型的なシルエットとは異なるキャブフォワードデザインを採用。通常よりも前方に位置するAピラーと前後のショートオーバーハングにより、ゆったりとしたキャビンスペースを確保することができた。
EQS 53 4MATIC+
フロントフェイスは「ブラックパネル」ユニットに統合されている。ここには、超音波センサー、カメラ、レーダーセンサーなど運転支援システムのさまざまなデバイスが組み込まれているが、それらが表から見えることはなく、クリーンで独特の存在感を放っている。
また、ボンネットは左右フェンダーまで回り込んでおり、シームレスなデザインとしているだけでなく、高速巡航時にボンネットが浮く現象を抑え、空力的にも有効な機能性も備えている。左フェンダー側面のサービスフラップはウォッシャー液補充のためのもので、ボンネットは、室内用エアフィルター交換などのメンテナンス目的の場合にサービス工場でのみ開閉可能となっている。
ベルトラインに配置されたドアミラーは、空力と低騒音が最適化されたデザインとなっている。格納式のシームレスドアハンドルは全車に標準装備となる。
EQS 53 4MATIC+
ルーフからなだらかにつながるクーペのようなリアエンドは官能的なデザインとする一方、テールゲートにスポイラーを設けることによりスポーティな印象も持ち合わせ、コントラストをつけている。テールゲートは、隙間を精密にデザインすることでボディとの段差を最小とし周囲との連続性を表現。
リアカメラはスリーポインテッドスター裏側の、汚れが付かない位置に格納されている。LEDリアコンビネーションランプの内部は、曲線的な螺旋構造となっており、立体的に映るような工夫が施されている。フロントと同じくリアにも連続したライトバンド(光の帯)が設けられ、メルセデスEQモデルであることを強調している。
多彩なデジタル要素を取り入れたインテリアデザイン
EQSは、EQとして初めて電気自動車専用プラットフォームを採用したモデルであり、インテリアデザインにおいてはデジタルな要素を取り入れている。MBUXハイパースクリーンは、象徴的な装備のひとつで、3枚の高精細パネル(コックピットディスプレイ、有機ELメディアディスプレイ、有機ELフロントディスプレイ[助手席])とダッシュボード全体を1枚のガラスで覆うワイドスクリーンで構成されている。そのまわりを、細いシルバーのフレーム、エアアウトレットを組み込んだルーバー状のトリムなどが囲んでいる。
センターコンソールの前部はダッシュボードにつながり、下側は宙に浮いたような構造となっている。これは、電気自動車専用プラットフォームの採用により、従来のようなセンタートンネルが必要なくなったことを視覚的に示している。
EQS 450+には、デザインはシンプルながら造形美にこだわったシートを採用。サイドサポートの「ラップアラウンド」形状は、乗員の身体を支えるとともに、シートの中央部とのコントラストによる立体感を生み出している。オプションのAMGラインパッケージではスポーツシートが標準となる。スリムな一体型の形状が特長でシート表面は本革のカバーを上から掛けたように見えるデザインが施されている。なお、シートは輪郭に沿って照明付きパイピングが施されており、夜間走行の際には雰囲気のある室内空間を演出する。
ナビゲーションの表示では視線移動が大幅に削減できるため、疲労が軽減されるとともにリラックスした運転が可能となる。MBUX ARナビゲーションは車両の前面に広がる現実の景色がナビゲーション画面の一部に映し出され、その進むべき道路に矢印が表示。
さらに、EQS 450+にオプション設定、EQS 53に標準装備されているARヘッドアップディスプレイでは、進むべき道路がフロントウインドウの約10m先の景色に重ねて矢印で表示される。車の進行方向が変わると、それに従って矢印も動き、常にどの方向に進むべきかを分かりやすく表示。これにより、目線を逸らさず、より直感的にどの道路に進むべきかを判断することができる。
Cd値0.20(欧州仕様参考値)を達成したエアロダイナミクス
エアロダイナミクスについては、ディテールに対する多くの細かな作業を通じて、デザイン担当者と緊密に協力し、空気の流れを最適化することによりCd値0.20(欧州仕様参考値)という量産自動車での最高値を達成することに成功。
このきわめて優れたエアロダイナミクスは、特にディテールに対する膨大な作業を通じて実現したもの。アンダーボディのような通常目に見えない場所にまでも徹底的に手を加えながら開発が進められた。仮想風洞内で実施した演算の回数だけでも数千回にのぼっている。
以下、エアロダイナミクス開発の詳細についての一部となる。
•エアロダイナミクス的に有利なサイズやジオメトリを最適化したタイヤ
•エアロダイナミクスを考慮したホイール
•フロント部に施した連続シール(サービスフラップ、ブラックパネル、ヘッドライトの間など)
•Aピラーの流線形デザイン
•テールゲートのスポイラーにより、リアアクスルに働く揚力と空気抵抗をともに低減
最高出力333PS[245kW]を発生するパワートレイン
EQS 450+はリアアクスルに電動パワートレイン(eATS)を搭載し、最高出力333PS[245kW]を発生する。航続可能距離は、リチウムイオンバッテリー容量107.8kWhで、日本で販売されている電気自動車の中で最長となる700km(WLTCモード)。電気モーターには永久磁石同期モーター(PSM)が採用されている。PSMでは、ACモーターのローター(回転子)に永久磁石が取り付けられているため、ローターには通電の必要がない。電気モーターは三相の巻線を2つ備える六相式を採用しているため、きわめて強力となっている。
一方、AMG EQS 53 4MATIC+はフロントとリアにeATSを備えており、最高出力は 658PS[484kW]を発生(RACE START 使用時は最大 761PS[560kW])。航続可能距離は601(WLTCモード)。トルクシフト機能によってフロントとリアの電気モーター間で駆動トルクの連続可変配分が行われるため、前後駆動力配分は常に効率的かつ最適化されている。
なお充電は、6.0kW(る200V・30A充電)までの交流普通充電と、150kWまでの直流急速充電(CHAdeMO規格)に対応している。その充電時間は、90kWタイプの場合、10%~80%の充電にかかる時間は55分、30分間の充電(10%から開始)で47%の充電量となる。
【メーカー希望小売価格】
※上記のメーカー希望小売価格は、付属品価格、税金(消費税を除く)、保険料、登録に伴う諸費用を含まない車両本体価格。また、「自動車リサイクル法」に基づく、リサイクル料金が別途必要となる。
関連情報:https://www.mercedes-benz.co.jp/
構成/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)
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