トヨタの名車と聞いて思い浮かべる車種は何でしょうか? 年代によっても違うと思いますが、殿堂入りを果たした車種となれば「2000GT」の名を挙げる人は多いでしょう。しかしながら「2000GT」は今や世界的なコレクターアイテムとなっていて、その希少性も加わって取引価格が1億円超という車両もあるほど人気が高騰しています。そんな「2000GT」に弟分的な存在の車種があったことを知っている人はどれくらいいるでしょう? その車種の名前は「トヨタ・1600GT」です。意外と聞いたことがないのではないでしょうか。ここでは、この名前から想像するとちょっとワクワクしてしまう「1600GT」を紹介していきたいと思います。
→【画像】「トヨタ、起死回生の一手…」「あえて別ネームで差別化」旧車の中でもかなりの希少価値を持つ2000GTの弟分。
●文:往機人(月刊自家用車編集部)
見た目は普通でも中身はスペシャル、あえて別ネームで差別化
「トヨタ・1600GT」は、1967年に発売されたトヨタのスポーツクーペです。
もしこの段階で名称をWEBで検索してその画像を見たとしたら、「あれ、これコロナ(3代目RT40型)じゃないの?」と思う人は多いでしょう。筆者もその一人でした。
しかしこの車種は「トヨタ・コロナ 1600GT」ではなく「トヨタ・1600GT」となっていて、別のラインナップという扱いでした。
―― 1967年にデビューした「トヨタ・1600GT」。生産期間が1年2か月と短命だったこともあって、総生産台数は約2200台。この時代のトヨタ旧車の中でもかなりの希少価値を持つ。
その要因はズバリ、搭載されているエンジンがスペシャルなものだからです。そのエンジンは「9R」という型式名が与えられたツインカムエンジンです。
1960年代後期のこの時代、吸気と排気で専用のカムシャフトが与えられたツインカム(DOHC)方式はレース専用のイメージが強く、市販車に搭載されているのはごくごく一部の特別なものでした。そのツインカムエンジンを普及価格帯の乗用車であるコロナに搭載するというのは、トヨタとしては異例のことでした。
なぜその企画が実現されたかというと、それはその当時、人気の高まりを見せていた「クラブマンレース(市販車ベースでおこなわれるレース)」に勝って、消費者にトヨタの技術力をアピールするためです。
そのとき強さを見せて表彰台を独占していた「いすゞ・ベレット」や「日産・ブルーバード」に後れを取っていたトヨタが起死回生の一手として投入したのがこの「1600GT」というわけです。
市販に先駆けて1966年に「RTX」という名前でレースに参戦しました。「RT」はコロナの型式で、そこに実験車両を意味する「X」を加えたカタチです。
その成果は上々で、しっかりと表彰台のてっぺんを何度も奪うことに成功しました。レースによっては排気量が大きい上位クラスの車輌よりも上の順位になることもあり、技術力をアピールする狙いはしっかり達成されました。
―― 「トヨタ・1600GT」 全長☓全幅☓全高:4125☓1565☓1375mm ホイールベース:2420mm 車両重量:1035kg
「9R型」は高性能DOHCエンジン、チューニングで150ps以上にも
この「1600GT」を特別な車種と位置付けているキーとなるエンジンは、1587ccの排気量を持つ直列4気筒DOHCの「9R型」ユニットです。
この「9R」は、ベース車のコロナに搭載されている1587cc直列4気筒OHVの「4R」をベースに、「ヤマハ」がDOHC化したものです。「2000GT」に搭載されている「3M型」ユニットとほぼ同時に開発がおこなわれ、4気筒ではトヨタで初めて発売されたDOHCユニットです。
元々カムシャフトがクランクシャフトの横に配されるOHVをベースにして、シリンダーヘッドに装着される2本のカムをカムチェーンで繋いだ構成です。ちなみにこの方式は、後の「カローラ・レビン/スプリンター・トレノ(TR27型)」に搭載の「2T-G型」ユニットにそのまま引き継がれます。
出力は「4R」の最高出力:90ps/5800rpm、最大トルク:12.8kg-m/4200rpmに対して、最高出力:110ps/6200rpm、最大トルク:14.0kg-m/5000rpmと2割以上の向上を果たしています。レースではここからチューンナップが施されて、最高で150ps以上を発揮していたそうです。
―― 「9R型」エンジン。1587cc水冷直列4気筒DOHCで110ps/14.0kg-mを発揮。
価格は破格の100万円級、でもそれに見合う価値ある一台だった
「1600GT」の特別感の高さを理解するのに価格を見ると分かりやすいかもしれません。当時の新車価格は96~100万円でした。今の感覚で見ればその数値は軽自動車の廉価版の価格でしかありませんが、貨幣価値の基準を当時に戻してみましょう。
まず、「1600GT」のベースモデルである「コロナ(RT40型)」の新車販売価格を見てみると、上位グレードの「DX」で約65万円です。現在のトヨタのラインナップにコロナに該当する車種はありませんが、少し前のモデルで同じコロナの系譜の子孫にあたる「マークX」の価格を見ると300~450万円となっています。
仮に該当グレードを限定して350万円として計算してみると、「コロナ(RT40型)」の5.4倍になります。
それを元に「1600GT」の価格を計算してみると、100×5.4で540万円となります。
偶然ですが、大衆車クラスの車体に高性能エンジンを搭載した代表的な車種「ホンダ・シビックtypeR」に近い価格になりました。
今は経済格差が大きいので、この価格を高いと見るか低いと見るかは分かれると思いますが、当時の経済状況ではかなりの高額車でした。その結果、販売台数は2200台強とごく少数に留まっています。
現在、旧車のイベントなどで、ごくたまに展示されているのを見掛けることがありますが、肌感では「2000GT」よりも出会える機会は少ないのではないか? それくらい貴重で希少な旧車と感じています。
―― 「1600GT」のインパネ。シートなどに2000GTと同一部品が使われたこともあって、「2000GTの弟分」とも呼ばれている。
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みんなのコメント
藤沢工場の人らしい
ボディの外見がそのままだから誤解されたりインパクト不足だったのはあたりまえ。
その反省でセリカのようなクルマが生まれたのだろう。