新型ハリアーの注目度は日に日に増すばかり。SUVブームということもあり、カッコいいハリアーの購入を考えている人も多いと思われる。
質感の高いエクステリア、インテリアが最大の魅力だが、299万円から購入できるグレードをラインナップするなど、非常にユーザーフレンドリーなクルマであることは確かだ。
そのスタイルは!? その走りは!? 大人気の新型ハリアー初試乗で徹底解剖
注目されているだけでなく、実際に購入している人も多く、納期は今後さらに長期化することも考えられる。
その新型ハリアーについて、これまで触れられてこなかった意外な真実について渡辺陽一郎氏が考察する。
文:渡辺陽一郎/写真:TOYOTA、池之平昌信
【画像ギャラリー】やっぱりカッコいい新型ハリアー!! その雄姿、クォリティの高さをじっくりと堪能する!!
納期は最大8カ月!?
ハリアーは以前から人気の高い上級SUVで、売れ行きも好調だ。先代型は2013年に登場して、2014年には1カ月平均で5400台を登録した。この後も堅調に売れて、発売から約6年を経過した2019年にも、1か月平均で約3000台が登録されている。
先代ハリアーの売れ筋価格帯は330万~420万円だったので、エクストレイルやフォレスターと同等の台数を販売できれば立派だ。
2018年に登場したクラウンと比べても少し多かった。アルファード&ヴェルファイアに次ぐ、好調に売れる高価格車となっている。
誰が見てもハリアーの新型とわかる正常進化ながら、質感をさらに高めて登場。新型ハリアーの注目度が高い最大の要因はエクステリアデザインにある
この新型ハリアーが2020年6月にフルモデルチェンジを受けた。人気車とあって納期も長く、販売店に尋ねると以下の返答だった。
「2020年7月初旬に契約をいただいても、納車は2021年1月以降になる。2Lのノーマルエンジン、2.5Lのハイブリッドともに納期は同程度だ。ただしボディカラーがプレシャスブラックパールになったり、レザーパッケージを装着すると、納車は2020年3月以降になるだろう」
ハリアーは納期が長いので、ほかの車種と違って、注文してもメーカーから正確な生産スケジュールが提示されないので大雑把な表現になってしまうという。そのため、納期は6~8カ月と考えて欲しい、ということも強調していた。
新型ハリアーはS、G、Zの3グレードで、G、Zにはレザーパッケージが設定されていて、そのレザーパッケージは人気絶大ゆえに納期は長期化
今のクルマの販売では、約80%が乗り替えに基づく。
今まで使ってきた愛車の車検満了に合わせて新車に乗り替えるため、納期が大幅に遅れると、下取りに出す愛車の車検を取り直して乗り続けたり、クルマを持たない期間が生じてしまう。
人気が高いのはいいことだが、納期が遅れると顧客満足度を下げる。
ウインカーの位置が低すぎる!?
ハリアーには納期も含めて、わかりにくいことが多い。
まず注目されるのは、ボディ後部に装着されたウインカー(方向指示灯)の位置だ。
先代型ではリアウィンドウ下側の高い位置に装着したが、新型でこの位置に配置されるのは、ブレーキランプと横長のテールランプ(尾灯)のみになる。ウインカーはリアゲートとリアバンパーの下側に設置した。
先代ハリアーはリアコンビランプ内にウィンカーが内蔵されていたため、後続車からの視認性に優れていた
キャリイのような軽トラックは、低い位置に荷台があり、この下側にウインカー/ブレーキランプ/テールランプを配置する。
ハリアーも同じような地上高で、もちろん保安基準には適合しているが、後続車のドライバーに与える印象はかなり違う。
軽トラックや背の低いクルマでは、ウインカーも低い位置に装着されると一般的に認識されているから、後続車のドライバーも無意識で低い部分のランプを視野に入れる。
しかしハリアーは全高が1660mmに達する背の高いSUVだ。しかも高い位置にブレーキランプが配置されるから、ウインカーも先代型と同じように高い位置にあると誤解されやすい。
交差点で右左折する時は、ウインカーを作動させた後でブレーキペダルを踏むのが基本だが、実際には順序が逆になって曲がる直前にウインカーを作動させるユーザーも多い。
左右を真一文字につないだリアコンビランプにはウインカーは内蔵されず、マフラーの上の部分に設置されている。直後を走るクルマは要注意
この場面では、後続車のドライバーはまず高い位置で点灯したブレーキランプを注視する。その後に大幅に低い位置でウインカーが点滅しても、気付かなかったり認識するのが遅れることも考えられる。
また渋滞時などに、先行車との車間距離を詰めるユーザーも多い。この時も先行車となるハリアーのウインカーが低い位置に付いていると、自車のボンネットに隠れて見えなくなる心配がある。
いずれもハリアーと後続車のドライバーが正しい運転をしていれば、防げる問題だが、実際にはいろいろな運転の仕方が考えられる。
造形の自由度を守ることは大切だが、安全性を考えると「ドライバーや周囲の人達に違和感を与えないデザイン」を優先すべきだ。
ハリアーマークは消滅していなかった!!
北米で販売されるヴェンザは新型ハリアーと同一モデル。ハリアーのチュウヒのエンブレムが消滅したのはこのヴェンザが存在するため
このほか従来のハリアーには、その名称(ハリアー:鷹の一種とされるチュウヒ)を象徴して、フロントマスクにチュウヒのエンブレムを装着した。
それが新型ハリアーでは、海外でもヴェンザの名称で販売されることもあり、フロントマスクのチュウヒがトヨタのエンブレムに変わっている。
そのいっぽうでドアトリムにはチュウヒの刻印を施した。ヴェンザでは、トヨタのエンブレムも含めて刻印は見られない。開発陣の思い入れもあるようで、新型ではチュウヒが隠れキャラのようになっているようだ。
フロントグリルからはハリアーのチュウヒのエンブレムは消滅したが、ドアトリムのレザー部分に型押しされている
RAV4より装備が充実しているわけではない
ハリアーのエンジン、ハイブリッドシステム、プラットフォームなどは基本的にRAV4と共通だが、上級SUVとして内外装の質感は大幅に高められた。
ただしATレバーは同じデザインになる。このほか後席のエアコン吹き出し口は、ややプラスチック素材を意識させる。
寸分の隙もないように思える新型ハリアーだが、リアのエアコン吹き出し口は場違いに思えるほどプラスチック感がむき出しになっているのが残念
ハリアーは質感と併せて装備も全般的に充実するが、ハリアー・4WD・G(2Lノーマルエンジン搭載車の価格は361万円)とRAV4・4WD・G(同様の仕様が326万1500円)を比べた場合、リアクロストラフィックオートブレーキは、RAV4・4WD・Gには標準装着されるのに、ハリアー・4WD・Gでは6万8200円のオプション設定になる。
またステアリングヒーター、運転席のポジションメモリー機能、快適温熱シートも、RAV4・4WD・Gには標準装着されるが、ハリアー・4WD・Gではレザーパッケージ(価格は30万円の上乗せ)を選ばないと採用されない。
ハリアーとRAV4の装備を比べると、すべてにおいて価格の高いハリアーが充実しているとは限らない。
プラットフォーム、パワートレーンなどを共用するRAV4はハリアーよりも価格設定が安いが、グレードによってはハリアーよりも装備が充実している
パワーユニット、グレード選びは使い方に合わせて慎重に!!
ハリアーの2Lノーマルエンジン車のWLTCモード燃費は15.4km/L、ハイブリッドは22.3km/Lだが(駆動方式は両方ともに2WD)、高速道路モードはそれぞれ18km/Lと22.1km/Lになる。
高速道路モードにおけるハイブリッドの燃費向上率は23%だから、ハリアーに限った話ではないが、高速道路の走行比率が高い場合はハイブリッドを選ぶメリットが薄れる。
新型ハリアーは2Lガソリンと2.5Lハイブリッドがあり、ひと目でわかる外観上の違いはエンブレムで、ガソリンは黒地、ハイブリッドはブルー地となる
グレードについては、ハリアーでは価格を299万円に抑えた2Lエンジンの2WD・Sが目を引く。
衝突被害軽減ブレーキなどは充実して選ぶ価値も相応にあるが、ハイビーム状態を保ちながら対向車や先行車の眩惑を抑えるアダプティブハイビーム、運転席の電動調節機能、リアゲートの電動開閉機能などは装着されない。
前後の録画機能を備えたデジタルインナーミラーも8万8000円のオプション設定だ。こういった点を踏まえると、実際に選ばれるのは2Lエンジンの2WD・G(341万円)以上のグレードだろう。
やはりハリアーは、高価格の上級SUVというわけだ。
写真上がG、Z系、写真下がSのヘッドランプ。ともにLEDだが、G、Z系はプロジェクタータイプでオートレベリング機能付き
新型ハリアーの目玉装備のひとつであるデジタルインナーミラーは、Sのみオプションとなっていて、価格は8万8000円
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