ナイキ「コルテッツ ティエンポ」はブロークコアとも共鳴する、懐かしくも現代的な一足──GQ新着スニーカー

履きこなすのにフーリガンである必要はない。

ナイキが「コルテッツ ティエンポ」をリリースする。

コルテッツは1972年にランニングシューズとして誕生したが、特にチカーノコミュニティで人気を博し、その後には『フォレスト・ガンプ／一期一会』といった映画に登場したことにより、ロサンゼルスのストリートで存在感を示すようになった。シンプルかつ一目でそれとわかるデザインはどんなものとも相性がよく、何十年もの間、都会的なルックスに欠かせなかった。しかし、この新作はさらに一歩進んでいる。

今回の「コルテッツ ティエンポ」は、サッカーにインスパイアされた美学でクラシックなスタイルを再解釈している。サッカー界で最もアイコニックなシルエットのひとつである同ブランドの「ティエンポ」に着想を得、折り返したタンやエンボス加工のスウッシュ、補強パネルをあしらったプレミアムレザー、ヒールに施された“72”のロゴやシルバーのインソールといったさりげなくも効果的なブランディングのディテールが特徴だ。

また、「コルテッツ ティエンポ」には昨今のストリートで見られるブロークコアにも通ずる魅力も宿っている。このムーブメントは基本的には1980～90年代にかけてのイギリスのカジュアルルック、つまりヴィンテージのサッカージャージやスポーツジャケット、バギーパンツ、クラシックなスニーカーをそのまま取り入れたスタイルである。要はアンブロのポロシャツとアディダスのジャケットを着てスタジアムに通っていた子どもたちの格好を、よりファッション的な視点から見直したものだ。レトロでありながら、皮肉も効いている。そして最も重要なのは、着心地がよく、オーセンティックであるということだ。

この新作は、スニーカーが過去へのオマージュであると同時に、現在を反映するものにもなりうることを示す好例だ。サッカーの魂が宿っているものの、ストリート用にデザインされている。ストレートパンツにイギリスのフットボールチーム（たとえ2部リーグでも）のレトロなシャツ、薄手のハリントンジャケットやボマージャケットと組み合わせれば、真のブロークコアスタイルの完成だ。

「コルテッツ ティエンポ」は今年の夏に約100ユーロ（約1万9000円）で発売と予想される。日本での展開は未定。

From GQ Spain

By Néstor Parrondo
Translated and Adapted by Ryo Todoriki