愛称「ビッグE」の空母なぜ解体に時間かかった
アメリカ海軍で「ビッグE」の愛称でも親しまれた旧原子力空母「エンタープライズ」の解体に関する契約が、2025年5月30日、アメリカ国防総省とバーモント州ヴァーノンに拠点を置くノーススター・マリタイム・ディスマントルメント・サービスLLCとの間で締結されました。
【画像】潜水艦は解体例多数! これが、輪切りにされた原潜です
同艦は2017年2月にアメリカ海軍から除籍され、以降、解体を待つ状態が続いていました。では、なぜ正式決定までにこれほど長い時間がかかったのでしょうか。
実は「エンタープライズ」は、1961年11月25日に就役した世界初の原子力空母です。なお、これまでに解体された原子力空母は存在しません。つまり、同艦の解体は世界初の試みとなるのです。そのため、あらゆる面で前例がなく、方針決定には長い時間を要しました。
まず、原子力潜水艦などと比べてはるかに大型の艦であるため、海軍が所有する既存施設には、数年かけて同艦を解体するための十分な設備が存在しませんでした。
仮に、新造艦を建造する施設で解体を行うとしても、膨大な費用がかかることが予想され、方針が定まらないまま、同艦は長らくバージニア州のニューポートニューズ造船所に係留されていました。なお、この係留にも年間数百万ドルという多額の維持費がかかっています。
一時は記念艦として保存する案も検討されましたが、搭載されている8基の原子炉の扱いが大きな課題となり、最終的には解体する方針に落ち着きました。
民間企業に任せてはという話に
2023年6月30日に海軍が発表した「エンタープライズ」解体に関する報告書では、数十年使用された原子炉の廃棄が生態系に及ぼすリスクを鑑み、解体方法に関する複数の選択肢が提示されました。
中でも、軍が使用するピュージェット・サウンド海軍造船所での解体案は、スペースや時間を大きく要するため、他艦艇の保守・整備に支障が出る恐れがあるとして、海軍は難色を示しました。その結果、海軍が最も望んだのは、民間業者に委託する形での解体でした。
民間業者による解体案では、艦体の3分の2を解体し、原子炉や推進装置の部分をそのまま残して、最終処分のためにピュージェット・サウンド海軍造船所へ送る方法のほか、原子炉プラントを含めすべてを民間業者が解体・梱包し、認可を受けた処分施設へ輸送するという案もありました。
今回、解体を請け負うこととなったノーススター・マリタイム・ディスマントルメント・サービスLLCが、どのような具体的手法で解体を進めるかは明らかにされていませんが、同社はこの作業を5億3674万9731ドルで契約しています。
当初、海軍による初期試算では、解体には最低でも7億ドル、最大で14億ドルがかかると見込まれていたため、今回の契約額は大幅なコスト削減となったことがわかります。こうして、世界初となる原子力空母の解体作業は、民間業者に託されることになったのです。
なお、2026年5月頃には、ニミッツ級原子力空母「ニミッツ」の退役が予定されています。さらに、今後10年以内には、同級の空母9隻が退役を迎える見込みです。これらは原子炉を2基ずつ搭載しており、「エンタープライズ」よりは少ないものの、アメリカ海軍および国防総省は、それらの退役・処分に備え、原子力空母の解体に関する基本方針を早急に確立する必要があります。(斎藤雅道(ライター/編集者))
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