F1中国GPを7位で終えたフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)。決勝レースでは他のドライバーとは異なるイレギュラーなタイヤ戦略を採ったが、その理由を説明した。
3番グリッドからスタートしたアロンソは56周の決勝レースにおいて、上位陣のライバルと同じくミディアムタイヤでファーストスティントを戦った。そして11周でピットインしてハードタイヤに履き替えたのだが、バルテリ・ボッタス(キック・ザウバー)のマシンがストップした影響で23周目にセーフティカー(SC)出動。各ドライバーにとってはタイムロスなくピットストップができるチャンスとなったが、アロンソにとっては柔軟な対応ができる状況ではなかった。
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「ハードタイヤがもうなかったんだ」
そう振り返るアロンソ。SCラン中にピットインすることを選んだが、ハードタイヤから交換したのはソフトタイヤ。約30周のレースをソフトで走り切ることはかなり厳しく、この時点で必然的に3ストップ作戦を行なう流れとなった。
スプリントフォーマットとなった今回のレースウィークにおいては、各車12セットのドライタイヤを持ち込むことができ、その内ハードタイヤは2セットとなる。アロンソはフリー走行でハードタイヤを1セット使って返却し、決勝レースの第2スティントでハードタイヤを履いている時にセーフティカーが出たため、彼はピットストップするにしても履けるタイヤはソフトかミディアムしか残っていなかったのだ。
アロンソ以外の上位陣に目を向けると、レッドブルは決勝に向けてハードタイヤを2セット残していたので、ミディアム→ハードと繋ぎ、SC中にピットインして再度ハードタイヤに交換してレースを走り切る作戦が採れた。その他、ランド・ノリス(マクラーレン)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)はミディアムでのファーストスティントを引っ張ったことで、件のSC出動前のバーチャルセーフティカー中にハードに履き替えて1ストップ作戦を完遂。ジョージ・ラッセル(メルセデス)はミディアム→ミディアムと繋いでいる時にSCが出たため、そこでハードに交換して2ストップ作戦ができた。
自分にとって間が悪いタイミングでSCが出てしまったため、3ストップせざるを得なかったアロンソ。終盤まで5番手を走行していたが、3回目のピットストップで12番手に後退した。そこからはフレッシュなミディアムタイヤでオーバーテイクショーを繰り広げて7位まで追い上げ、ファステストラップポイントも手にした。
アロンソはSCが出た時の状況を次のように振り返る。
「もうハードタイヤが残っていなくて、ソフトとミディアムが1セットずつ残っていた。残りは35周で、僕たちの計算では(そこで交換したタイヤで)最後まで走り切ることは不可能だった」
「結局はザウバーのマシンを回収するためにセーフティカーが何周も走ったし、セーフティカーはピットに戻ってすぐ、クラッシュでもう一度出動することになったけどね」
アロンソは3度目のピットストップを終えてからのことについて、こう続ける。
「速さは感じていたけど、10番手を走っている時に、ポジション的には良いところまで行けなさそうだと感じた。でも僕たちにはその戦略しかなかったんだ」
「でもファステストラップを記録できて良かった。マシンも速かったしね。今年はDRSがうまく機能していて、オーバーテイクしやすい。最終コーナーではクラッシュしそうになることもあったけど、限界までプッシュできた」
またアストンマーティンのマイク・クラック代表はアロンソの戦略について、スプリントレースでのタイヤのデグラデーションが大きかったため、ハード1セットとミディアム2セットでの2ストップ戦略に懸念があり、3ストップを選んだという。
「我々は新品のソフトを残していたため、それを使った方が良いと考えたんだ。少しリスクもあったがね」
「それからセーフティカーが出て、セーフティカーランの時間も長かったし、ソフトを効果的に使うことはできなかった」
「そこからはダメージを最小限に抑える戦いになった。全体的にはマシンのペースが十分ではなかったので、あのセーフティカーがなければ6位が妥当な結果だったかもしれない。そう考えると、7位かつファステストラップ(で1点獲得)はダメージリミテーションできたと言える」
またアロンソはレース序盤、ランド・ノリス(マクラーレン)の前に出て2番手を走行する場面もあったが、アストンマーティンが今週末「5番手のチーム」と考えていたことから、ポジションを守るのは不可能だと感じていたという。
「結局僕たちは毎回、レースでは5番手のチームなんだ」
「でもなぜか(アストンマーティンのライバルは)みんな土曜日にラップをまとめきれていない。それで予選を前の方で終えて、日曜はこういう戦いになる。あとは僕たちがマシンを改善できるかだ」
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