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「クネクネ新京成」はどこを目指していたのか? 地形図から読む「蛇行の意図」と直線15kmを倍増させた軍事的事情

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「クネクネ新京成」はどこを目指していたのか? 地形図から読む「蛇行の意図」と直線15kmを倍増させた軍事的事情

新京成のルーツ 旧陸軍「鉄道連隊」とは

 2025年4月に親会社である京成電鉄に吸収合併された新京成電鉄は、終戦からわずか1年2か月後の1946(昭和21)年10月、戦後最初の新設鉄道事業者として誕生しました。新時代の到来を象徴する企業ですが、その前身は帝国陸軍鉄道第二連隊が松戸~津田沼間に敷設した演習線、つまり軍事施設でした。

【地形に沿って…】鉄道連隊演習線と新京成線のルートを見る(地図)

 鉄道連隊とは、戦場における鉄道の敷設、既設鉄道の補修と輸送任務を担う部隊です。現在もウクライナやロシアが補給拠点から前線への兵站輸送に鉄道を活用していますが、自動車輸送が発展する前は、戦場における輸送にも鉄道が用いられました。

 最初に鉄道を本格的に軍事活用したのは、1870(明治3)年の普仏戦争におけるプロイセンといわれています。双方が兵を総動員する中、戦争に備えて鉄道網を整備していたプロイセンは大量の兵士を最前線に送り込み、フランス軍を圧倒しました。それまでの輸送手段は馬車や人力が中心だったので、大量高速輸送が可能な鉄道の登場は戦争の様相を一変させました。

 日本軍における鉄道連隊の歴史は、日清戦争中の1895(明治28)年、山海関(河北省)~天津間で鉄道輸送を担う「臨時鉄道隊」が編成されたことに始まります。終戦後に常設鉄道部隊「鉄道大隊」が編成され、日露戦争を経た1908(明治41)年10月に「鉄道連隊」へ昇格。第一大隊、第二大隊が千葉、第三大隊が津田沼に駐屯しました。

 鉄道連隊は演習線として、津田沼~千葉間16.7kmの「習志野線」、続いて千葉~四街道間7.3kmの「下志津線」を建設し、資材や人員の運搬とともに、線路の敷設や撤去、運転の訓練に用いました。

 鉄道連隊の任務は、既設鉄道を復旧・改修して軍事輸送を行うことですが、それだけでは作戦遂行に不十分なので、前線まで線路を敷設する必要があります。しかし普通鉄道の新設には多くの時間と材料が必要になり、現実的ではありません。そこで注目したのが簡易な規格の「軽便鉄道」です。

考えられる松戸線「蛇行ルート」の理由

 日本軍は日露戦争前後にドイツからレール約200km、機関車約100両、貨車約500両の軽便鉄道資材を輸入していたため、1913(大正2)年に戦時の急速敷設を想定した「軽便鉄道敷設大演習」を実施し、四街道~三里塚(成田)間約50kmに軽便鉄道を敷設しました。

 ドイツの軍用軽便鉄道システムは、長さ約5mのレールと鉄製まくら木を組み合わせた梯子状の「軌框(ききょう)」を展開しながら敷設する仕組みで、熟練者であれば5分程度で150mの敷設が可能だったといいます。

 そして1918(大正7)年、津田沼の鉄道連隊第三大隊が「鉄道第二連隊」として昇格・独立することになり、津田沼~松戸間に新たな演習線「松戸線」が建設されることになりました。1927(昭和2)年に着工し、1929(昭和4)年には鎌ヶ谷付近まで、最終的に1932(昭和7)年頃に松戸まで全通。これが松戸線の前身です。

 松戸線が大きく蛇行するルートで敷設されたのには、いくつかの理由が考えられます。一つは部隊運用の問題です。日本軍は4個師団を維持するために必要な物資運搬を基準に、軍用軽便鉄道は最大180km、4個大隊で運行する想定でした。

 1個大隊の担当は45kmなので、演習線も同等の距離を確保する必要があります。津田沼~松戸間は直線距離約15km、鎌ヶ谷経由でも約20kmですが、大きなカーブを設けることで28.5kmを確保し、津田沼~千葉間計16.7kmと合わせて45kmを超えています。

 もう一つは運搬手段としての要請です。沿線には松戸の陸軍工兵学校、薬園台の陸軍騎兵学校、八柱や矢切に演習場があるなど、多数の陸軍施設があり、工兵学校~八柱付近、工兵学校~矢切付近は工兵学校が建設しました。演習線であると同時に資材や人員を運搬する役割がありました。

 最後に地形との関係です。戦場における鉄道敷設は短期間で工事を行うため、トンネルや長大橋梁など大規模な土木工事を避けます。

 地形図と照らし合わせると、松戸線は標高20m程度の下総台地を、崖線を迂回しながら走っていることが分かります。逆に二和向台~初富間は現在線から南に約1.5km迂回して、二和川の谷を越えていますが、これは橋梁設置の訓練を行うために選定されたルートという見方もあります。

 また、陸軍施設は広い平地に設置されるため、第2の理由を満たそうとすれば自然と平地をつないで敷設されるというわけです。戦前は軍用地と田畑が広がるばかりだった平地は戦後、格好の住宅地となり、新京成の発展を支えました。松戸線の線路は大きくカーブしていても、芯はまっすぐ変わらないのです。

文:乗りものニュース 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

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みんなのコメント

12件
  • 草むしり
    クルマはまっすぐ走っているだけなのにさっき渡ったハズの新京成の踏切を再び通過する。初見では異次元空間に入ってしまったのかと混乱した。
  • Bu16
    一見クネクネしている新京成・松戸線も、等高線で見ると真っ直ぐだということですね。
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