シャシー技術とパワートレインを初公開
フェラーリ初のEVは来年発売される予定だ。合計出力約1000psを発生する4基のモーター、驚異的な加速性能、革新的なシャシー技術、F80から継承したアクティブ・サスペンションを備えるが、経営陣は「スーパーカーではない」と明言している。
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4ドア、4人乗りモデルで、むしろGTカーに近く、以前のV12エンジン搭載のFFやGTC4ルッソといったモデルの間接的な後継として位置づけられる。コードネームは『エレットリカ(Elettrica)』で、同社にとって7番目の独立モデルラインとなる。
異例なことに、エレットリカは3段階に分けて発表される。今回はまず、完全専用設計のシャシー、革新的な4モーター・パワートレイン、巨大な122kWhバッテリーといった技術的詳細が明かされた。続いて2026年初頭に正式名称が発表され、同年半ばに完全公開される予定だ。
「エレットリカのように革新的な要素が多い場合、車両の構成を段階的に示す必要があります」とベネデット・ヴィーニャCEOは説明する。
エレットリカのデザインは、元アップルのデザイナー、ジョナサン・アイブ氏が率いるLoveFrom社と共同で設計された。現時点では詳細はほとんどわかっていないが、最近目撃されたプロトタイプから、従来の4ドアGTよりも車高が高く、流線形で空力特性を重視したシルエットとなることは明らかだ。ボディサイズも不明だが、以前のプロトタイプはマセラティ・レヴァンテをベースとしていたことから、全長は約5mで、V12エンジン搭載のプロサングエと同程度と推測される。
なぜ4人乗りの「4ドアGT」としたのか?
ヴィーニャ氏は、高級EVおよびスポーツEVの市場が不安定な状況にあることを認めたが、アストン マーティン、ベントレー、ランボルギーニなどのライバル企業が発売を延期している中、フェラーリが初のEVを発売するには絶好のタイミングだと述べた。それは新技術を受け入れ、開発を進めるために迅速に行動する必要があるからであり、この理念は1947年に創設者エンツォ・フェラーリ氏によって確立されたものであるという。
「要点は非常に単純です。革新を起こさなければ、マーケットリーダーと呼ばれる資格はありません」とヴィーニャ氏は語った。
「駆動方法は新しいものです。そう、電気による駆動です。確かに、他社は問題を抱えています。しかし、フェラーリは革新しなければなりません。そして、それをうまく習得すれば、電気で独特のドライビングスリルを提供できるということを世界に示したい」
フェラーリは「技術中立性」を信条としており、これは「顧客を喜ばせるためにあらゆる技術を活用できる」という意味だと同氏は付け加えた。
エレットリカは従来の内燃機関車と同等の性能とハンドリングを目指して開発されたが、「この種のクルマを楽しむ顧客層を拡大すること」に主眼を置いている。ヴィーニャ氏は「これはスーパーカーではない」と断言し、むしろ実用性を重視した4人乗りGTであると説明した。
しかし、4人乗りGTというポジショニングには技術面でも重要な意味があり、この種の車両でこそEV駆動系の真価が発揮されるのだと、製品開発責任者ジャンマリア・フルジェンツィ氏は語る。
「数年前、当社はブランドの新たなコンセプト、要するに既存ラインナップを補完するモデルに関して徹底的な調査を開始しました」
「わたし達が想定していた走行特性、車内空間、視界の条件を満たし、かつ通常はフェラーリの購入を考えない顧客層にも訴求できる理想的な追加要素として、EVが最適だと確信したのです」
フルジェンツィ氏によると、2シーターを電動化した場合、「性能と実用性の向上はごくわずかで、重量増加を相殺するには不十分」だという。
「たとえ驚異的な出力を実現したとしても、電動技術は2シーターのコンセプトにはまったく競争力を持ちません」と同氏は語った。
対照的に、エレットリカのような「汎用性の高い」モデルは、「同等の内燃機関車と比較して」、ダイナミクス、視界、快適性の面でメリットを得られる可能性がある。
車体の形状やサイズ、ポジショニングに関わらず、フルジェンツィ氏はドライバーの没入感と優れたダイナミクス性能が開発の最優先事項だと断言した。「EVではあありますが、概念的にも実践的にも、何よりもまずフェラーリなのです」
他に類を見ないEVプラットフォーム
フェラーリのEV用プラットフォームは、現時点で他モデルへの採用は未確認だが、最小限のオーバーハング、「極めて短い」ホイールベース、そしてベルリネッタ(クーペ)に着想を得たレイアウトになっているという。
最大の特徴は、ドライビング・ポジションがフロントアクスルに近い位置にあることだ。フェラーリによると、これにより車重2300kgのエレットリカは「最も純粋なダイナミック・フィードバックを提供しつつ、乗降性を確保し、快適性を最大化する」という。
シート下のフロアパンに統合されたバッテリーは、総容量122kWhで市販EV中最大級。800Vの電気システムにより、最大350kWの充電速度を実現した。
ただし、開発の焦点は絶対的な航続距離ではなく、ハイパフォーマンスとドライバー・エンゲージメントにあった。その結果、公称航続距離は530kmとされている。これは高出力のクアッドモーターEVとしては競争力があるものの、市場最長クラスのEVには及ばない。
特筆すべきは、フロア下に13個のモジュールを単層で配置し、さらに後部座席下部に2個を追加するという珍しい構造だ。このレイアウトにより、バッテリー容量を損なわずにホイールベースを可能な限り短縮。同時に重量配分を最適化し、前後47:53のバランスを実現している。
フェラーリはさらに、バッテリー重量の85%をフロア下に集中させる設計によって、エレットリカの重心高は「同等の内燃機関車より80mm低い」と主張している。
バッテリー本体は、韓国企業SKオン(SK On)製のセルを使用しつつ、マラネロで設計・組み立てられている。エネルギー密度は195Wh/kgで、「市販EVの中で最高」だという。
エンジンに代わるクアッドモーター
バッテリーからの電力は4輪それぞれに配置された4基のモーターに供給される。4基を連携させることで、フェラーリのロードカー史上最高の出力と、大半の市販車を数倍上回るトルクを実現している。
後輪モーターは各421psを発生し、合計842psとなる。前輪モーターはさらに286psを加える。4基の合計出力値はまだ公表されていないが、これまでで最もパワフルなモデルの1つとなることは間違いないだろう。
フェラーリは、フルスロットル時には1000psを超える出力を発揮するとしている。これにより、0-100km/h加速2.5秒(F80よりわずか0.3秒遅い)、最高速度310km/hを達成する。
また、フロントアクスルは最大357kg-mのトルクを路面に伝達可能だという。一方リアは、モータートルクをトランスミッションで増幅させ、驚異的な816kg-mを発生する。モーターは静止状態から2万5000rpmの最高回転数まで1秒未満で到達する。
4基のモーターを駆使することで完全な4輪トルクベクタリングを実現し、アジリティと安定性を最大限に高める。また前輪モーターは不要時に(わずか0.5秒で)切り離せ、高速巡航時などに効率向上のため純粋な後輪駆動とすることができる。
モーターは完全自社開発・製造のeアクスルユニットに収められている。筐体すらフェラーリの自社鋳造所で製造され、「完璧な製造品質を確保し、工程全体を厳密に管理」しているという。
F80と同様、モーターのステーターとローターにはハルバッハ配列を採用した。磁石の極をすべて異なる方向に向けることで、磁力を集中ささせ、エネルギーロスを回避している。
驚異的なアクティブ・サスペンション
エレットリカはフェラーリのロードカーとして初めてリアに独立サブフレームを採用しているが、その理由の1つは乗り心地への徹底的なこだわりだ。この構造により、ロードノイズやパワートレインの振動をキャビンから効果的に遮断できる。
このサブフレームは、フェラーリがこれまでに製造した中で最大の単一中空鋳造部品であり、リアのeアクスル、アクティブ・サスペンション、4輪操舵システムを車体から「エラストマー」ブッシュを介して吊り下げている。このブッシュは、サブフレームなしのシャシーと同等の剛性を保ちつつ、騒音と不快な振動を最小限に抑えると言われている。
その働きを補完するのが、48Vセミアクティブ・サスペンション・システムだ。プロサングエに採用されたシステムをさらに進化させたもので、荷重や路面の変化に応じて上下運動するモーター駆動ダンパーを4輪に配置している。
サスペンションはセントラルコンピューターで制御され、シャシー全体の動的パラメーターを毎秒200回計測し、それに応じて調整する。例えば、タイトコーナーでは外側のダンパーを硬くして車体を水平に保ち、凹凸のある路面では各車輪を押し下げて接地を維持し、跳ね返りを抑える。
これにより、コイルスプリングは走行中は不要となり、停車時に車体が地面に接触しないよう支える役割のみを担う。そうでなければダンパー内のモーターを常時作動させておかねばならない。
高度なアクティブ・サスペンションに加え、4輪操舵(後輪の操舵角は最大2.15度)とフルトルクベクタリングを装備したエレットリカは、フェラーリ初の「あらゆる走行条件下で垂直方向・縦方向・横方向の力を制御する」モデルだと謡われている。
機械部品の振動を活用したサウンドトラック
フェラーリは、内燃機関スポーツカーに劣らぬ魅力を持たせるべく、走行中に心地よいサウンドを聴かせる革新的なハーモニクス・システムを開発した。
エンジン音を合成して車内に流したり、モーターのうなり音を人工的に強調したりするのではなく、まるでエレキギターのピックアップのように、機械部品の振動を拾い増幅する高精度センサーを採用した。
フェラーリによれば、このシステムは「ダイナミックなドライビング・エクスペリエンスを反映した本物の音響体験」を提供するが、フィードバックや特定の身体感覚を高める「機能的に有用な」場合のみ作動するという。例えば、約110km/hでの高速道路巡航時には無音状態となる。
「電動フェラーリのサウンドは、まったくもってフェイクではありません」とフルジェンツィ氏は力を込めた。ドライビングの没入感を高める手段として、本物であることを重要したという。
また、『フェラーリ・オーダー・ノイズ・キャンセレーション(FONC)』という専用のシステムを搭載する。モーターから発生する高音域の甲高い音など「不要な高調波」を監視し、選択的に除去することで走行中の静粛性と洗練性を高める。
今後の展開は?
フェラーリは、エレットリカの生産台数を制限せず、価格によって供給量を決定する方針だ。価格は来年の完全発表時に明かされる。
「これは限定モデルではなく、ラインナップの1車種です」とヴィーニャ氏は述べている。
ヴィーニャ氏によると、このEVは主に新規顧客の獲得を狙っているが、フェラーリコレクターの中には「当社を深く信頼し」、「EVにおいても車両ダイナミクスによる独特の感動」を期待している人もいるという。
「複数のコレクターとも話をしましたが、伝えたいメッセージは明確です。このモデルがわたし達の想定通りの働きを見せれば、顧客にも受け入れていただけるはずです」
ヴィーニャ氏は、購入を検討する潜在顧客との「より本格的な話し合い」を2026年第1四半期に開始する予定だとしたが、受注開始や納車開始の具体的なスケジュールについては明言せず、最終発表は同年上半期に行われると述べるにとどめた。
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