明確に言語化するのは意外と難しい
今回のテーマは『最近のアウディ』、である。
【画像】アウディは癒しのクルマ?今回試乗した『A6アバントeトロン』と『SQ5』 全141枚
さてアウディと聞いて、その印象を明確に言語化するのは意外と難しいと思う。少なくとも、これまで私はそう思ってきた。しかしこうして原稿を書き始めたのは、言語化の糸口が見つかったからだ。
今年の日本におけるアウディはモデルラッシュで、既にA5とQ6 eトロンを発表。筆者はいずれも試乗済みで、特に後者は高速道路を中心に100kmほど乗らせて頂いた。
そこで思ったのが冒頭の話で、技術的に様々な試みを行っているのは理解できるのだが、クルマとしての基本的な魅力がわかりにくいと感じていた。もう少し平たく書くと、面白みにかけると思ってしまったのだ。
そんな中で先日開催された、『アウディA6 eトロン』及び『アウディQ5』のメディア向け試乗会に参加することができた。
これは7月24日に同時発表された新型モデルで、前者はeトロンということでBEV、後者は全車ICE(ガソリンとディーゼル両方あり)のマイルドハイブリッドとなる。試乗車は『A6アバントeトロン・パフォーマンス』と3L V6ターボの『SQ5スポーツバック』だ。
糸口は試乗前のプレゼンで見つかった。それはアウディにおける現在のトレンドが、『運転を楽にしたい』ということだ。こうして文字にすると当たり前のようにも思えるが、それを聞いた時、全てが腑に落ちた。なるほど、だからアウディに面白みを感じなかったのかと。
乗りやすさとBEV=eトロンは相性がいい
というわけで、以後の試乗は運転の楽さ、乗りやすさを確認する作業となった。
まず試乗したのは、A6 eトロン・アバント。今回の特徴は何といっても、国内最長となる846kmの航続距離だが、距離だけでなく質感にも注目して欲しいという話がプレゼンあった。
乗っていてまず気がついたのは、大径気味のステアリングの上側と下側が切ってあり、台形となっていることだ。これは上側のラインとダッシュボード上面が同じ高さになっていて、視界のよさに繋がっていた。ステアリングの操作感自体は軽めで、ストレスが少なく感じた。
ウインカーをつけると、ダッシュボード奥で曲がる方向にイルミネーションで光が流れて、これまたわかりやすいと感心。ヘッドアップディスプレイも視認性が高い。
また、車幅は1920mmもあり、今回試乗した箱根の一般道ではオーバーサイズ気味のはずだが、クルマの大きさが掴みやすく、すぐに慣れることができた。車重は2250kgもあるが、峠道のフットワークは悪くない。
そして何より一番好感を持てたのは、そういった乗りやすさとBEV=eトロンの相性のよさ。そこにICEの振動や音が存在しなことで、快適さが増しているように感じたのだ。981万円という車両価格(試乗車は1012万円)もBEVとしてはいい線に思えた。
個人的な好みでいえば、スタイリングは少し重々しく感じるが、それには理由があった。アウディはこれまで、真横から見た時に窓とドアパネルの比率を1:2としてきたが、床下にバッテリーが入るため1:3に変更。その分、下側を黒くすることで、バランスをとったという。
そういった説明を聞いて実車を改めて見ると、確かに下半身に厚みがある雰囲気だ。着座位置も若干高めとなっている。それでもSUV全盛の中で、こうしたワゴンボディも残してあることに好感が持てた。
エンジンの存在が旧く感じる
続いて試乗したのは、SQ5スポーツバック。先に結論を書けば、Q5のベストバイはこの日は乗れなかった通常ボディのディーゼルだと思った(機会があれば検証したい)。
インターフェイスを始め、SQ5の美点はA6 eトロンと基本的に同じだ。ボディ形式が違うだけで、運転のしやすさは同様。ボディサイズも掴みやすく、「これもアウディだ」と直感できるものだった。
しかし、今度はエンジンの存在を旧く感じてしまった。SQ5の3L V6ターボは確かにパワーもあり峠道で走りやすかったが、Sを名乗るほどはエンジンがドライバーに主張をせず、あまり必要性を感じさせなかった。それよりはBEVのほうが、アウディの目指す方向と合致していて合点がいく。もしくは、燃費のいいディーゼルのほうがわかりやすい。
また、スポーツバックというクーペSUVのボディ形式も中途半端に感じた。後部座席の広さが十分であることは強調しておきたいが、どこかアウディの目指す方向と異なる気がするからだ。また、1058万円という価格を見た時に、「これなら1012万円のA6 eトロンのほうがいい」と思ってしまった。
ちなみに仮に同じスポーツバックだとしても、普通のQ5はガソリンモデルが795万円(Q5は760万円)、ディーゼルモデルが823万円(同788万円)だ。Q5は新規顧客が多いそうだが、これなら手を出しやすいだろう。世界的に売れているカテゴリーに対し、商品力は十分にあるように感じた。
その乗りやすさに癒される
2台の試乗後、会場に用意されていた『A5アバントTFSIクワトロ150kW Sライン』にも少しだけ乗ってみた。そして試乗して数分足らずで、私は車内でこう呟いてしまった。
「ああ、これだ……」
その日の私は正直、疲れていた。そして、その乗りやすさに癒されてしまったのだ。
2L直4ターボのガソリンエンジンは、いい意味で存在をほとんど感じさせないもので、車重1820kgは軽くないが、それまで乗った2台に比べると軽快さもある。車幅1860mmもあるのにクルマを小さく感じるし、運転していて押しつけがましい雰囲気が全くないのもいい。
「ディーゼルはラインナップされていないのか……。あればベストバイな気がするのに惜しいなぁ。…………ああ、やばい、やばい、やばい!」
ここでの『やばい』は、706万円の試乗車を買えるか真剣に考えそうになったという意味で、少なくとも疲れた身体に随分と沁みてしまったのである。
ドライビングプレジャーの意味が違う
こうして多くのアウディに触れてみて思ったのは、ボディ形式やパワートレインが違っても基本的に『どれに乗っても同じ』ということだ。もちろん褒め言葉である。
これは哲学に相当の自信がないとできないことだし、経営側に意志の強さが求められる。もちろん、SQ5のパワートレインやスポーツバックのボディに揺らぎを感じなくもないが、全体に1本の芯は通っていると思う。
恐らくアウディは、技術で説明できないことはないと思っているのだろう。極論すれば、スポーツカーですら楽しませるというよりも技術で性能を実現、克服したいだけなのかもしれない。
これは自分がイメージしているドイツらしさそのもので、当初、アウディを理解することができなかったのは、そもそも『ドライビングプレジャー』の考え方が自分の感覚と異なるからだった。
あくまで例えとして、筆者がずっと所有しているイタリア車が『五感で刺激を浴びたい』タイプのプレジャーなら、アウディは『五感を計算して不快に感じる部分を取り除く』ことで得られるプレジャーなのだ。
取り除くために用意されたすべての機能をこの短時間で理解するのは不可能で、正直、取材していてわかりにくい部分もあった。しかしそれはじっくりと時間をかけて理解すればいい話で、完全に身体に馴染んだ時に、アウディにはまる瞬間がありそうな気がする。
そしてそれこそが、アウディを好きになる瞬間なのだろう。
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