この記事をまとめると
■ホンダ・インサイトがEVとなって復活した
モデルチェンジのたびにまったく違うクルマになる「ホンダ・インサイト」! 4代目はSUVの電気自動車で登場!!
■本田技研工業の開発主査に開発時のこだわりをインタビュー
■性能を重視しつつ見た目を重視した意欲作だ
インサイトが復活! 開発のこだわりを直撃
2026年4月にBEV(バッテリー式電気自動車)のミドルラージクロスオーバーSUVとして3度目の復活を果たす、新型の4代目ホンダ・インサイト。その技術的ポイント、ベースとなった「e:NS2」との違いなどについて、開発を指揮した本田技研工業の小池久仁博LPLに聞いた。
──中国仕様のe:NS2は、現地合弁会社の東風本田さんで、東風汽車さんと一緒に作っていると思いますが、日本仕様のインサイトは、完全にホンダさんオリジナルで作っているんでしょうか?
小池さん:e:NS2と一緒ですね。新型インサイトは中国で作ったものを日本へ輸入するのですが、中国の法律上、海外企業が単独で会社を作ることはできないんですね。あくまで現地企業とのジョイントベンチャーで製造・販売するルールになっています。ですから新型インサイトは、東風本田で製造しています。ただし研究開発は純粋にホンダのR&Dで行い、それをジョイントベンチャーの方で生産してもらうという形ですね。
──中国向けのe:NS2と日本向けのインサイトとで、大きく違う所は?
小池さん:まずハンドルの位置ですね。中国は左ハンドルなので、それを右ハンドルにしています。あとは急速充電方式が中国と日本とで違いますので、インサイトはCHAdeMOに準拠しています。
──右ハンドルと左ハンドルとでセッティングはどう変わりますか?
小池さん:まずドライバーの乗車位置が違うので、クルマの重心が右か左かに少し寄ります。また製造過程でどうしてもバラツキが出るので、道路事情によって「クルマを最悪どちら側に流すか」を決めるんですが、それによって流し方もタイヤも変えています。
またそれによって、操縦安定性と乗り心地のトータルセッティングが変わってくるので、それを右ハンドルと左ハンドルとで変えています。
──タイヤのサイズと銘柄は現在装着されているもの(225/50R18 95Vのコンチネンタル・ウルトラコンタクトUC6)だけですか?
小池さん:サイズも銘柄もほぼこのままです。
──V2Hには対応していますか?
小池さん:対応していませんが、直接家電をつなぐことはできます。
──中国では「イエ」シリーズも展開されていますが……。
小池さん:このインサイトは「イエ」の前のシリーズ、「e:N」シリーズになりますね。これは「0」シリーズほどデザインを縛っておらず、「e:N1」あるいは「e:N2」といったそれぞれのカテゴリーのクルマとして、このインサイトの場合は「個性派BEVを目指そう」というコンセプトでデザインしています。
──ベースとなっているのは現行2代目ヴェゼル……?
小池さん:表現が難しいですね……。2代目ヴェゼルをBEV化したのは「e:N1」の方で、「e:N2」はプラットフォームの一部が2代目ヴェゼルと同じではあるものの、ボディ形状としてはセダンやハッチバックのものをベースとしています。皮を剥いでいくとヴェゼルは出てきますが、クルマの作り方としてはヴェゼルがベースではないですね。車高自体はヴェゼルと似たり寄ったりですが、全長や全幅はインサイトのほうが大きいです。
──外観の全体的なシルエットはヴェゼルに近いものを感じますが、インパネはほぼ別物になっていますね。
小池さん:あまり頑張って突飛なデザインにしすぎると、やはり従来のICV(内燃機関車)をずっと乗り継いできた人からはLOVE&HATEが出る(好きと嫌いの両極端にわかれる)のが心配になります。ですから飛びすぎず、進化しなさすぎず、という塩梅を見ながら開発しました。
見た目を重視した攻めの1台
──プレゼンテーションのなかではアーリーアダプターとアーリーマジョリティを狙ったというお話がありましたが、どちらかというともう少し保守的なユーザーがBEVに移行する所を1番に狙っているのでしょうか? 本当にアーリーアダプターの方は「0」シリーズのほうが相性がいいように感じました。
小池さん:そうですね。
──エンブレムが従来のものとは違うデザインになっていますが。
小池さん:リヤのエンブレムはバラ文字になっていますね。「0」シリーズの「H」マークは「0」シリーズから使うので、ちょうど過渡期のデザインということになります。
──乗り心地など走りの面は基本的に同じでしょうか?
小池さん:そうですね。すごく細かいことをいうと、右ハンドルと左ハンドルとでちょっとセッティングのやり方が違うので、そういう細かい差はありますけれど、大枠は一緒です。
──このセグメントは競合も多いですが、インサイトでとくにこだわったポイントは?
小池さん:装備でいえば、室内で心地よく過ごせるものを充実させました。
また開発者の視点としては、どうしてもBEVは低重心になる一方でバッテリーが重くなるので、操縦安定性とは相反する面が出ます。それを限られた資源のなかで、従来のICVと同じレベルにもち上げるのが、こだわりのポイントですね。
ですから、ICVに乗っていたほうがインサイトに乗り換えても普通に乗れること、そこにBEVならではのモータートルクを付け加えている状態になります。
──ワンペダルドライブは可能ですか?
小池さん:ワンペダルよりは、とくにブレーキ側は利きが甘いと思います。ただ、利きはパドルシフトで選べます。今日お乗りいただけないのは残念ですが、普通に乗れます。
──SPORTモードでのサウンドは?
小池さん:プレリュードと一緒です。最初に聞いた時は邪道だと思いましたが(笑)、外には聞こえず室内の乗員だけが聞く音なので、スポーツ選手が試合の前に音楽を聴いて気分を高めるのと同じような効果があると思います。
──航続距離500kmということは、かなりの容量のバッテリーを積んでいると思います。それに対する軽量化策は?
小池さん:すごく地味ですが、部品ごとに重量管理しながら、またアルミフードも入れながら、バランスを取っています。
──高張力鋼板などの軽量素材も、中国ならグレードの高いものを……?。
小池さん:もう普通に使えます。高張力鋼板は1GPa超のものが入っていると思います。
──空力に関しては?
小池さん:最後の最後に「デザインと性能のどちらを取るか」という選択は必ずあるのですが、このクルマの場合はデザインに少し振っています。空力を追求したらこんな顔にできないです。
──この新型インサイトを他の左側通行の国にも展開する可能性はあるのでしょうか?
小池さん:可能性はあると思います。
──今後の展開も楽しみにしています。ありがとうございました!
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