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アウディ A5 スポーツバックとQ5をテストドライブ! 最新ディーゼルモデルが搭載する新旧クワトロシステムを検証する

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アウディ A5 スポーツバックとQ5をテストドライブ! 最新ディーゼルモデルが搭載する新旧クワトロシステムを検証する

Audi A5 Sportback 40 TDI quattro × Q5 40 TDI quattro

アウディ A5 スポーツバック 40 TDI クワトロ × Q5 40 TDI クワトロ

ロールス・ロイス ファントム、最上級に君臨するスピリットとパフォーマンスを清水和夫と大谷達也が語る 【Playback GENROQ 2018】

新旧クワトロの世代交代を味わう

昨年末に施されたA4のマイナーチェンジ。これに続く形でA5とQ5が、その装いを改めてきた。そしてここで筆者は奇しくも新旧クワトロの世代交代を、同時に味わう貴重な機会を得た。というのも今回試乗した2台は、同じ2.0リッターの直列4気筒ディーゼルターボを搭載した40 TDIモデルながらも、そのシステムが異なっていたのである。

具体的に言うとQ5 40 TDI quattoroは、その直列4気筒ディーゼルターボを204psまでハイチューンした上で、12Vのマイルドハイブリッドを搭載。かつその4輪駆動システムが、最新のクラッチ式4WDとなっている。

「メカデフ式クワトロと、最新のクラッチ式クワトロを乗り比べることは実に興味深い」

方やA5 Sportback 40 TDIはその外観を改めながらも、エンジン出力は190ps/400Nmのまま。かつマイルドハイブリッドは搭載せず、その4WDシステムには往年のセンターデフ式を採用しているのだ(ちなみにこれは、A4のTDIモデルも同様だ)。

なぜA4/A5、Q5における世代交代の足並みが揃わなかったのかは不明だ。しかし我々がこれまで慣れ親しんで、かつ憧れたアウディのメカデフ式クワトロと、最新のクラッチ式クワトロを乗り比べることは実に興味深い。

というわけでここからは、そんな両者の違いを、実際に走りながら比べてみることにしよう。

「遮音性と機密性の高さには、高級セグメントとしての車体の作り込みを感じる」

まず最初に試乗したのは、そのシルエットが抜群に美しいA5 Sportback 40 TDIだ。グレード構成はA4と同じく「base」「advanced」「S Line」の3種類に改められており、今回試乗したのはアドバンスト。マイナーチェンジ前のS Lineと同等以上の装備が施された、コストパフォーマンスの高いモデルである。

さてその外観の美しさとは裏腹に、スターターボタンを押すと40 TDIの2.0リッター直列4気筒ターボはかなり賑やかに目覚めた。ディーゼル丸出しのメカニカルノイズと振動を気にせず伝えてくるあたりはヨーロッパ流で、日本人の感覚で言うと車格的にも少しばかり戸惑いを覚えるのは事実である。

とはいえドアさえ閉まっていればこうしたノイズは、エンジンの暖まりと共にすぐに小さくなっていく。外では相変わらずカタカタと味気ないアイドリングを刻み続けてはいるようだが、内側ではその騒音がまったく気にならない。そしてこうした遮音性と機密性の高さには、高級セグメントとしての車体の作り込みを感じる。

「アクセル開度が小さい状況でも素早くトルクを伝達し、直感的走らせることができる」

走り出すとそのプレミアムな印象は、さらに動的な質感の高さへと昇華されていく。今回その足もとにはスタンダードの18インチタイヤに換えて、255/35R19サイズの大径タイヤが奢られていた。しかしその乗り味は、オプションのダンピングコントロールスポーツサスペンションによってきっちりと角が丸められており、なおかつそのハンドリングには実に心地良いスポーティさが与えられていた。ハンドルを切れば大径タイヤにサスペンションが遅れなく入力を与え、リニアな身のこなしを実現してくれるのだ。

そしてこうしたフットワークに対して、ディーゼルユニットはとても相性がいい。アクセル開度が小さい状況でも素早くトルクを伝達できるため、ドライバーが直感的かつ自在にこれを走らせることができるのだ。別段飛ばすわけでもなく、街中を流すだけで得られる走りの気持ちよさ。それを味わうと、EVへ移行するのはインフラやチャージの利便性が整ってからでも遅くはないと思わされた。

さて肝心な“旧式クワトロ”(敢えてそう呼ぼう)の走りだが、やはりと言おうかさすがと言うべきか。まさにこれぞアウディの走りと思える気持ちよさだった。センターデフで前後輪のトルクを基本40:60で配分するその走りは、切れ込み過ぎず、安定し過ぎず、実にニュートラルで快適である。

「ダイナミックモードでも、その乗り心地がまったく変わらない」

ターンインではしなやかな足まわりと共にフロントタイヤがしっかり路面をつかみ、コーナーミドルから脱出にかけてはリヤタイヤがグーッと車体を押し出して行く。そこからアクセルを踏み込んでいくと、ディーゼルターボがトップエンドまできれいに吹け上がる。そしてこの吹け上がりの良さは、7速Sトロニックの細かいギヤリングと、デュアルクラッチがもたらす途切れ感のない変速によって、気持ち良く続いていく。決してパワフルではないけれど、全てがちょうどいい。

ちょっと驚いたのは、そのモードを「ダイナミック」へと転じても、その乗り心地がまったく変わらないことだった。確かにパワーステアリングがグッと座り、エンジンの常用回転数が僅かに上がって臨戦態勢を整えるのだが、路面の段差やうねりを越えても、ボディがどすんと落ちたり左右に揺さぶられることがない。

そもそもノーマルモードのダンピングでもA4のロードホールディング性は高く、ここまで違いがないのであれば、日本の速度領域ではもはやダイナミックモードいらずかもしれない。もっと言えばアウディは、適宜その走りからスタビリティを自動調整してくれるオートモードが一番いい。

「走りを愛するドライバーほど、この乗り味を今一度確認して欲しい」

まとめるとA5 Sportback 40 TDIは、「最後のクワトロ」とも呼べる内容に仕上がっていた。環境性能的に不利なセンターデフ式AWDだが、その走りはやはり素晴らしい。そしてこれをクリーンディーゼルで補いながら、旧世代の締め括りとするのは美しい幕引きだと思う。

ひとつ難を言えば、センターのタッチモニターは大型化したものの、インフォテインメントがA6以上の上級グレードと比較して旧態然としていることだろうか。しかしそれを差し引いても本格的なEV時代が本格到来するまで、このクワトロを楽しみ尽くす意義はある。走りを愛するドライバーほど、A5 Sportback 40TDIの乗り味を今一度確認して欲しいと思わされる試乗であった。

「若々しい乗り味が実に印象的だったQ5」

対して新世代クワトロの先頭を走るQ5 40 TDI quattoroは、その若々しい乗り味が実に印象的だった。

Q5のグレードは「advanced」と「S Line」の2種類が用意され、今回試乗したのは後者。もっともその違いはオクタゴングリルや前後バンパーの形状くらいで、サスペンションは両者ともに共通。ハニカムグリルを装着するS Lineはそこに19インチタイヤを装着するが(アドバンストは18インチ)、今回の試乗車はさらに1インチ大径化した20インチのオプションタイヤを履かせていた。

そうした影響もあるのだろう、S Line仕様のハンドリングは明らかにA5よりもクイックだった。高い車高とたっぷりとしたストローク、そしてこのボディに直列4気筒ユニットを搭載するノーズの軽さ。そこにタイヤのグリップ力がミックスされて、タイトなコーナーでさえクルッと軽快にクリアする。

「新世代クワトロの乗り味も、約5年の歳月を経てかなり洗練された」

しっとりと落ち着いた乗り味を求めるならA5に軍配が上がる。しかし積極的にSUVを選ぶユーザーであれば、この若々しい身のこなしは魅力だろう。20インチタイヤの剛性は、路面によってはコツコツとした突き上げを時折伝えてくる。低速のわだちでは横揺れ感も出るものの、2インチアップされたタイヤの重みやグリップを、このノーマルサスペンションはかなりきちんと支えてくれる。そしてこれ以上の乗り心地を求めるユーザーにはエアサスがきちんと用意されている。

新世代クワトロの乗り味も、約5年の歳月を経てかなり洗練された。この電子制御多板クラッチを用いた4WDは、環境性能の向上を目的とし必要に応じてリヤの駆動を切り離してFWD化する。当初はこのFWD化が直進安定性に影響する場面もあった。しかし今では、全くリヤの不安定さを意識させられない。

そこにはアクセルの踏み込み量や舵角といった情報から後輪へのトルクを先読みするフィードフォワード制御や、シャシー側のアップデートが効いているのだろう。乗り手はその進化を容易に判別できないが、逆を言えば何も違和感を抱くことなく、自然にQ5をドライブすることができるようになった。

「コーナーミドルからアクセルを踏み込んでいく状況でも4輪がきちんと路面を捉える」

またワインディングで積極的に走らせたときの印象も悪くない。ターンインでは前述した回頭性の良さが発揮され、コーナーミドルからアクセルを踏み込んでいく状況でも4輪がきちんと路面を捉える感覚がとても色濃い。センターデフ式クワトロのような押し出し感こそないが、これもやはりクワトロである。

前輪を主軸として後輪を適宜制御する4WD方式は、A3/Q3の横置き直列4気筒モデルたちとあまり変わらない。それでもボディサイズ以外にQ5の縦置きレイアウトを選ぶ意味があるとすれば、それは前後にダブルウィッシュボーン式のサスペンションを採用できることだろう。この足まわり剛性の高さがあるからこそ、Q5は高い重心ながらも上質でスポーティな走りが得られている。

「A5より格段にパワフルではないがシャシー性能がパワーに勝っている」

204psにまで高められた直列4気筒ディーゼルターボはしかし、1910kgの車重と相殺され、A5よりも格段パワフルだとは感じなかった。もちろんそこには、シャシー性能がパワーに勝っているという状況もある。

とはいえその吹け上がりは、A5同様に心地良い。また街中ではマイルドハイブリッドの恩恵もあり、アクセル開度が少なく、静かに走ることができる。ただSトロニックの制御もA5同様に大人しめなため、耐久性の面もあるとは思うが、もう少しスポーティに制御した方が、シャシーのトーンにマッチングすると感じた。

「上質感と走りを味わうならA5、アクティブな日常を送るならQ5」

クワトロの乗り味も含め、アウディらしい高純度な上質感と走りを味わいたいならA5 Sportbackを選ぶとよいだろう。方やSUVの流れに乗って、アクティブに毎日を送りたいなら間違いなくQ5 quattoroがいい。

同じ40 TDIグレードにして、この両者はきちんとそのキャラクターの棲み分けができている。

REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)

PHOTO/GENROQ Web

【SPECIFICATIONS】

アウディ A5 Sportback 40 TDI クワトロ アドバンスト

ボディサイズ:全長4755 全幅1845 全高1390mm

ホイールベース:2825mm

車両重量:1680kg

エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ

総排気量:1968cc

ボア×ストローク:81.0×95.5mm

最高出力:140kW(190ps)/3800-4200rpm

最大トルク:400Nm/1750-3000rpm

トランスミッション:7速Sトロニック

サスペンション:前後ウィッシュボーン

ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク

駆動方式:AWD

タイヤサイズ:前後245/40R18

車両本体価格(税込):643万円

アウディ Q5 40 TDI クワトロ S Line

ボディサイズ:全長4685 全幅1900 全高1665mm

ホイールベース:2825mm

車両重量:1910kg

エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ

総排気量:1968cc

ボア×ストローク:81.0×95.5mm

最高出力:150kW(204ps)/3800-4200rpm

最大トルク:400Nm/1750-3250rpm

トランスミッション:7速Sトロニック

サスペンション:前後ウィッシュボーン

ブレーキ:前後ディスク

駆動方式:AWD

タイヤサイズ:前後235/55R19

車両本体価格(税込):766万円

【問い合わせ】

アウディ コミュニケーションセンター

TEL 0120-598-106

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みんなのコメント

2件
  • アウディはポルシェが現実的に買えない人達の価格設定だからどうしても嫌煙してしまう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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