BMWの「3シリーズ」のディーゼルモデル「320d xDrive」にサトータケシが試乗した。セダンとワゴン、乗り比べた印象はいかに?
気持ちのいいディーゼル
2.0リッターの直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載するBMW「320d」のセダンとツーリング(ステーションワゴン)に試乗した。まずはセダンから報告する。
日本に導入されるBMW3シリーズのディーゼル仕様の駆動方式は、セダン、ツーリングともに4輪駆動のみ。本国ではラインナップされるディーゼル+後輪駆動の仕様は設定されない。
機能的でシンプル、ドライバーが主役であることが一発でわかるインテリアはBMWの文法に則ったもの。同時に、フルデジタルのメーターパネルには「ぶつからない」「はみ出さない」「ついて行く」といった最先端の機能も表示されるから、新しいモノにふれる興奮も味わえる。
エンジンスターターボタンを押すと、2.0リッターのディーゼルエンジンがシュンとあまりにスムーズに始動するので、「ホントにディーゼル?」という疑念がむくむく。窓を開けてからエンジンを切り、もう一度始動。今度は多少ザラついた感触とともに目を覚まし、アイドリングではわずかにカラカラという音を立てるのが聞こえた。
けれどもトータルでは実に洗練されたディーゼルエンジンで、窓を閉め切っていたらディーゼルであると気づかなっただろう。
ただし、本当に驚いたのはここからだ。静止状態からアクセルを踏み込むと、トゥルルルルル~という心地よいエンジンの回転フィールとともに、つきたての餅のようにもっちりとしたトルクが湧いてくる。この湿り気を帯びたトルク感は、ガソリンの大排気量NA(自然吸気)エンジンとは異なる独特のものだ。
しかも一般的なディーゼルエンジンのように高回転までまわるのをイヤがるとか、ちょっとまわすと頭打ちになるという感じもなく、リミッターが作動する5000rpmでまで気持ちよくまわる。
最近のビーエムのディーゼルは、4気筒も6気筒もどれもハズレなしだ。
いいとこどりなxDrive
そして繊細さと力強さを併せ持つ、すばらしいディーゼルエンジンが生まれた背景には、BMWのこだわりがある。
この2.0リッター直列4気筒ディーゼルターボには、先代3シリーズの後期型に積まれたものとおなじB47型という型番が与えられる。型番が同おなじだけあって、排気量、ボア✕ストローク、最高出力、最大トルクに変化はない。
ところが! である。現行3シリーズに積まれるB47型は、これまでのシングルターボからツインターボに変更されているのだ。つまりパワーやトルクを増やすためにではなく、フィーリングを向上させるためにツインターボ化したのだ。
というありがたい事実を踏まえながら、もう一度アクセルペダルを踏み込んで見る。
ふたつのターボの役割は明確で、小さな羽根で空気を送り込むハイプレッシャーターボは低い回転域から鋭いレスポンスを実現する。だから発進時のシャープな反応はハイプレシャーターボが受持ち、高速巡航などゆったりと走る状況では大きな羽根のロープレッシャーターボの出番だ。
そして全開加速では、大小ふたつのターボが力を合わせる。
ツインターボで武装した新しいディーゼルエンジンは、新鮮なドライブフィールを味わわせてくれる。同じように、xDriveと呼ばれる4駆システムによるコーナリングにも新しいファン・トゥ・ドライブがある。
FRでの走行が基本ということはつまり、ドライ路面でまっすぐ走っている限りは後輪駆動で燃料消費を抑える。そして必要に応じて前輪にもトルクを配分する。
だからいいペースでコーナーを攻めていても、コーナーの入口でハンドルを切り込むところまではFRらしく軽快だ。そしてコーナリング中には前輪にもトルクが配分され、オン・ザ・レールの感覚になる。しかもただ「クルマにおまかせ」というオン・ザ・レールではなく、安定してはいるけれど、積極的に向きを変えていこうという意志が感じられる。
これはトルクベクタリングの働き、すなわち内輪にブレーキをかけることでクルッと小まわりしようとしている仕組みによるものだ。
というわけで、xDriveはFRと4駆の“いいとこ取り”をしたような操縦性を提供してくれるのだ。これにきめ細やかにパワーをコントロールできるディーゼルエンジンが組み合わされるわけだから、楽しくないわけがない。
セダンと遜色ないツーリング
同じエンジンを積むBMW320d xDriveツーリングを試す。現行の3シリーズは、全モデルにハンドルから手を放すことができるハンズオフ機能が備わる。
ハンズオフ機能が使えるのはいまのところ高速道路に限られていて、前を走るクルマに追従するアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)と同時に作動する。
高速道路に上がり、ACCで前を行くクルマへの追従を開始。ここで60km/h以下だとインパネに「ASSIST PLUS READY」という文字が表示され、ハンズオフが可能であることを示す。ここで「MODE」スイッチを押せば、アクセルとブレーキに加えてハンドル操作も自動となり、先行車両について行く。
加減速も操舵もなかなか滑らかで、不安を感じないというレベルを大きく越えて、感心する領域だ。いままでのファン・トゥ・ドライブとはまるで違うけれど、ハンドルが小刻みに舵を修正する様子を見ていると、クルマはこんなところにまで来たのかと感心する。
高速道路を下りて、ハンドルを握りアクセルとブレーキをみずから操作する。実のところ、運転席から後ろを振り返らないかぎりセダンとツーリングの違いはわからない。運転した印象は同じで、トルクの“ツキ”がよいエンジンのフィールも、FRと4駆の“いいとこ取り”をしたようなコーナリング感覚も共通。
強いて言えばツーリングは空荷だとリアが少しだけバタつくかな、という程度の違いしかない。
いずれにせよ、静かで力強いエンジンのおかげでストップ&ゴーが続く都心部でもクールに走れる。ディーゼルエンジンの反応のよさと優れた4駆システムとの組み合わせで、山道でも楽しめる。おまけにハンズオフ機能とフラットな乗り心地との組み合わせで長距離ドライブも得意。
「これ1台でクルマ生活が楽しくなる」というのがBMW3シリーズの昔からの美点であるけれど、それが2020年版にしっかりとアップデートされていた。
文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend)
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