10月11日、ハースF1チームとTOYOTA GAZOO Racingは、公式テクニカルパートナーとして協力していくことを発表した。
複数年契約を結んだ両者は、専門知識や技術、リソースを共有していくとしており、具体的にはトヨタが設計、技術、製造の面でハースをサポート。ハース側はF1で培った技術的専門知識と商業的利益をトヨタに提供する。
■トヨタがハースF1と技術提携。小松礼雄代表「双方に明らかなメリット」
TOYOTA GAZOO Racingは、ハースF1チームの発展と競争力強化を目指し、チームとの関わりを通じて、様々な分野で自らの知識と技術をさらに高めていく。
具体的には、TOYOTA GAZOO Racingの育成ドライバー、エンジニア、メカニックがハースのテスト走行に参加。ドライバーは将来的にハースのレギュラードライバーとしてF1 に参戦することを目指し、エンジニア・メカニックは走行データなどの膨大なデータの解析ノウハウを学び、効果的な運用を目指すという。加えて、TOYOTA GAZOO Racingのエンジニアおよびメカニックがハースのレーシングカーの空力開発に参画。極限の使用環境下を想定したシミュレーション、カーボン部品の設計・製造を行なうことで、世界最高峰のレースの現場で活躍し、培った技術や知見を市販車に反映できる人材の育成を目指すとしている。
2016年からF1に参戦しているハースは、初年度から入賞を記録し、2018年にはコンストラクターズランキング5番手を獲得。しかし2021年はノーポイントで1年を終え、2023年もランキング10位に沈んだ。
チームは新たに小松礼雄を代表に据え2024年シーズンに臨み、これまでのところ計28ポイントを獲得。コンストラクターズランキング7番手につけている。
一方のトヨタは、2002年から2009年までF1に参戦していたが、リーマンショックに端を発する経済状況悪化が影響し、2009年限りでF1から撤退。しかしその後も、ドイツのケルンにある風洞を貸し出すという形でF1との関わりが続いていた。
ハースとトヨタの提携により、ハースは風洞を含めたTOYOTA GAZOO Racingの設備を活用することができるようになるだろう。
ハースの小松代表は、トヨタとの協力は両者にとってメリットがあると語った。
「マネーグラム・ハースF1チームとTOYOTA GAZOO Racingが技術提携を結ぶことになり、大変うれしく思います」
「自動車業界の世界的リーダーである企業が、我々の組織を支援し、共に働きながら、自らの技術やエンジニアリングの専門知識を発展させ、加速させようとしています。これは両者に明確なメリットがあるパートナーシップであり、TOYOTA GAZOO Racingのリソースと知識ベースを活用し、その技術および製造プロセスの恩恵を受けることは、我々自身の発展とF1での競争力をさらに高めるという明確な願望において有益です」
「その見返りとして、我々はTOYOTA GAZOO Racingが社内のエンジニアリング能力をフルに活用し、さらに発展させるためのプラットフォームを提供します」
また、小松代表は2016年から提携してきたフェラーリについても言及。これまでハースはフェラーリからパワーユニットを含めたパーツ供給を受け、フェラーリの風洞も使用してきた。
ハースは引き続きフェラーリのパワーユニットなどを使用することになるが、風洞やシミュレータに関してはフェラーリとの関わり合いが減ることになるだろう。
「F1や、長期的なパートナーであるスクーデリア・フェラーリにも感謝したいです。フェラーリとは今シーズン、さらなる提携の継続を発表しています。F1での継続的な成功を目的とした新たなテクニカル・パートナーシップの形成に賛同していただけたことをうれしく思っています」
「ジーン・ハース(ハースオーナー)とともに、特にステファノ・ドメニカリ(フォーミュラ1CEO)とフレデリック・バスール(スクーデリア・フェラーリのチーム代表)に感謝したい」
「トヨタの豊田章男(トヨタ会長)、高橋智也(TOYOTA GAZOO Racingプレジデント)、加地雅哉(TOYOTA GAZOO Racing プロジェクトマネージャー)にも感謝したいです」
「ハースF1チーム一同は、この新たな協力関係の成果を楽しみにしています」
TOYOTA GAZOO Racingの高橋智也プレジデントも、ハースのプレスリリースにコメントを寄せ、ハースとの協力を通してTOYOTA GAZOO Racingの強化とモータースポーツおよび自動車産業への貢献を目指すと語った。
「この度、マネーグラム・ハースF1チームとTOYOTA GAZOO Racingは、ハースの車両開発等の技術提携を行なうことで基本合意いたしました」
「ジーン・ハース氏、小松礼雄氏、ステファノ・ドメニカリ氏、フレッド・バスール氏をはじめ、チームのすべての既存パートナーから多大なるご協力とご理解をいただきました」
「モータースポーツの最高峰でマネーグラム・ハースF1チームとともに戦うことで、ドライバー、エンジニア、メカニックの育成を目指すとともに、マネーグラム・ハースF1チームとTOYOTA GAZOO Racingの機能を強化し、モータースポーツと自動車産業に貢献したいと考えています」
ハースにとってホームレースとなる10月18~20日開催の次戦F1アメリカGPから、TOYOTA GAZOO RacingのロゴがハースのF1マシンであるVF-24に掲げられる。
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