ハザードランプによる意思疎通のひとつ「今から駐車します」
運転中、ドライバーどうしの意思疎通のためにハザードランプを使うことは、多くのドライバーにとって一般的となっているようです。「乗りものニュース」が2021年に実施した読者アンケートでは、589人中「ハザードランプで『ありがとう』」を表す、いわゆる「サンキューハザード」を行う人は93%、また渋滞の末尾でハザードランプを点灯するという人は88.5%を占めました。
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その次に多かったのが、「今から駐車します」の意味でハザードランプを使うケースで、81.2%の人が実践していました。たとえば駐車場で空きマスを見つけ、そこへバックでクルマを寄せるときや、道路脇に駐車するときにハザードランプを点灯させることが挙げられます。
また、「今から駐車します」だけでなく、一般道での駐車中にもハザードランプを点灯しているケースは多々見られます。それは必ずしも後続車へのアピールではなく、「ちょっと停まってるだけですよ」の意味かもしれません。人によって解釈が異なるためか、アンケートでも「本来の使い方と異なり、紛らわしくて迷惑」「バックする時バックライトが点灯するのに、ハザードを点灯する意味がない」といった意見も見られました。
では、駐車時にハザードランプ点灯の有無で、何か変わることはあるのでしょうか。
「駐車場でバック駐車しようとする場合」「一般道の道路脇に停車しようとする場合」「一般道の道路脇に停車(駐車)中」の3ケースで、後続車に追突された場合、ハザードランプ点灯の有無で過失割合が変化するかを、ある損害保険大手に聞いてみました。
ハザード=「バックの合図」とは言い難い?
損保大手によると、判例ベースで「一般道上においてハザードランプ点灯の有無によって過失割合が修正されたケースはない」とのこと。また駐車場において、「ハザードランプを点灯している=バックするの合図になるとは言い難く、何か義務を怠っているわけでもない」と話します。
ただ「過失の焦点が『予見可能性、回避可能性』であるとすれば、ハザードを点灯することで後続車は予見が可能であったと主張し、過失修正を求めることも、交渉ベースでは一定できるのでは」とのこと。つまり状況にもよるようです。
高速道路上では、ハザードランプの点灯で過失割合が変わる例も。故障などで道路脇に停車しているクルマがハザードランプを点灯しており、追突車が存在を容易に知り得た場合、追突車両に著しい前方不注視があったとして、追突車に10 20%の過失割合がプラスされる事故類型があるといいます。
なお、道路交通法においては、ハザードランプ(非常点滅表示灯)の使い方についての具体的な記述はありません。関連する法令(道路交通法施行令)では次の2箇所の記述があります。
・夜間、道路(中略)の幅員が5.5メートル以上の道路に停車し、又は駐車しているときは、車両の保安基準に関する規定により設けられる非常点滅表示灯又は尾灯をつけなければならない(後略)。
・通学通園バスは、小学校等の児童、生徒又は幼児の乗降のため停車しているときは、(中略)非常点滅表示灯をつけなければならない。
法令に明示されてはいなくとも、「サンキューハザード」は慣習として一般化しているほか、渋滞末尾での点灯は、後続車への注意喚起の手段として警察でも推奨しています。一方で、ハザードランプをめぐっては駐車時の使用も含め、「拡大解釈である」「万人に意味が通じない」「紛らわしい」といった理由から、慎重になる意見も多々見られます。
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