■乗りやすく実用性が高いコンパクトSUV
2025年8月、待望のマイルドハイブリッドモデルが追加されたプジョーのコンパクトSUV「2008」。
その実力を試すべく、福島県まで足を伸ばしました。そこで見えたのは、フランス車とプジョーの伝統をしっかり引き継いでいたことでした。
【画像】これがプジョー「2008 GT HYBRID」の全貌です 画像で見る
今では想像しにくいのですが、1980年代初頭までのプジョーは、既存の技術を熟成した地味で実用的なFRのセダンを作り続けるメーカーでした。
しかし、コンパクトで若々しいデザインで1982年にデビューした「205」が大ヒット。以降、「306」「206」なども人気を博したことで、「プジョー=スポーティでデザインの優れたオシャレなハッチバック」の印象が定着しています。
そしてSUV時代が幕をあけると、2008年に「308」ベースのSUV「3008」、続いて2012年には「208」をSUVに仕立てた「2008」が相次いで登場。2026年現在では、旗艦モデルの「5008」を加えたSUVラインナップを形成。ハッチバック同様、スポーティでオシャレなイメージを引き継いでいます。
コンパクトSUVに位置付けられる2008は、2020年に2代目の「SUV 2008」(現在は2008)へとフルモデルチェンジ。
当初は1.2リッター直列3気筒ターボとBEV(バッテリーEV:電気自動車)の「e-SUV2008」を設定していましたが、2022年には1.5リッタークリーンディーゼルを追加、2023年のマイナーチェンジで内外装のブラッシュアップを行い、2025年8月には待望のマイルドハイブリッドモデルが発売を開始しました。
コンパクトSUVに属する現行型2008のボディサイズは、全長4305mm×全幅1770mm×全高1580mmというちょうど良いサイズ。ホンダ「ヴェゼル」に近いものとなります。
実際に街乗りや車庫入れをしてみると、全幅が1800mmを超えていないのは心理的な負荷の少なさにつながります。
また2008は車体四隅・タイヤの位置が感覚的に掴みやすく、前方視界も良好なため、ドアを開けてシートに座った瞬間に「乗りやすいクルマだな」と感じられました。
そして2008の美点は、フランス車が得意としてきた実用性の高さをしっかり受け継いでいることです。
208よりも全長を145mm、ホイールベースを70mm延長しており、ひとクラス上のCセグメントハッチバックやSUVに匹敵。もしくはそれ以上に広い後席足元とラゲッジスペースを確保しています。
フランス車、そしてプジョーといえばシートの出来が良いことで知られていますが、2008もその伝統を守っています。
昔日のモデルのような、座ると大きく沈み込む柔らかさは有しませんが、お尻の据わり、背もたれとの密着感といった全体的なフィット感は良好で抜群の座り心地。数時間座ったままでも、体に大きな負荷をかけることがありません。
外観デザインは、登場後6年が過ぎたとは思えないほどの斬新さをキープ。2023年のマイナーチェンジで「3本爪」のようなデイタイムライトを採り入れたことで、SUVらしさと洗練さ、精悍さもアップしています。
楕円形の小径のステアリングホイールの上からメーターパネルを見る「3D i-Cockpit」を採用した内装に大きな変更はないものの、センターのタッチディスプレイが10インチに大型化されているなど、使い勝手はアップ。
操作性に優れるダッシュボード中央の鍵盤式物理スイッチや、その下部に用意されるスマートフォン用ワイヤレスチャージャーはそのまま採用されています。
ワイヤレスチャージャーはリッド(ふた)付きなので、防犯的にも有効。そういえば、かつて同門であるシトロエンの一部車種(「ZX」「エグザンティア」「XM」など)では、盗難防止のために、カーオーディオをリッドで隠せるようになっていたのを思い出しました。
■「距離ガバ」勢に勧めたい、長距離での「無疲労性能」
そして気になるのが乗り心地や加速、ハンドリングなどの走行フィーリングです。
フランス車といえば乗り心地が良く、プジョーといえば「猫足」という言葉がよく引用されます。
「ふわ・どんぶらこ」という“オノマトペ”が似合うフランス車は、現在ではシトロエンをもってしても存在しませんが、それでもやはりしなやかにショックを吸収する足回りとやわらかな乗り味はプジョー、シトロエン、ルノーともに健在。
その中で2008含めプジョーは硬めの設定で、低速域では路面の段差を拾うものの、中高速域以上ではコンパクトSUVに乗っているとは思えないほどのフラットライドを見せてくれます。
コーナリングも重心の高さを感じさせず、思い通りに気持ちよくワインディング走行を楽しめます。
パワートレインは1.2リッターガソリンターボエンジンに、電動モーター内蔵の6速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせた、48Vマイルドハイブリッドです。
プジョーを擁するステランティスでは、このシステムを傘下のシトロエン、フィアット、ジープなど各ブランドに展開しています。
システム最高出力は145ps。カタログでは「走行状況によっては30km/hまでEV走行が可能。信号待ちの多い市街地走行では、1時間あたり約50%はエンジンを使用しない」と謳っています。
実際に乗ってみると、停車中や低負荷走行時はエンジンの停止時間が長いことが感じられます。EV走行からエンジンが始動した際の振動も、かなり抑えられています。
燃費はWLTC モードで21.5 km/Lをマーク。この数値は、燃費の良さをセールスポイントにしていた2008のディーゼルモデル「GT BlueHDi」の20.8km/Lよりも優れています。
また車重を1330kgに抑えていることもあり、街中、高速道路の合流や加速、山道での加速感は充分以上。アクセルペダルを戻した時は回生ブレーキが働きますが、その減速感は自然で、「ワンペダル運転」も可能です。
コンパクトな車体、快適で広い車内、優れた乗り心地とシート、必要十分な動力性能により、コンパクトカーながらも長距離は超がつくほどラクラク。
フランス車とプジョーに連綿と受け継がれてきた「小型車でも長距離で疲れにくい」という“無疲労性能”を2008も備えていました。
長距離で疲れるクルマは、シートが悪くて「腰が痛い」と気になったり、ステアリングがフラフラするので修正舵を当て続けたりと、どこかしらに意識を「消費」しないとならないのですが、2008ではそれが少なく、移動がほんとうにラクでした。
今回は福島県から東京までの長距離を走破しましたが、同乗のくるまのニュース編集部員とアレコレずっと話をしていたら、ほんとうにアッという間に帰って来てしまいました。
これは、安全にクルマを運転するために消費するエネルギーが最小限で済んでいる証拠といえます。狭い道でも乗りやすいコンパクトカーで日本中をグランドツーリングがしたい、という「距離ガバ」勢にもオススメの一台だと感じました。
2008のラインアップは、2026年7月現在ではガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンモデルがドロップして、ハイブリッドの「GTハイブリッド」のみを販売。
価格は税込で442万円です。フランス車好きのみならず「乗りやすくて人と違うオシャレなクルマが欲しい!」という人に、ぜひ注目してほしいコンパクトSUVです。(遠藤イヅル)
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