新たな移動の選択肢
ライドシェアは、車の所有者と乗り合いをするユーザーを結びつけるサービスである。ユーザーは、プラットホームやアプリを使ってドライバーとマッチングされる。このサービスは一般的に、コスト削減、環境支援、自動車利用の最適化を目的としている。
【画像】えっ…! これがライドシェア賛成者の「割合」です(計17枚)
ライドシェアは欧州を中心に諸外国の多くで、すでに当たり前のように利用されているが、日本ではこれまで禁止されてきている。タクシー業界の反発や、安全性への懸念、事故の際の責任問題など課題も多く、導入にはさまざまなハードルがあるからだ。
しかし日本でも導入に向けて、いよいよ本格的に検討が進められている。解禁されると、私たちの生活にはどのような変化をもたらすのだろうか。
自家用車でちょっとした副業ができる可能性は魅力だし、高齢者や地方在住者、通勤者の脚として、活躍の場があることは想像にかたくない。車を運転せず、公共交通機関もない。そんな交通手段のない人にはありがたいサービスとなるので、生活面でのメリットもたくさんあるはずだ。
アイデア次第では、私たちの生活に想像以上の利便性や広がりを与えてくれる可能性もあるのではないだろうか。例えば、
「子育て世代による子育て世代のための」
ライドシェアサービスというのはどうだろう。
子育て世代の新選択
ライドシェアが解禁されたら、子育て中の日本のお母さんもライドシェアでお小遣い稼ぎができるかも――と、ヒントのひとつになりそうな話題が米国にある。
中西部のウィスコンシン州で、小さな子どもを持つ母親たちが、スクールバスドライバーとして起用され、深刻なバスドライバー不足に悩む地域に明るい光を投げかけているのだ。子育て真っ最中にも関わらず、彼女たちがスクールバスドライバーとしての仕事に従事できている理由は、ごくシンプルだ。乗務するスクールバスに
「自分の子どもたちを同乗させている」
のだ。子どもをかたわらに置いて、一緒に仕事をしているわけである。
子どもが小さくて、外へ働きに出られない母親たちと、ドライバー不足に悩む地域とのニーズがきっちりかみ合って、ウィンウィンの関係を築いている成功例なのだ。この構図、日本でのライドシェアにも取り入れられるのではないだろうか。
外に出て働くということが難しい子育て中の親が、子ども同乗で車を利用して働く。子育て世代でもライドシェアなら参入できるのではないだろうか。
ストレス軽減? 子連れライドシェア
子育て中のお母さんやお父さんは、仕事と子育てを両立させることが物理的に難しい。しかし、ライドシェアが解禁されると、自分の子どもを車に乗せた状態で、同じく子育て中の親向けにライドシェアサービスを提供することは可能だ。
子どもを保育園に預けなくても、自分が出掛けるついでなどにもちょっとしたお小遣い稼ぎができるのは、とてもありがたいのではないだろうか。
利用者側にもメリットは大きい。小さな子どもを連れてのお出掛けは大変だ。大きなマザーズバッグを背負ってベビーカーと子どもを操らなければならない。
車がない親は、バスや電車といった公共交通機関を利用することになるが、
「他の乗客に迷惑をかけるのではないか」
と、時間帯を選んだりしながら遠慮がちに乗っている人も多い。車内で子どもがグズったり、泣きやまなかったり、ましてや粗相をしてしまったり。他の利用者に気を遣いながらの移動は、大きなストレスだ。
タクシーは料金面で利用ハードルは高いし、結局は、車内を汚さないかひやひやして、運転手に気を遣うことになる。そこで、子育て中のお母さん・お父さん提供のライドシェアだ。
車内を汚される可能性は否めない。また、泣かれたり騒いだり、とにかくうるさい……といった問題も考えられる。しかし、 こういった子どもならではの問題については、乗せる側が子育て中の親であれば、それなりの耐性があるはずだ。
ベビーシートの必要性など、考えるべき課題はあるが、何より利用者は気兼ねなく乗車できるし、共通の話題もあるので
「情報交換の場」
にもなりうるのではないだろうか。
サービスのデメリット
では、子育て世代による子育て世代のためのライドシェアサービスに、デメリットはないだろうか。
もちろんある。前述したとおり、車内を汚されたり、傷つけられたりする可能性は大いにある。が、しかし、こういったことに耐えられない人には、
「他人を乗せる」
ライドシェア参入はそもそも無理だろう。
また、そういった部分以上に、ビジネスとして捉えた時に継続しにくい面がありそうだ。同じ子育て中の親同士だと、意気投合しやすい半面、
「クールなビジネス関係を維持しにくい」
といったことも考えられる。友達関係とビジネス関係の線引きが難しくなる可能性は大きい。これは、業種や形態に関わらず、個人がサイドビジネスをする上での共通の難しさとして考えられるので、始める上でのスタンスの確認が必要だ。
バーチャルではなく、
・実際に顔を合わせ
・同じ空間で
・ある程度の時間を共有する
ライドシェアには、特に難しい点だといえる。
そうはいっても、移動に「脚」が必要で、公共交通機関の利用が大きなストレスと感じているお母さんにとっては、子育て世代による子育て世代のためのライドシェアサービスはメリットが大きいはずだ。
また、こういった動きから、子育て親同士のニーズの認識が深まり、子育て世代のコミュニティーに発展したり、新たな助け合いのアイデアが生まれたりする可能性もある。
利用の基本は自己責任
さて、ここでライドシェア最大の懸念部分に立ち戻ろうと思う。
「事故が起きた時の責任の所在」
だ。ましてや他人の子どもを乗せるとなると、事故は何より恐ろしい。
もちろん、ライドシェアの解禁に当たっては、このあたりの指針が明らかにされると考えるが、この部分を過度に恐れているとライドシェアはもう前に進めない。お国柄もあるが、欧州などでは、それは
「自己責任」
だという考え方だ。車を運転する、車に乗車するということは、
「事故の可能性が皆無ではない」
ことを受け入れるということが前提なのだ。運転者に関しては乗車客からの評価を参考にするなどして、自己責任で利用するしかない。
子育て世代による子育て世代のためのライドシェアサービスのみならず、ライドシェアについては、事故が怖い人は参入しない。利用しない。それが原則だ。
無責任なことは軽々しくいえないが、ライドシェアサービスには、事故の可能性を踏まえたとしても、不便を便利にする。無理を可能にする、
「あきらめを希望に変える可能性」
がある。
ライドシェアの問題を考えることをきっかけとして、リスクを超えて生活を潤し豊かにするアクションへと、一歩踏み出すことを前向きに考えてみてもよいのではないだろうか。
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