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【昭和の名車 152】三菱 シャリオは、日本製ミニバンのルーツ的存在だった

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【昭和の名車 152】三菱 シャリオは、日本製ミニバンのルーツ的存在だった

昭和は遠くなりにけり・・・。以前に連載した「昭和の名車」では、紹介しきれなかったクルマはまだ数多くある。そこで、1960年代以降の隠れた名車を順次紹介していこう。今回は「三菱 シャリオ」だ。

三菱 シャリオ(D03W型):昭和58年(1983年)2月発売
三菱自動車は1979年(昭和54年)の東京モーターショーに「SSW(スーパースペースワゴン)」というコンセプトカーを出品。ユニークなスタイルと広い室内、多岐にわたる機構を備えた3列シートなどが注目を集めた。会場での人気に注目した三菱は、日米欧市場での調査結果を行い、それを踏まえて1983年2月に発売されたのがシャリオだ。1982年8月に日産が発売したプレーリーが日本初のミニバンとなったが、コンセプトは三菱のほうが先だったのだ。

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ベースとなったのはFF4ドアセダンのトレディアで、ポイントとなるのはそれまでにない使い勝手の良さだった。セダンベースでキャブオーバーワゴンの長所を備えたスタイルは、それだけで話題となったし、広く高く開放感のある室内空間も好意的に受け入れられた。6人乗りと7人乗りが選べたが、2列目/3列目はリクライニング機構によってフルフラットにできたり、6人乗り仕様では2列目シートを180度転回して、3列目と対座仕様とできるというのも楽しさを感じさせるポイントで、注目を集める要素となった。

豊富な収納スペースも特筆されるところで、運転席まわりのグローブボックスやセンターコンソールボックスを含めると10カ所に及び、3列目の左右リアサイドボックスにはカップホルダーも設けられていた。セダンのドライビングポジションは多少なりとも潜り込むような着座位置となるが、背が高いためにアップライトで楽な運転姿勢を取れ、乗降性にも優れたものとなったのだ。全高をタワーパーキングの駐車が可能な1525mmに抑えたのも気の利いたところだった。

走りの方もトレディア譲りで、なかなかのものだった。デビュー当初のエンジンは1.8Lと1.6Lの2種。1800MTでは、シリウスエンジン(G62B型)を搭載し、三菱のエンジンらしいフラットトルクとアクセルレスポンスを実現していた。このエンジンには4気筒特有の二次振動を抑えるサイレントシャフトを搭載し、静粛性でも折り紙付きのエンジンとして知られていたが、シャリオではそれに加え二重トーボードやカーペットでもエンジン音低減に努め、静粛性の確保にも力を入れた。

1600MFには、サターンエンジン(G32B型)を搭載。こちらも実用性の高さとサイレントシャフトによる静粛性を確保していた。デビューから5カ月後の7月には、よりパワフルな走りを求めるユーザー向けにECIターボを装着した1800MRを追加して、135ps/20.0kkgmというスポーティカー並みの動力性能を実現した。

サスペンションはフロント:ストラット/リア:トレーリングアームでトレディアと同様だが、シャリオではリアのショックアブソーバーを減衰力可変式とした。これは乗員や荷物の重量に応じて自動的に減衰力を変化させるものだが、電子制御ではなくアナログ機構でそれを実現していたのも当時の三菱の技術者魂が感じられるところだ。イージードライブにもこだわり、エンジン回転数感応型パワーステアリングや5速MTの他にマイコン制御で無駄のないパワーを伝達するELC3速オートマチックも選択することができた。

シャリオは、若者はもちろん、女性、中高年など幅広い層に支持された。通勤、レジャー、ショッピング、ビジネスなど、多目的に使えるマルチパーパスカーともいえ、以後、ミニバンがポストセダンのメインとなる第一歩を印したといえるだろう。



三菱 シャリオ 1800MX 主要諸元
●全長×全幅×全高:4295×1640×1525mm
●ホイールベース:2625mm
●重量:1050kg
●エンジン型式・種類:G62B型・直4 SOHC
●排気量:1795cc
●最高出力:100ps/5500rpm
●最大トルク:15.0kgm/3500rpm
●トランスミッション:3速AT
●タイヤサイズ:185/70R13
●価格:165万5000円

[ アルバム : 三菱 シャリオ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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