ロボット敬意消費の構造
自分ひとりでは対応しきれない業務や作業に直面したとき、選択肢は限られる。タスクを諦めるか、時間をかけてでも粘り強く取り組むか、専門家に依頼するか、誰かに助けを求めるか。いずれにせよ、判断が求められる。
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幸運にも協力者が見つかれば感謝しかない。ただし、その「助っ人」がロボットだった場合、人はどのように感じるのだろうか。
その存在を便利な労働力とみなし、徹底的に使い倒そうと考えるのも自然な反応かもしれない。しかし、日本人の多くはロボットにも一定の敬意を払い、過剰な搾取には及ばない傾向があるという。興味深い研究結果が報告されている。
ドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン(LMU)と早稲田大学の共同研究チームは、2025年3月に発表した論文(Scientific Reports誌)で、日本人は西洋人よりもロボットやAI(人工知能)に対して丁寧に接する傾向があることを実験的に明らかにした。
AI時代の道路共存ルール
AIやロボットは、着実に社会に浸透しつつある。その進展のなかで、自動運転技術の普及はひとつの重要な転換点となる。
人間が運転する車と自動運転車が混在する交通環境を想像してみたい。走行中、前方の路地から車が出てこようとする場面がある。ドライバーに余裕があれば、速度を落とし、先に行かせることも多い。だが、それが自動運転車だった場合はどうか。そのまま無視して通過するのではないか。
「自動運転技術が現実のものとなるにつれ、こうした日常的な出会いが、私たちがインテリジェントマシンと道路を共有する方法を決定するでしょう」
と語るのは、LMUの心の哲学教授、ユルギス・カルパス氏だ。彼は大学のプレスリリースで、完全自動運転車の登場が、人とAI・ロボットとの接触機会を劇的に増やすと指摘する。現実の交通環境では、ドライバー同士が視線や動きで意思を伝える場面が多い。今後は、同様のやりとりが自動運転車との間でも必要になっていく。
LMUと早稲田大学による研究によれば、人は協力が求められる状況において、人間相手よりもロボット相手のほうが利己的に振る舞いやすいという。
「結局のところ、交通でロボットを邪魔してもロボットの感情は傷つかないのです」
とカルパス氏はいう。ロボットには感情がないという認識が、人々に自己中心的な行動を許容する心理的土台を作っているというわけだ。
欧米と日本の倫理観差異
日本と米国でそれぞれ600人が参加した実験が行われた。参加者は行動経済学の古典的なゲームに挑んだ。行動経済学とは、経済学と心理学を融合させた学問分野である。従来の経済学が「人は合理的に意思決定する」と仮定するのに対し、行動経済学は人間の
・非合理的な判断や感情
・心理的バイアス
が経済行動にどのように影響するかを研究する。
ゲームは「信頼ゲーム」や「囚人のジレンマ」などだ。参加者は相手を出し抜いて利己的に得を狙うか、協力して利益を分け合うか選択を迫られた。相手が人間の場合とAIの場合の2パターンで実施された。
分析の結果、相手がAIだった場合、米国の参加者は利己的に振る舞う可能性が大幅に高まることが判明した。一方、日本の参加者は、相手が人間でもAIでも行動に差が見られなかった。この結果は、AIに対して利己的に振る舞う行為が普遍的でないことを示している。
欧米では、道具や機械は使い倒すものというマインドセットが一般的だ。しかし日本人にはその考え方が薄いらしい。
研究チームは、この差異を罪悪感の有無に求めている。西洋では人間を搾取した際に後悔を感じるが、機械を搾取することには罪悪感を抱かない。日本では、人間を搾取した場合も、善意のロボットを搾取した場合も同様に罪悪感を抱くという。日本以外にも、こうした感性を持つ国民がいるのかは今後の課題だ。
自動運転普及を左右する文化
研究では触れられていないが、この現象は日本人の認知スタイルとも関係がありそうだ。
日本文化は実直で誠実を重んじるため、相手によって態度を変え利益を最大化することに脳のリソースをあまり割かない傾向がある。こうした認知の“省エネ”により、本来の目的に多くの能力を注ぐ認知スタイルを多くの日本人が採用していると考えられる。
こうした文化の違いは、自動運転車の未来にも大きく影響を与える可能性がある。LMUのカルパス氏は
「もし日本の人々がロボットを人間と同じように尊重するなら、ベルリン、ロンドン、ニューヨークで当たり前になるずっと前に、東京で完全自動運転タクシーが普及するかもしれません」
と指摘する。日本文化は八百万の神を信奉し、モノにも神が宿ると考える独自のアニミズムが今も受け継がれている部分がある。使えなくなった針をねぎらう針供養が各地の寺院で続けられているほか、人形や絵馬の供養も多くの寺院で行われている。車も
「単なる道具以上の存在」
として扱われているようだ。愛車に名前を付けたり、“ちゃん”づけで呼んだりするオーナーも少なくない。
こうした背景から、日本にも自動運転車が普及する“土台”がすでに整っている可能性が高い。技術さえ確立されれば、日本は世界に先駆けて自動運転車や自動運転タクシーが急速に広まる社会になるのも十分に考えられる。(仲田しんじ(研究論文ウォッチャー))
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