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【読んでみた】「今夜は車内でおやすみなさい。」小田原ドラゴン Nバンで車中泊

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【読んでみた】「今夜は車内でおやすみなさい。」小田原ドラゴン Nバンで車中泊

「小田原ドラゴン」という漫画家

text:Kenichi Suzuki(鈴木ケンイチ)

【画像】ハチロク、930ターボ、テスタロッサなど【マンガなどに登場するクルマ】 全136枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

「小田原ドラゴン」という漫画家を覚えているであろうか。

週刊漫画「ヤングマガジン」にて、1990年代末から2000年代にかけて「おやすみなさい」や「チェリーナイツ」などのギャグマンガを連載していた。

講談社の作品紹介ページには「ペンを握って300日で『週刊ヤングマガジン』に掲載」とあるように絵は素朴だ。

モテない、ダメな主人公が右往左往するという、相当にクセの強い作品ばかりであった。

そのため大ヒットした作品はなく、世間的な知名度でいえば、これも相当に低い。いってしまえば「売れない漫画家」である。

しかし、AUTOCAR JAPANをみるようなクルマ好きの、しかも40代以上であれば、小田原ドラゴンの漫画を目にした人が多いのではなだろうか。

なぜなら、同時期の「ヤングマガジン」には、「イニシャルD」や「湾岸ミッドナイト」などのクルマ愛好家必読の作品が連載されていた。

当時、リアルタイムでそうした漫画を楽しんでいた人であれば、小田原ドラゴンの作品も目にしていたことだろう。

そんな小田原ドラゴンの最新作「今夜は車内でおやすみなさい。」が、2021年1月6日に発売された。

テーマは「車中泊」。主人公である売れない漫画家「シャーク小笠原(50歳)」が車中泊に挑戦するというストーリー。微妙に著者と主人公がオーバーラップする、セミドキュメンタリー作品だ。

人気の高い「車中泊」をテーマに

今作品で「車中泊」がテーマとなった理由は、作品中によると著者が興味を持ったというのがきっかけだが、編集部による推しもある。

今、マンガやテレビのドラマではキャンプなどのアウトドアをテーマにした作品が増えている。漫画でいえば「ゆるキャン△」(あfろ:著)、「ふたりソロキャンプ」(出端祐大:著)、「山と食欲と私」(信濃川日出雄:著)、「ヤマノススメ」(しろ:著)などがヒットしており、それらを原作としたテレビドラマも製作されている。

そして、芸人のヒロシのソロキャンプのユーチューブが話題となり、さらには車中泊をテーマにしたテレビドラマ「絶メシロード」(テレビ東京)までもが制作されている。

マンガやテレビだけでなく、実際にも昨年のコロナ禍で3密を避けながら遊びに行ける場として、都心部最寄りのキャンプ場はどこも来場者数が急増しているという。

クルマでアウトドアといえば、キャンピングカーが本格的ではあるが、そのエントリーという位置づけとして、車中泊がある。

車中泊の場合、クルマの中にトイレや流し台といった水回りが必要ないため、本格キャンピングカーのような水関係の補給&破棄などの面倒がないし、クルマも簡素で安価にできるのだ。

王道的なストーリー+独特の雰囲気

久しぶりに読んだ小田原ドラゴン作品。

個人的には2000年代の「ヤングマガジン」掲載時以来なので、軽々と10年以上のブランクがある。

しかし、それでも絵の独特さは健在で、誰の手による作品であるかは一目瞭然だ。

ストーリーは、売れない漫画家であるシャーク小笠原(50歳)が車中泊の楽しみに気づき、クルマ(ホンダのNバン)を買って出かけ、それを漫画作品にしてゆくというもの。

この手の漫画としては、まさに王道的な展開である。しかし、普通と違うのは、主人公がモテなくて、お金もなく、孤独なオッサンであること。もちろん、できる男ではないから失敗の連続。当然、「楽しい!」や「キラキラ!」とはしていない。

そこに漂うのは、いわゆるペーソス。悲しい雰囲気だ。

しかし、一方にかすかなコミカルさもある。

人生は必ずしも成功する人だけではないという、酸いも甘いもかみ分けてきたオッサンの読者であれば、そのダメさ加減も悲しさも期待も、「そういう気持ちあるある」と、非常に親近感を味わえるはず。

ちなみに昔の作品にあった「下ネタ」はほぼなくなっている。著者も大人になったということだろう。

それと、「HOW TO」という意味では、本作にあまり期待しない方がいい……。

そもそも失敗していることが多いからだ。ただし、コラムとして車中泊専門誌「カーネル」からの「シャーク小笠原に教えたい! 車中泊入門」のページも用意されている。本気で車中泊をしようという人は、これらのコラムに注目しよう。

懐かしの作家が自伝的エッセイマンガで復活するというのは、「失踪日記」(吾妻ひでお:著)が有名だ。今回の作品も同様に、小田原ドラゴンという作家が再注目されるきっかけになるかもしれない。

今後の展開に期待したい。

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