なぜ今の日産に「パトロール」のようなモデルが必要なのか?
このクルマこそ、今、日産の日本市場向けモデルに必要では!?……日産自動車が海外市場で展開中の大型SUV「パトロール」に触れてみて乗ってみて、そう強く実感しました。
【画像】「えっ!…」ファンを惹きつける憧れの存在! これが日産のビッグSUV「パトロール」です(30枚以上)
ご存じのように、日産自動車は今、会社再構築の真っ最中。そんな今の日産になぜ「パトロール」のようなモデルが必要なのか? そのキーワードは“憧れ”と“ファンを惹きつける存在”です。
1990年前後の日産は非常に熱いブランドで、続々と登場する新型車で世のクルマ好きたちをアッといわせていました。
ラインナップには、スポーツカーの頂点として“Z32”型「フェアレディZ」と“R32”型「スカイラインGT-R」という二枚看板が君臨。また、ハイパワーかつ、当時の最高峰と評された優れた操縦安定性によるハイレベルな走りが魅力的でした。
さらにデザインだって、誰もがすれ違いざまに振り返るような華々しい存在感がありました。まさに当時の日産は、イケイケで元気があったのです。
そうした当時の日産車は、多くのクルマ好きの心を惹きつけていたということを、ご存じの人も多いでしょう。
確かに「フェアレディZ」や「スカイラインGT-R」は高価で、誰もが気軽に買えるモデルではありませんでした。しかし、「いつかは手に入れたい」と思わせる憧れの存在であり、日産ファンを生み出していたのです。
そして「フェアレディZ」や「スカイラインGT-R」の下に、手頃なモデルである“S13”型「シルビア」や“R32”型「スカイライン」をラインナップ。それらも高い人気を獲得しました。
「『フェアレディZ』に憧れているけれど、今はまだ買えないから『シルビア』を選ぶ」とか、「『GT-R』には手が届かないから普通の『スカイライン』を手に入れる」という人も少なくなかったのです。つまり「フェアレディZ」や「スカイラインGT-R」は、日産車全体のセールス拡大に貢献する広告塔のような役目も担っていたのです。
かつて「トヨタ車じゃなくて日産車を買う!」というクルマ好きがたくさんいたのも、当時の日産が強い信念を持って個性的なモデルを続々と世に送り出し、クルマ好きたちの心を揺さぶっていたからにほかなりません。
●中東向けは想定以上の人気により増産が決定
その点、昨今の日産はどうでしょう?
例えば、日本市場向けのラインナップはかなり絞り込まれており、コンパクトカーが欲しければ「ノート」、コンパクトSUVが欲しければ「キックス」、ミドルサイズのSUVなら「エクストレイル」、そしてミニバンなら「セレナ」といった具合に、安定的に売れる車種だけが用意されている状態です。
確かにこの品ぞろえであれば、効率的なビジネスを展開できるかもしれません。昨今の状況に陥っても、比較的、日本市場の収支が良好だったのが何よりの証拠といえるでしょう。
しかし、そんなドライなビジネスがクルマ好きの心を揺さぶり、日産ファンを育むかといわれれば微妙です。となるとやはり、“憧れ”の存在がラインナップに欲しくなります。
もちろん今の日産には、「GT-R」や「フェアレディZ」といった憧れのスポーツカーが存在します。しかし、日産の象徴ともいえる「GT-R」は間もなく生産終了。残念ながら次期モデルは、その後すぐに登場することはなさそうです。
そんな現在の日産に、「GT-R」に代わるフラッグシップと呼べる存在が欲しいと感じるのは筆者(工藤貴宏)だけでしょうか? そのポジショニングに最適なモデルこそ、筆者は「パトロール」だと思うわけです。
「パトロール」はかつて日本でも「サファリ」の名で販売されていました。日本向けは2007年に販売を終了しましたが、「パトロール」の名で展開される海外市場では、フルモデルチェンジを繰り返しながら販売が続いています。
その最新モデルが、刷新されたフレームに新開発の3.5リッターV6ツインターボエンジンを組み合わせた第7世代の“Y63型”。メインマーケットである中東では想定以上の人気を獲得しており、先頃、増産が決定されたばかりです。
確かに、2007年に「サファリ」が日本市場から消えた理由は「販売台数が多くないから」というものでした。しかし、SUVがこれだけ一般化した今の日本なら、状況も変わると思いませんか?
新しい「パトロール」のボディは、全長5350mm、全幅2030mm、全高1945mm。これは、トヨタ「ランドクルーザー300」(全長4950~4985mm、全幅1980~1990mm、全高1925mm)よりひと回り大きいサイズとなっています。
スタイリングは、エッジを効かせてシャープな印象を演出しながら、フェンダーなどは丸みを帯びたデザイン。タフでありながら洗練されていて、エレガントで何よりカッコいいのです。
一方、生粋のオフローダーでありながら、上級グレードのインテリアは贅を尽くした空間。それはまさに、ラグジュアリーセダンに匹敵する仕上がりです。
オフローダーと思えないほど舗装路での走りは安定
そんな新型「パトロール」は、走りもフラッグシップと呼ぶにふさわしい完成度を誇ります。
筆者は2024年末に中東のサウジアラビアへ飛び、新型「パトロール」を数百kmに渡ってドライブ。オフロードや砂漠での走りも試してきました。
それはまさに、文句のない出来栄え。しかし、実はそれ以上に印象的だったのが、オンロードでの走行フィール。人が歩けないほどの険しい道もグイグイ前へと進んでいく生粋のオフローダーでありながら、新型「パトロール」は舗装路での走りもハイレベルなのです。
新開発のVR35DDTT型エンジンは、現行の「フェアレディZ」に搭載されるエンジンの排気量アップ版といえるもので、単にパワフルというだけでなく、音やフィーリングもエモーショナル。「もしかしてスポーツカーをドライブしているのでは?」と錯覚するくらい気持ちいいのです。
独自の4WDシステムは、長年、高い評価を獲得してきた日産独自の“アテーサE-TS”と同じ考え方&システムを持ち、そこに専用の“ロックモード”が加わったもの。これが気持ちいいハンドリングに貢献する一方、日本の制限速度を大きく超える超高速域でも抜群の安定感を発揮します。
この領域における新型「パトロール」は、オフローダーと思えないほど走りがビシッと安定しています。
* * *
そんな魅力たっぷりの新型「パトロール」ですが、もし日本で販売するとなると価格は1000万円をオーバーすることでしょう。もちろん気軽に買える存在ではありませんし、それもあって販売台数も限られることでしょう。
だからといって「日本では売らない」というのは、実にもったいない話です。日産の象徴として君臨し、憧れの存在となり、日産のファンをつくっていく……新型「パトロール」ならそんな難しい役目もしっかり果たしてくれると筆者は考えます。だから今こそ、日本市場には「パトロール」が必要なのです。
ちなみに「パトロール」の起源は、警察予備隊(後の自衛隊)に収める車両を考えて欲しいという日本政府からの依頼により、1951年に開発された試作車でした。つまり「パトロール」には、70年を超える歴史があるということも忘れてはいけません。
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