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メルセデス・ベンツが開発した型破りなクルマ 30選(前編) 世界を変えた技術と挑戦

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メルセデス・ベンツが開発した型破りなクルマ 30選(前編) 世界を変えた技術と挑戦

良くも悪くも世間を驚かせた30台

メルセデス・ベンツは、他社と比べても特に物議を醸すメーカーというイメージはない。しかし、過去には人々を驚かせ、議論を巻き起こすようなクルマもいくつか生み出してきた。

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そこで今回は、広い意味で「物議を醸した」と言える30車種を、時系列順に並べて紹介する。

35hp(1900年)

『メルセデス』という名は、ダイムラーのディーラーの1人だったエミール・イェリネック=メルセデス(1853-1918)が提案したものだ。彼はクルマと自身のレーシングチーム、そして奇妙なことに自分自身にも、幼い娘(1889-1929)の名を付けたのである。

ヴィルヘルム・マイバッハ(1846-1929)が設計した35hp(35psとも呼ばれる)は軽量かつ高出力で、当時としては驚くほど低重心だった。その驚異的な走行性能と競技での活躍ぶりは、フランスのジャーナリストでモータースポーツの先駆者ポール・メヤン(1852-1938)に「我々はメルセデス時代に入った」と記させるほどだった。

シンプレックス(1902年)

ヴィルヘルム・マイバッハは35hpに続き、シンプレックスという新モデルを開発した。この名称は、運転操作が前モデルより簡素化され、シンプルになったことに由来する。最高出力40psとさらに高速化し、後に低出力バージョンも追加されたが、1909年に登場した最終モデルは驚異的な65psを誇った。

ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世(1859-1941)は熱心な愛好家で、マイバッハに「新モデルは『シンプル』とは程遠いぞ」と冗談を飛ばした。一方、米国の実業家ウィリアム・K・ヴァンダービルト(1849-1920)が所有したシンプレックスは今も保存され、現存する世界最古のメルセデスとされている。

メルセデス75hp(1907年)

ダイムラー社内で初めて大きな論争を巻き起こしたのは、ヴィルヘルム・マイバッハの退社だった。対立の末、彼は自動車製造を始める前から在籍していた同社を去り、技術責任者の座はポール・ダイムラー(1869-1945)に引き継がれた。

マイバッハが同社に残した最後の貢献は、初の6気筒エンジンの設計だった。その10.2L仕様は1907年1月、当時75hpと呼ばれたモデルに初搭載されたが、2年後に39/80hpと改名された。9.5L仕様は同年後半に65hp(後の37/70hp)に搭載された。

ナイト(1910年)

当時、自社製エンジンを搭載したメルセデス車を10年生産してきたダイムラーが、他社開発のユニットを採用したことは大きな衝撃だったに違いない。それは米国人チャールズ・エール・ナイト(1868-1940)が開発したエンジンであり、彼のスリーブバルブ設計は当時高く評価され、複数のメーカーに採用されていた。

メルセデス初のナイト製エンジン搭載車は1910年に登場した4.0Lの16/40hpというモデルであり、2年後には類似の10/30hpと25/65hpが続いた。ナイトのエンジンは非常に静かだったが、生産もメンテナンスも難易度が高かった。また、発展の可能性が限られていたこともあり、ダイムラーは1924年にナイト製エンジンの採用をやめた。

18/100(1914年)

この記事では、主に公道走行向けに開発された車両に焦点を当てているが、1914年7月のフランスグランプリに出場した18/100というレーシングカーは例外として取り上げておきたい。このレースは本質的に、プジョーが代表するフランスとメルセデスが代表するドイツの二国間対決であった。

プジョーは見事な走りを見せたが、結果的にはメルセデスが上位3位を獲得し、表彰台を独占した。地元の観客はドイツに敗れたことに落胆した。レースのわずか1か月後に始まった第一次世界大戦で、両国は敵同士となる。

28/95(1914年)

1914年の欧州最高峰レースを制したダイムラーは同年、革新的かつ非常にパワフルな公道用モデルを発表した。7.3 L直列6気筒エンジンはオーバーヘッドカムシャフト(まったくの新技術ではないが、当時としてはまだ珍しかった)を採用し、最高出力90psという驚異的な性能を発揮した。

第一次世界大戦の開戦によって生産は中断されたが、戦後再開され、1924年まで作られ続けられた。

24/110/160hp(1924年)

長年ヴィルヘルム・マイバッハの後継者として活躍したポール・ダイムラーは1922年に退任し、フェルディナント・ポルシェ(1875-1951)が後任となった。ポルシェが最高技術責任者として初期に手掛けたものの中に、2台の非常に豪華なモデルがある。6.3Lの24/110/160hpと、3.9Lの15/70/110hpだ。この複雑な名称は、課税対象となる馬力、過給器なしの実馬力、過給器使用時の実馬力に由来する。

しかし、注目すべきはエンジンだけではない。当時のダイムラー社のやや大げさなプレスリリースによれば、「シャシーとボディの設計および技術的完成度は、自動車の量産において驚異的な進歩を遂げた」と謳われている。

8/38hp(1926年)

ドイツ国内においてライバル同士であったダイムラーとベンツは、1924年に「相互利益に関する協定」を結び、2年後に合併した。合併後の会社はダイムラー・ベンツと称されたが、その製品はメルセデス・ベンツという名で販売されることになった。

この名称を冠した最初のモデルが8/38hpである。当時の技術水準を考えると驚くほど保守的で、2.0Lのサイドバルブ(フラットヘッド)エンジンを搭載していた。しかし、選択肢は豊富だった。当初は2ドアまたは4ドアのセダン、あるいはオープンツアラーが展開され、1928年には13種類ものボディスタイルから選べるようになっていた。

ニュルブルク(1928年)

ニュルブルクは、まだ完成したばかりのニュルブルクリンク・サーキットに因んで名付けられた。プロトタイプはこのニュルブルクリンクで、わずか13日間で2万kmを走行した実績を持つ。しかし、最大5.0Lという大排気量エンジンを搭載していたにもかかわらず、高性能車ではなく大型の高級車として位置づけられていた。

また、メルセデスの量産車として初の8気筒でもあり、初期のカタログの表紙には金文字で「ニュルブルク8(Nurburg 8)」と記されていた。

SSK(1928年)

SSKとは、「スーパースポーツ・クルツ(Super Sport Kurz)」の略で、最後の「クルツ」はホイールベースが短いことを示す。乗用と競技利用の両方を意図したモデルSシリーズで、究極の公道仕様車であった。そのスーパーチャージャー付き7.1L直列8気筒エンジンは順調に発展し、1929年には約250psを発生するまでに至り、モータースポーツにおいて驚異的な成功を収めた。

SSKLは、SSKを軽量化した派生モデルで、最高出力300psを発生した。主にレース向けに開発され、ルドルフ・カラツィオラ(1901-1959)、ハンス・シュトゥック(1900-1978)、マンフレート・フォン・ブラウヒッチュ(1905-2003)といった英雄的なレーシングドライバーたちの手で数々の勝利を収めた。

グロッサー・メルセデス770(1930年)

初代グロッサー・メルセデス(「大きなメルセデス」という意味)は7.7Lエンジンを搭載。自然吸気仕様で150psを発生したが、高価なスーパーチャージャー仕様(117台のうち104台が後者)では200psにまで上昇する。

さらには防弾ボディも選択可能で、日本の昭和天皇(1901-1989)の御料車としても採用された。御料車は1971年にドイツへ返還され、シュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ博物館に展示されている。

ポントン・メルセデス(1953年)

第二次世界大戦が終わって間もない頃のメルセデス車は、1930年代のモデルとほぼ同じ外観だった。しかし1953年、W120シリーズの導入により、イメージは大きく変わった。それまでのモデルにあったランニングボード(ステップ)は廃止され、フラットになったボディ側面の形状から「ポントン(あるいはポンツーン)」の愛称で呼ばれた。

1954年の180 Dはディーゼルエンジンを搭載していた。当時の量産車としては珍しいが、まったくの新技術というわけではない。ポントン以前の1936年発売の260 Dもディーゼルで、それ以前の商用車にも搭載されていた。ポントン・メルセデスは戦後の苦境から同社を成功へ導く重要なモデルとなった。

300 SL(1954年)

米国の輸入業者マックス・ホフマン(1904-1981)の提案で開発された300 SLは、一大センセーションを巻き起こした。その理由は主にクーペボディ、特にガルウィングドアにあったが、1952年にデビューしたW194レーサーとの機械的類似性による影響も大きい。

1957年になると、クーペボディからロードスターへと変更された。また、1955年から1963年にかけて、300 SLに似た外観を持つものの速度性能は劣る190 SLも販売されていた。

フィンテール(1959年)

W111は、後にメルセデスの定番となるデザインを初めて採用したモデルだ。目立つグリルを挟むように、背の高い垂直型ヘッドライトユニットを配置。リアには、短命に終わったテールフィンを採用した。当時の米国基準では極めて控えめなデザインだったが、欧州基準では目立つ存在だった。

初期のフィンテール車はすべて6気筒エンジンを搭載していたが、1961年には4気筒のW110シリーズにもフィンが採用された。1960年代後半には時代遅れに見えるようになり、1968年には完全に廃止された。

グロッサー・メルセデス600(1964年)

初代グロッサーから34年を経て登場した600は、メルセデスの量産車として初めてV8エンジンを採用したモデルだ。エアサスペンション、セントラルロック、電子制御式のヒーター・ベンチレーターなどが標準装備されており、現代では特別なものではないが、ビートルズがデビューしたばかりの時代としては驚異的な仕様だった。

1981年までに2677台が生産された。このうち429台がプルマン、59台がランドーレットだった。ランドーレットは希少な存在だが、さらに特別なのが、1965年にジョヴァンニ・モンティーニ(1897-1978、教皇パウロ6世)のために製作されたランドーレットで、屋根を高くするなど独自仕様となっていた。

(翻訳者注:この記事は「後編」に続きます。)

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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