スーパーカー世代のオジサマも、イギリス車好きのエンスーさんも…。
「ロータスといえば?」と聞かれれば、まっさきに出てくるであろうあの名車。
愛車は情熱の赤「アウディTTクーペ」オーナー、栗田朋一さんにインタビュー
そう、みんな大好きヨーロッパ!!
すっかり肌寒さを感じるようになった去る2021年10月、上州の地にてロータス ヨーロッパを取材させていただきました。
オーナーは、小学校3~4年生時にロータス7を見てからというものの、すっかりブリティッシュスポーツに魅了されてしまったという佐藤 明久さん(59才)。
ロータス乗りの端くれである筆者としては、ついうっかり贔屓目になってしまいそうな題材ではありますが…なるべくグっとこらえて、真面目にレポートしてまいりたいと思います!
■「乗ってみたい」を着々と。ヨーロッパを手に入れるまでのいきさつは?
数ある輸入車の中で、ちょっとマイナーな存在かもしれないロータス。
それでもなんだかんだ、他のブリティッシュライトウェイトブランドよりは知名度が高い方で、今でもちゃんと世界的に販売網が普及しているロータス。
スーパーカーブームでさまざまなハイスペックマシンがもてはやされた中、どういうわけか別に全然排気量も大きくないけれど、とにかく車重は500kgとか600kgとかしかないようなクルマばかりを追ってしまう、ヘ○タイさんご用達メーカー…のメジャーどころ(笑)。
今回のゲストである佐藤 明久さんも、その方面に魅せられてしまったお一人です。
小学生時代に目撃したセブンの姿に射抜かれて、そこからロータスを始めとするブリティッシュスポーツへと目覚めていきました。
「ロータス セブンは見た目も異色で、そこからロータスにやられてしまいました。でも小学校3~4年生の当時はまだなんのクルマなのかわからなくて、学生になってから“スクランブルカーマガジン”に載っていたのを見て、そこであのクルマがロータス セブンだったんだということを知ったんです」
大人になるに従って情報収集力にも拍車がかかり、ロータスへの想いを募らせていった佐藤さん。
ご両親の家業がクルマ屋さんであったゆえ、クルマというモノ自体は身近なものの、なかなかすぐにロータスオーナーへ…とはなりませんでした。
「改めて趣味としてのクルマに乗れるようになったのは、結婚して30過ぎてからですね。やはりセブンへの憧れがあったので、ケーターハム スーパーセブンを購入しました。ですが段々年齢とともに、スーパーセブンは乗るのも大変に感じてきちゃって、もう少しゆったりしたクルマがほしいと思うようになって…。それで次にオースチン ヒーレースプライトのMK2に乗り換えました」
「でも今度は落ち着きすぎちゃったというか…(笑)。やっぱりロータスに乗りたかったんです。もともとヨーロッパは乗ってみたいクルマの1つだったので、探していたら9年前にネットで買えそうな範囲内の個体を見つけました」
ケーターハム スーパーセブンは、ほぼロータスセブンの直系です。
その小気味よく、やんちゃともいえる味を一度占めてしまった上で、セブンよりももう少し乗りやすい空間のクルマとなれば、ヨーロッパに行きつくのは必然だったに違いありません。
■ステキさに死角なし!名車of名車の圧倒的存在感!!
さて、それではヨーロッパをじっくりお披露目していただきましょうっ!
筆者はこのお顔を正面から見るのが好きなのですが…。
独特のスタイリングはこの横姿でしょうか。
精悍だけどシャープではなく、どこか親しみを感じられるフォルム。
コンパクトでペタンとしており、街中ではイマドキのコンパクトカーにすら隠れてしまうほど!
ヨーロッパといえば、このピンストライプのイメージが強いですよね。
しかしこちらはオリジナルではないとのこと。
「この個体はツインカムというモデルで、ピンストライプは本来ヨーロッパスペシャルに入っているものなんです。私のところに来たときにはすでにこの姿だったので、以前のオーナーさんがスペシャルルックにしたんでしょうね。日本だとスペシャルのほうが多く、ツインカムはあまり入ってきていないようです」
FRP感がじっくり堪能できる前後の収納スペースは、結構大容量。
板1枚で、空気穴からは真下の地面が見えちゃいます。
シンプルで軽量化(車重710kg)にこだわったさまは、さすがすばらしきロータス!
タイトな印象の車内ですが、乗り込んでみるとゆったりしている意外性。
走行中は、背後からパワフルなエンジン音。
そこに目線の低さも相まって、法定速度で走っていてももっとスピードが出ているんじゃないかと感じられ、それがなんとも心躍るんです!!
ステアリング・シフトノブ、ホイールなどなど、純正パーツがてんこ盛りの1台!
佐藤さんご自身も、ノーマルなルックスを好んでキープされています。
■意外となんとかなっちゃう?!パーツ確保やメンテナンス
クラシックカーを取材する際、申し訳ないな…と思いつつもうかがってしまのが、部品供給やメンテナンス問題。
実際に世間でも、イギリス車は壊れるとか、古いクルマと付き合うのは大変と言われがち。
憧れているプレオーナーさんだって、こうした点がネックに感じていらっしゃることでしょう。
ですが佐藤さんとヨーロッパの場合はというと…。
「もちろんそれなりに故障個所を直しながら付き合っていかなければなりません。でも意外と部品は探せばあるんです。今も取り寄せたいと思っているパーツがアメリカのサイトで販売されていることを知り、これから日本に送ってもらえるかどうかや、見積もりを頼んでみようかと思っているところなんですよ」
なんと現在でもアフターパーツを供給しているショップがあるようで、今のところ部品が手に入らなくて困ったことはないのだとか!
「古い日本車よりも維持がしやすいんじゃないかなと思っています。それに実家がクルマ屋さんということもあり、今は兄が継いでいるので持ち込んで相談することもできますし、自分でも作業しますね」
パーツも確保できて、ご実家も佐藤さんご自身もメンテナンスが可能だなんて、向かうところ敵なし?!(笑)
ちなみに、佐藤さんのヨーロッパは過去の整備記録が残っておらず、今まで何人のオーナーを渡り歩いてきたのかは不明だそう。
ただ唯一わかっていることは、この個体は年式相応にヤレている箇所こそあるものの、本国にいたときからあまり大きなモデファイを受けずに乗り継がれてきたということ。
「昔のクルマなので、なにもしないでいいというわけにはいきません。ですが、少しずつ直してよくなっていくのも楽しみのひとつです!」
構造自体は現代のクルマよりもいたってシンプル。
ちゃんと面倒を見てくれる人になら、なにごとも包み隠さず明らかにしてくれるのかもしれません。
■クルマは人生そのもの!車名とともに振り返る想い出、人とのつながり
キビキビとしたハンドリングが大好きな佐藤さん。
スーパーセブンもヨーロッパも、運転する悦びを味わうにはもってこいな存在です。
でも、佐藤さんにとってのクルマとは、ただ走らせて楽しいというだけではありません。
「今乗っているクルマ、過去に乗ってきたクルマも含め、“人生そのもの”ですね。ス○ルのCMって、家族をテーマにしたドラマになっているものが多いんですけど…あんな感じで、このクルマに乗っているときは家族とあんなことがあったなぁとか、想い出ももたらしてくれる存在です。ほかにもこのクルマに乗っていたから出逢えた人がいたり。そういったふうに、自分の人生を表しているように感じます」
◇クルマでつなげる地域貢献の輪!道の駅おおた『サンデーブレックファスト』のクリーン作戦!
大人になり、ご自身でマイカーが持てるようになってからは三菱 パジェロを購入し、その後ご結婚。
イギリス車を所有するようになってからも、日常の足として日産 ノアやウイングロード、ダイハツ ミラなどを乗り継ぐことに。
そうしたクルマ1台1台に、たくさんのドラマが記録されていきました。
そして、佐藤さんの人生が詰まったクルマに接していたご家族にも、ちょっとした変化が…。
「娘(長女)がオースチン ヒーレースプライトMK1に乗りたいそうで。ただ免許がAT限定なので、そのうち教習に行こうかなと話しているんですよ」
それはパパさん、感激じゃないですか?!
しかも、佐藤さんが乗っていたMK2ではなくカニ目狙いとは、お父上の影響を受けつつも、娘さんならではのお気に入りを見つけちゃったのですね!
近い将来、英国車親子として再登場してくれるのをお待ちしておりますっ(笑)。
■まだゴールじゃないかもしれない?!ほかにも気になるクルマたち!
さて、ほっこり話を聞いたところで、再びオトコのクルマ談義にシフト!
子供のころからロータスに憧れ、初の英国マイカーとしてケーターハム スーパーセブンを入手したのは、一家の大黒柱となってから。
就職、結婚、お一人目の娘さんの誕生…と、人生の地盤固めをしてから趣味を軌道にのせたところを見ると、佐藤さんの堅実さがうかがえます。
そしてついに“ロータス”の名を冠したクルマを駆ることになったのですから、やはりアガリの一台はヨーロッパ…?
「まだ気になるクルマはありますね。ロータス エランのS1や、トヨタ S800にも乗ってみたいです」
好みは一貫していらっしゃいますね!いずれも小さくてキビキビ系!!
「1番はやっぱりロータス セブンに乗ってみたいですよね。ケーターハムはセブンのS3をベースとしているので、S2のロータス セブンにも乗ってみたいですし。アガリの1台となれば、S3のツインカム・スーパースプリント。HOLBAYがチューニングしたエンジンを搭載していて、生産台数が13台しかなかったんです。実物は見たことないんですけど…」
ロータス車、特にセブンの話題になるとスラスラと各シリーズの違いを述べてくださる佐藤さん。
一度はケーターを降りたものの、あのプリミティブなフィーリングは捨てきれない模様。
「それでもなんだかんだで、ヨーロッパがアガリのクルマになるかもしれないですけどね」
先の娘さんの件もあることですし、今後もより一層ブリティッシュスポーツライフに磨きがかかっていくのは、間違いなさそうです!!
佐藤さん、インタビューご協力ありがとうございましたっ!
■取材後記 ~形而上的オーラ漂う魅惑の名車!~
本当に贔屓目かもしれないのですが…ヨーロッパって、とにかく孤高の存在だと思うのです。
…と一言で表すとイージー極まりないのですが、それでもなんとも形容できない、漠然とした“見られて嬉しい”感が込み上げてくるクルマ。
もしかしたら、それは単に私もロータスが好きだから刷り込まれているだけかもしれません。
でも今ロータスの現行車種(…といってもエリーゼですらもう違うか)を知らない人だって、「ロータスのクルマといえば?」と尋ねられれば、ほとんどの人がヨーロッパと答えるのではないでしょうか。
それにもし、街中でヨーロッパを見かけようものならば、さほどクルマに関心がなくとも“ラッキー”って思いませんか?
(やっぱり贔屓目入っていますかね…)
シンプルで元気よく回るエンジン。
実にキビキビと軽快なハンドリング。
そして決して派手ではなく、カワイイともカッコイイともいえるそのルックス。
大のオトナが童心に帰るのに、こんなにぴったりでノスタルジックなクルマがあるでしょうか?
そして、今回のインタビューで感じたのは、その個性がとってもオーナーにマッチしていたことでした。
佐藤さん自身、秘めた想いはアツいながらも口調はほがらか、まくしたてるようにクルマ談義をするタイプではありません。
でも、ひとたびステアリングを握ればキリリ!
背中から聞こえるエンジン音を身にまとうと、たちまち少年の顔つきになるのです。
そんなふうに、あるところではドライバーを悦ばせ、あるところでは懐かしさや憧れを感じさせてるクルマ。
いえ、むしろ単にクルマというだけでなく、なんらかの幸せをもたらしてくれる形而上の存在のような気がしてなりません。
■オーナープロフィール
お名前:佐藤 明久さん
年齢:59才
職業:会社員
愛車:ロータス ヨーロッパ(1971年式)、ダイハツ コペン(2003年式)
[ライター・カメラ/細谷 明日葉]
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みんなのコメント
斯く言う俺自身、今フツーに買えるクルマの中でTOYOTA2000GTに一番似てるクルマ、で訊いたらユーノスロードスターだったからw