ロードスターの大ヒットに他社も対抗
いまからちょうど30年前、1989年9月(国内)に発売されたユーノス・ロードスター(NA型)。ロードスターの半分は、エンジニアのパッションで出来ているといわれるぐらい、スポーツカー魂が込められたモデルといえるだろう。
令和に語り継ぎたい名車「ユーノス ロードスター」が愛され続ける理由
スポーツカーとは何たるかを、あのクルマにすべて詰まっているといって過言ではなく、たちまち世界中のスポーツカーファンの心を捉えて大ヒット。初代NAロードスターだけで43万台も売れたのだから、他のメーカーもロードスターに続けと、各社が中型・小型のオープンカーを作って追従した。
そんなロードスターに影響を受けて登場したクルマたちを振り返ってみよう。
フィアット バルケッタ
1995年、「X1/9」以来の小型ツーシーターオープンスポーツカーとして登場。フィアット・プントをベースにショートホイールベース化し、1060kgと軽量に仕上げたのはよかったが、FFレイアウトということもあり、フロントデッキが盛り上がって格好はイマイチ。
しかもフロントヘビーゆえに、正統派ライトウエイトスポーツとは言い難い……。新車価格は、270万円と安価ながら左ハンドル/MT車という貴重な設定など、クルマ好きを刺激する要素はロードスターよりも上だったのかもしれない。
MGF
ライトウエイトスポーツの本家本元MGのブランドを復活させるべく、ローバーが1985年に登場させた一台。スポーツカーらしくミッドシップレイアウトを採用したのはさすがだが、ローバー100のFF用パワートレーンをそのままミッドに積んだだけだったので、エンジンの重心高が高く、コーナリングマシンにはなりにくい設計だった。 おまけに車体が小さいわりにホイールベースが長いので、ホイールベース:トレッド比は、1.69とマイルドな方向になってしまったため、スタイリングもシャープさに欠ける。”ミッドシップならばいいというものではない”というのを証明してしまったクルマともいえるだろう。
トヨタMR-S
MR-SはMR2(AW11・SW20)に続く、トヨタのミッドシップスポーツの三代目。これもまたFFのパワートレーンを流用した、お手軽ミッドシップの仲間だった。ボディは軽く、オーバーハングを切り詰め、全幅もショートにしたことで、運動能力と操縦性は、ライトウエイトスポーツとして楽しめるレベル。価格も186万円~とかなり良心的なお値段で、いまでもかなりオススメな一台といえるだろう。
ただしミッドシップスポーツのもうひとつの命、スタイリングに関しては期待外れ。カッコさえよければ、名車の仲間入りができたはず?
BMW Z3
1996年に登場したBMWのオープンカー。3シリーズのE36がベースで、古典的なロングノーズスタイルのフロントミッドシップを採用。リアサスはBMW伝統のセミトレーリングアーム式を採用した最後の一台となった。
車重が1175kgとライトウエイトとはいえない重さで、パワーウエイトレシオも8.39kg/psなので軽快感はない。フロントミッドシップにするためにホイールベースも長いので、オープンエアな雰囲気を楽しむためのクルマといった方がいい。
メルセデスベンツSLK
メルセデス・ベンツのCクラスのホイールベースを大胆に200ミリほど縮めて、2シーターのライトウェイトオープンカーとした開発。駆動方式はFRでホイールベース:トレッド比は、NAロードスターとほぼ同じ、1.61(ロードスターは1.60)となる。
車重は1200kgとやや重いが、2.3リッター+スーパーチャージャーで193馬力ほどあり、中型オープンカーとしての完成度はかなり高い。さすがメルセデス、クルマのことがよくわかっていると思わせるオープンカーだった。
番外編 ルノースポール・スパイダー
ロードスターの影響がどれぐらいあったかはわからないが、90年代を代表する究極のオープンスポーツ。ルノー・スポールが製造した最初の市販車で、1996年に登場。アルミスペースフレームとハニカム樹脂ボードによるシャシーは超軽量で、車重は790kg。
ルノー・メガーヌ16Vの2リッターDOHCエンジンをミッドシップに搭載し、パワーウエイトレシオは5.27kg/ps。ホイールベースも2305mmとショートで、ほとんどレーシングカーのロードゴーイングバージョン。フランスでは、このクルマで「スパイダートロフィー」というワンメイクレースが開かれていたほど刺激的なクルマだった。
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