ベテランモータースポーツジャーナリスト、ピーター・ナイガード氏が、F1で起こるさまざまな出来事、サーキットで目にしたエピソード等について、幅広い知見を反映させて記す連載コラム。今回は、2026年からF1に参戦する予定のキャデラックF1チームがマイアミGPでローンチイベントを実施したことを受け、ドライバー候補のうわさや、開発の進捗状況についてまとめた(全2回)。
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マイアミに登場した新キャデラックF1チーム(1)奇妙な発表会と、ペレス復活へ高まるファンの期待/F1コラム
新たなキャデラックF1チームが、2026年のグリッドでどの位置に来るのか、非常に興味深い。
現在参戦する10チームは、2026年型マシンの開発を今年になってようやく開始することができ、現行シーズンを戦いながら新型車に取り組まねばならないという制約に苦しんでいる。一方で、キャデラックは2026年モデルの風洞実験をすでに昨年から開始しており、それがアドバンテージとなっている。
しかしながら、彼らには過去のシーズンからのデータがなく、それは大きな足かせとなる。多くの既存F1チームの経験豊富なエンジニアたちがキャデラックに加わっているが、当然ながら彼らは以前の雇用主の元で得たデータを持ち込むことは許されていない。しかしもちろん、彼らの頭脳をリセットすることはできないため、他チームから経験あるエンジニアを雇用することでキャデラックが得る知見は、極めて大きな助けとなるであろう。
キャデラックF1チームは、現在、複数のファクトリーのもとで、参戦準備を行っている。ヨーロッパの拠点はイギリスのシルバーストンに置き、アメリカ・インディアナ州には新しく大規模な本部が建設され、エンジンおよびシミュレーター部門はノースカロライナ州に所在している。
キャデラックは2029年になるまでは自社製エンジンを使わず、それまではフェラーリのカスタマーチームとして活動する。チームのインフラは多くの面でロジスティクス的に悪夢のような構造ではあるが、それは同時にハースF1チームの構造をも想起させるものである。
キャデラックは現在、ケルンにあるトヨタの風洞施設で作業を行っている。この施設は最近までマクラーレンが使用していたが、マクラーレンは、イギリスに自社の新しい近代的な風洞施設を開設した。キャデラックはすでに最初のシャシーを受領。このシャシーは主に、新しいF1マシンすべてが通過しなければならない多数のクラッシュテストを実施するために使用される。
かつては、新チームは制限なしにテストを行うことが可能だった。たとえば、2001年にはトヨタは、2002年の公式デビューに先立ち、世界中のF1サーキットで大規模なテストプログラムを実施した。この徹底した準備は、ミカ・サロがトヨタにとって初のF1レース、2002年オーストラリアGPで見事に6位フィニッシュを果たした要因のひとつといえる。
しかし、現在の規定の下では、新しい2026年型F1マシンは、2026年1月末にスペインのバルセロナ・カタルニア・サーキットで予定されている初回のウィンターテストまで、走らせることが許可されていない。
キャデラックはここ数カ月間、他チームからエンジニアやメカニックを積極的に引き抜いてきたが、彼らはまだレース週末という実戦環境下で共に作業を行ったことがない。そのため、キャデラックは、ドライバー、エンジニア、メカニック間の協力に焦点を当て、何らかのシングルシーターマシンによるプライベートテストを行うため、投資を行う計画を立てている。
キャデラック――それは「アメリカン・ドリーム」になるのか? それとも「ナイトメア」になってしまうのか? それを明らかにするのは時間である。そして、その時間は刻々と過ぎつつある。
[オートスポーツweb 2025年05月14日]
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