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メルセデスは本当に”一歩リード”? 新規則に対する開発競争の現状に「それをどうやって知ったんだ?」

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メルセデスは本当に”一歩リード”? 新規則に対する開発競争の現状に「それをどうやって知ったんだ?」

 2025年のF1シーズンはまだ半分以上残っているものの、その焦点の多くは新しいパワーユニット(PU)と空力レギュレーションが導入される来シーズンに向けられている。

 新PUの開発においては、メルセデスが他のマニュファクチャラーよりも先んじていると示唆する声は多いが、メルセデスの副テクニカルディレクターであるシモーネ・レスタは、誰が言い始めたのか不思議に思っている。

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「私は自問自答しているんだ。みんなそういったことを言っているが、どうやって知ったんだ?」

 そうレスタはmotorsport.comイタリア版のインタビューで語った。

「なぜならF1で重要なのは、コース上(でのパフォーマンス)だけだからだ。ダイノ(テストベンチ)でしか動かないエンジンもあるし、ダイノはそれぞれ異なっている」

「マクラーレンやウイリアムズのような好調なカスタマーもいる。我々が勝利を目指すのは明らかであり、それゆえに我々は最後まで飛躍を遂げなければならない」

 チーフテクニカルディレクターを務めるジェームス・アリソンと密接に仕事をする54歳のレスタは現在、今年のメルセデスW15を改良することに集中しているが、特に2月と3月は2026年に向けての仕事もしてきたし、今もしていると言う。

 2026年のレギュレーションについて、当初はストレートで早々にモーター出力が切れ、減速を強いられるのではないかという懸念もあったが、すでにそれは過去のものとなっているようだ。

 またアストンマーティンに加わったエイドリアン・ニューウェイのように、レスタは2026年レギュレーションの可能性に魅了されているようだ。

「まず第一に、レギュレーションはかなり進化している。現時点では安定していると思うし、かなり成熟している。エアロダイナミクスの面では継続的な改良が加えられており、ちょっとしたことがまだ定義されつつあるが、基本的には定義されている」

「それは素晴らしいことだ。1月の初めから、すべてのチームが風洞やCFDで開発を行なうことができ、これらのマシンがどのように機能するかを直接体験することができた」

 FIAが数ヵ月前に各チームに依頼した調査では、多くの懸念が指摘されていたが、今ではすべてが加速し、洗練されているとレスタは言う。

「チームの技術者たちが、マシンがどのように機能するのかを理解し始めていることを加味すれば、我々はF1史上最大の変化のひとつを目の当たりにしていることになる。すべてが同期しているからだ」

「MGU-Hを使わず、持続可能な燃料を使ったまったく新しいエンジンが登場する。しかしそれだけでない。新しいエアロダイナミクスが導入され、グラウンドエフェクトが軽減されるのでその意味では後退することになる」

「そして新しいエレクトロニクス、より小さなタイヤが導入され、現行車より50kg軽くなる。新しい安全要件も加わるので、ホモロゲーションのためにシャシーパネルも変更される」

「つまりメカニカル面もすべて見直されることになり、トランスミッション、サスペンション、ブレーキが新しくなる。そしてアクティブ・エアロダイナミクスがデビューすることになる。それはパーフェクトな嵐のようなもので、過去にはいつも少しずれていたことが、すべて一緒になっているんだ」

「この挑戦は非常に複雑だが、いくつかのチャンスがある。なぜなら、違いを生み出そうとする可能性があるからだ。例えば、現在のレギュレーションよりもチームがミスを犯す危険性が高くなるようなレギュレーションになるだろうね」

 多くの人が、2026年はPUのパフォーマンスが重要になると考えている一方で、レスタはタイヤ変更や軽量化も見過ごせないと考えている。そして彼は、そのカギを見つけるのは本当に難しい挑戦だったと語った。

「FIAはドライバーのニーズを満たすためにも、マシンをより軽く、扱いやすくすることを望んでいる。それにより我々は選択をすることになった。より軽いマシンを作るか、より空力に優れたマシンを作るか?」

「ルールに対するアプローチによって、全く異なるマシンが見られるだろう。なぜなら、重量とタイヤの話は空力の話と交差するからだ」

「新ルールには、オーバーテイク促進のための後方乱気流の管理の問題も含まれており、グラウンド・エフェクトがなければ大きな一歩を踏み出すことになる。だから重要な役割を果たすのはPUだけではない。この複雑なパズルを構成する要素のひとつになるだろう」

 これは自身の直感であり、確証があるわけではないとしながらも、レスタは新レギュレーションの導入当初はマシン同士がより接近してレースができるものの、年月が経つにつれてより多くの問題を抱えるようになるだろうと考えている。

 レスタは、ドライバーがバッテリーを充電するためにストレートでリフト&コーストをしなければならなくなるという懸念については軽視している。

「レースが行なわれるサーキットによっては、理解しなければならない問題があるかもしれない。モンツァではおそらくそれが見られるだろうが、パワーユニットの使用に関してはすでに変更が加えられているだろうから、正直なところ大きな問題にはならないと思う。いずれわかるよ」

 最後に彼は、レギュレーションの意図と大きく異なる解釈をすることは誰にもできないだろうと付け加え、それはFIAによって処理されていると語った。

「FIAは現在、規制の穴をすべてふさぐために、すべてのチームからの指摘を積極的に受けている。サプライズはないと思う。ルールはかなり包括的に定義されているようだ。しかし我々は間違いなく、違いを生み出すための非常に異なるプロジェクトを目にするだろう」

「FIAは良い仕事をしたと思う。彼らは、チームがベストを尽くすために多くの自由を残す包括的なルールパッケージをまとめた。今こそ仕事をする時であり、話をする時ではない」

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みんなのコメント

1件
  • どやっさん
    現行PUのレギュレーション決定までの経緯を知ってるからじゃない?w
    今回は前回のような撤退示唆してのゴリ押しがあったのかなかったのか知らんけどw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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