ステアリングの形状もじつは進化していた!
ステアリングホイールの形が気になった方はいないだろうか? 歴史的にステアリングホイールの形は真円形、と相場は決まっていた。ステアリングホイールは、回転させることで前輪の向きを変えるデバイスで、旋回のためステアリングを回した際にどの位置を握っても同じ操作性、保舵性であることを重視した結果、真円形が採用され続けてきた。
しかし、最近は中立時に下側、車種によっては上下を平らな形状とした非真円形のステアリングも見かけるようになってきた。なぜこうした形状のものが生まれてきたのか、ステアリングホイールの役割を再確認しながら考えてみることにしよう。
まず、もともとステアリングホイールは真円で作られていた。と言うより、真円以外の形状は考えられなかった、というのが実際のところである。回転運動をするもの、たとえば車輪(タイヤ&ホイール)が真円でなければ都合が悪いことは、誰にでもわかることだろう。ステアリングホイールが真円で作られたのも、自然の発想によるものである。
さて、自動車は発達とともに、車重の増加、タイヤ幅の広がりといった進化を遂げてきた。これに合わせ。当然ながらステアリングを回す力(操舵力)もどんどん増えていくことになる。自動車が一般を相手にした商品である以上、運転者は老若男女、免許証を所持するすべての人間が運転できなくては具合が悪いことは言うまでもない。このため、操舵力軽減のため、ステアリングホイール径の拡大、減速比の大きなステアリングギヤボックスの採用などが行われてきたが、これにも自ずと限界値があったのだ。操舵力を軽くするため、あまりに径の大きなステアリングホイールや、いくら回しても向きが変わらない大きな減速比のギヤボックスは、現実的でないからだ。
そこで考えられたのが、ステアリングのパワーアシスト機構だ。エンジンを動力源とする油圧ポンプにより、ステアリング操舵力を油圧が補助するシステムで、いわゆるパワーステアリングと呼ばれる機構の実用化である。ステアリング系は、パワーアシストを備えたことで、操作性に優れた小径ステアリングホイール、応答性のよい小さな減速比のステアリングギヤボックスが使えるようになったわけである。
なお、中立付近は重い保舵力の小さな減速比、大きく切り込むと軽い保舵力の大きな減速比に変わる可変レシオ(バリアブルレシオ)のステアリングギヤボックスは、パワーステアリングが一般に普及する以前の時代に考え出されたシステムである。
パワーアシスト機構の普及、さらに進化によって、ステアリングホイールの考え方は、操作性のみから他の要素も加味した視点に変わっていくことになる。ステアリングホイールには、ドライバー視界を妨げるという要素があったからだ。これは着座位置やドライバーの体格によってかなり異なってくる部分だが、前方視界、あるいはメーターの視認性においてステアリングホイール円周の一部が視野を妨げる例、場合によっては、ステアリングホイール下部がドライバーの腹部や上肢と干渉し操作性を損なう例も生じていた。
こうした不具合に対処する目的で、ステアリング上部あるいは下部、またはその両方を真円形状ではなく直線形状とすることで、前方視野やメーター視認性、ステアリング操作性を改善する対策が考え出されることになったわけである。
レースの世界では非円形が多い!
もっとも顕著な例は、レーシングカーに見ることができる。とくにGTカー、F1などで見られる形状で、もはやホイール(輪)という言葉が使えないような横方向のバー形状で、両手で握るためわずかに両端が弧を描くグリップ部分となっているだけのステアリングだ。量産車のように、駐車のための大舵角操作が不要、さらに角速度の速いステアリングギアボックスの装着によって左右の操作角がそれぞれ90度にも満たない操作領域(ステアリングの持ち替えが不要な作動領域)で足りることから、視認性やスペース確保のため、弧を描く領域がごくわずかなステアリング形状が採用されている。
補足しておくと、こうした形状が可能になった背景には、電動パワーステアリングシステムの進化があったことはいうまでもない。
部分的に真円のない形状のステアリングホイールの不都合(欠点?)は、ステアリングの持ち替えが生じる大舵角領域の操作においてだが、当然ながら大舵角操作は極低速領域のみで生じる動きであり、この場合、持ち替える部分が真円形状でなくても操作感が走行(走行というほどの速度は出ていない)の支障となることはなく、変則形状とすることの影響は皆無と考えてもよいものだ。
なお、ステアリングホイール径に関しては、以前は保安基準で350mm以上と規定値が定められていたが、現在この数値は見当たらず、常識的な範囲の径であればOKであるようで、社外品と交換した場合、明らかに小径であるものは車検で不合格になる場合もありそうだ。また、ステアリンググリップ径は、握りやすく操作感のよいサイズで設定される例を多く見る。かつてのようにグリップ径が細いステアリングホイールは、現在の車両で目にすることは皆無となっている。
また、現代の車両では、ステアリングホーイル自体に周辺デバイスのコントロール機能が盛り込まれる例も多く、こうした場合、ステアリングの交換で車両が動かなくなる可能性もある。また、こうした機能がないステアリングでも、現在の車両はエアバッグが内蔵されており、換装するとエアバッグ機能がなくなるほか、エアバッグインジケーターの誤作動によって車両が正常に機能しなくなる場合もある。エアバッグがなくなることは自己責任として、車両を正常に機能させるためには、エアバッグ対応のステアリングボスを選んでおくこともお忘れなく。
ステアリングホイールの形状は、装着する車両の性格(レーシングカー、とくに軽車重のフォーミュラから量産車まで)によって捉え方が変わり、それぞれがどのような運転領域で使われるかによって最適な形状が決まってくる、と考えてよいものだ。
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