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“辛さ”好みで選ぶべし! アルピーヌ A110S 試乗記

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“辛さ”好みで選ぶべし! アルピーヌ A110S 試乗記

ミドシップの傑作ライトウェイトスポーツ、アルピーヌ「A110」に高性能版の「A110S」がくわわった。試乗にあたって不安だったのが、快適性とファン・トゥ・ドライブがべらぼうに高いレベルでバランスしているA110の黄金分割が崩れているのではないか、ということだった。

ギャラリー:“辛さ”好みで選ぶべし! アルピーヌ A110S 試乗記軽量モノコックバケットシートはサベルト社製。インパネやシートには、オレンジステッチがあしらわれる。エクステリアは、オレンジとカーボンの専用エンブレム付き。最高速度は260km/h。ブレーキはブレンボ社製。18インチのアルミホイールは鍛造。センターコンソールに設置された、エンジンやトランスミッションの変速スウィッチ。ステアリング・ホイールは、レザーと人工皮革のコンビ。走行モード切り替えスウィッチ付き。静止状態から100km/hまでに要する時間は4.4秒。メーターはTFT液晶。油温などはインフォテインメント用画面に表示出来る。ラゲッジルーム容量は、フロントが100リッター、リアが96リッター。ラゲッジルーム容量は、フロントが100リッター、リアが96リッター。足まわりを硬めたことで乗り心地が悪くなり、パワーを引き上げたことでエンジンの回転フィールが重ったるくなっていたらイヤだなぁ、と、心配だったのだ。

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【主要諸元】全長×全幅×全高:4205×1800×1250mm、ホイールベース2420mm、車両重量1110kg、乗車定員2名、エンジン1798cc直列4気筒DOHCターボ(292ps/6420rpm、320Nm/2000rpm)、トランスミッション7AT、駆動方式MR、タイヤサイズ(フロント)215/40R18(リア)245/40R18、価格899万円(OP含まず)。A110とA110Sは、ひと目で区別がつく。A110Sのルーフは黒いカーボン製なのだ。これで1.9kg軽くなった、と、聞いて「たったの1.9kgか……」と、思ったけれど、屋根を軽くすることで重心が低くなったことがポイントという。なるほど。

サベルト製の軽量バケットシートに身を沈めると、眼前に広がるインテリアの眺めはA110と変わらない。違いは、ハンドルやシートのステッチにオレンジの挿し色が使われている点くらいだ。

ギャラリー:“辛さ”好みで選ぶべし! アルピーヌ A110S 試乗記軽量モノコックバケットシートはサベルト社製。インパネやシートには、オレンジステッチがあしらわれる。エクステリアは、オレンジとカーボンの専用エンブレム付き。最高速度は260km/h。ブレーキはブレンボ社製。18インチのアルミホイールは鍛造。センターコンソールに設置された、エンジンやトランスミッションの変速スウィッチ。ステアリング・ホイールは、レザーと人工皮革のコンビ。走行モード切り替えスウィッチ付き。静止状態から100km/hまでに要する時間は4.4秒。メーターはTFT液晶。油温などはインフォテインメント用画面に表示出来る。ラゲッジルーム容量は、フロントが100リッター、リアが96リッター。ラゲッジルーム容量は、フロントが100リッター、リアが96リッター。スターターボタンを押してドライバー背後に積まれる1.8リッター直列4気筒ガソリンターボ エンジンを始動、デュアルクラッチ式の7段ATをDレンジに入れて出発する。まずは市街地で、乗り心地のチェックだ。

結論から言うと、乗り心地は買い物や通勤に使ってもまったく問題ないレベル。確かに路面からの突き上げが少しキツくなっているけれど、路面の不整を「タン、タン、タン」と、軽やかにクリアするA110の美点は損なわれていない。これなら助手席に座る人からも不満は出ないはず。

A110Sが採用するスポーツシャシーは、40psのパワーアップを受け止めるべく前後のスプリングレートをノーマル比で1.5倍~1.6倍ほど引き上げ、それに合わせてダンピングも強化されている。

首都高速の路面のつなぎ目を越える瞬間には「ビシッ」と、くるけれど、体の芯にズシンとくる深刻なものではなく、振動も一瞬で収まる。食レポで言うところの、さわやかな辛さだ。

バランスの良さはそのままにハイパワー化一方、エンジンはどうかといえば、市街地でも高速クルーズでも、懸念していた荒っぽさはまったく感じない。スムーズで、しかも右足にわずかに力を入れただけでも反応するレスポンスのよさも失われていない。

パワーは出ているけれどレスポンスが鈍くなって大味になるというのが、ターボエンジン出力アップ時の“あるある”だ。でも、A110Sのエンジンは、そんな弊害に陥らないよう、丁寧にチューニングされている。

ギャラリー:“辛さ”好みで選ぶべし! アルピーヌ A110S 試乗記軽量モノコックバケットシートはサベルト社製。インパネやシートには、オレンジステッチがあしらわれる。エクステリアは、オレンジとカーボンの専用エンブレム付き。最高速度は260km/h。ブレーキはブレンボ社製。18インチのアルミホイールは鍛造。センターコンソールに設置された、エンジンやトランスミッションの変速スウィッチ。ステアリング・ホイールは、レザーと人工皮革のコンビ。走行モード切り替えスウィッチ付き。静止状態から100km/hまでに要する時間は4.4秒。メーターはTFT液晶。油温などはインフォテインメント用画面に表示出来る。ラゲッジルーム容量は、フロントが100リッター、リアが96リッター。ラゲッジルーム容量は、フロントが100リッター、リアが96リッター。さらにETCゲートを抜けたときやワインディングロードに入ったときにトップエンドまでまわすと、好ましい点が見えてきた。パワフルなのはもちろん、高回転域での“ヌケ感”が増したのだ。カーンと突き抜ける。

スペックを見れば、ノーマル仕様は最高出力252psを6000rpmで発生している。対してA110Sは292ps/6420rpmだから、高出力化とともに高回転化も果たしている。

そして曲がりくねったワインディングロードで、A110Sは文字通り水を得た魚のように生き生きとした。もともとA110はゴーカートのようにパキッパキッと曲がるのではなく、少しロールしながら優雅なコーナリングフォームで、コーナーに弧を描くように曲がることが特徴だった。

A110Sもそうした個性を引き継ぎながら、引き締めた足まわりによってハンドル操作に対するレスポンスが一層シャープになった。コーナーを攻め込んでみると、ロールが減ったこととハンドル操作への反応が鋭くなったことで、水平方向にすいすいと移動するミズスマシのように感じる。

この気持ちよさを味わうと、街中で感じたちょっとした突き上げがどこかへ吹き飛んでしまう。

スポーツサスペンションの恩恵を強く感じるのは、S字コーナーで左右に切り返す場面だ。左コーナーをクリアしてから右コーナーに入る瞬間の、荷重の移動がべらぼうにスムーズなのだ。

ヘアピンの入り口ではブレンボ製の強力なブレーキでスピードを殺しながら、切れ味の鋭い7段ATを2速にまでシフトダウン。前後ともノーマルより10mm幅広いミシュラン・パイロットスポーツ4がギュッと路面をつかんでコーナーを立ち上がる。やめられない、とまらない、食レポで言うところの、後をひく辛さだ。

快適さを犠牲にすることなく、刺激と興奮だけを味わえるのがアルピーヌA110のよさであり、フランスのスポーツカーらしいところだった。A110Sは少しホットになったけれど、バランスは崩れていない。

神保町のカリーライスの名店、エチオピアでいえば「辛さ5倍」が「辛さ15倍」になった感じだ。「辛さ5倍」のほうがおいしく食べられる人もいれば、もっと刺激がほしいという人もいる。いずれにせよ、基本のルーが上出来だから、スパイスはいかようにも増減できるのだ。辛いものが好きな筆者は、「辛さ15倍」 のA110Sを選ぶ。

文・サトータケシ 写真・Eric Micotto

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