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トヨタ50勝にリーチ/「占い師の水晶があれば」/チャンピオン獲得日に誕生.etc【第8戦決勝後Topics】

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トヨタ50勝にリーチ/「占い師の水晶があれば」/チャンピオン獲得日に誕生.etc【第8戦決勝後Topics】

 11月8日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで開催された『バプコエナジーズ・バーレーン8時間』の決勝レースは、トヨタ・ガズー・レーシングのワン・ツー・フィニッシュという結果に終わり、同時に2月末にカタールでスタートした2025年シーズンが幕を閉じた。ここでは中東のサーキットから届いた今年最後のレース後トピックを紹介する。

* * * * *

アルピーヌで復帰のダ・コスタが最速。キャシディとワドゥが新人勢2&3番手に/WECルーキーテスト

 フェラーリは、土曜日に行われたバーレーン8時間の決勝レースで3位と4位を獲得したことで、アウディ、トヨタ、ポルシェに次いで、WECの総合タイトルを獲得した4つめの異なるマニュファクチャラーとなった。このイタリアのブランドは1972年の世界スポーツカー選手権でタイトルを獲得して以来、53年間の空白期間にピリオドを打った。

 ジェームス・カラドとアレッサンドロ・ピエール・グイディは、ポルシェドライバーのケビン・エストーレに続き、プロトタイプとGTマシンの両方でドライバーズタイトルを獲得した排他的なドライバーズクラブの一員となった。また、ピエール・グイディとアントニオ・ジョビナッツィはイタリア人として初めて戴冠を果たした。一方、カラドはアラン・マクニッシュ(2013年)、アンソニー・デビッドソン(2014年)、マイク・コンウェイ(2019-20年、2021年)に続き、それを達成した4番目のイギリス人ドライバーとなっている。

 フェラーリは、世界選手権のタイトルが懸かっている状況で“安全第一”のアプローチを好み、レース中に気温が下がる中でライバルのほとんどがミディアムタイヤを4輪に使用し始めていたにもかかわらず、フェラーリAFコルセの両ワークス499Pにレース全体をとおして左側のタイヤにハードコンパウンドを選択していたことは特筆すべきことだ。

 これについて、フェラーリの耐久レーシングカー部門責任者であるフェルディナンド・カンニッツォは次のように説明した。「我々は、ピークパフォーマンスで最速のクルマになることは不可能だと理解していた。そのため、とくに第2スティントで一貫性を保つために非常に懸命に取り組んだ。我々のパフォーマンスは依然として良好であり、トヨタでさえミディアムタイヤでの最初のスティントの終わりに苦戦していたことを考慮し、我々はそこにとどまることを決定した。ミックスコンパウンドでどれほど強かったかを考えると、あえて危険な戦略をとる理由はなかった」

 カンニッツォは、トヨタを打ち負かすことは「おそらく不可能」であったと認めたが、コーション期間によって状況が異なっていれば、ペナルティを受けた8号車を打ち負かすことは可能であったかもしれないと感じていた。「タイヤセットの利用可能性をリセットしたトランジションがなければ、我々はトヨタの1台に勝って、7号車に近づく可能性があった」と彼は述べた。「しかし、彼らが素晴らしいレースをしたという事実を尊重する。彼らは間違いなく勝利に値した。彼らのレースは完璧だった」

 トヨタのバーレーンでの勝利は、日本のメーカーにとってWECでの50勝達成まで、あとひとつに迫るものとなった。さらに、GR010ハイブリッドは20勝を達成した最初のクルマとなっている。

 7号車の優勝は昨季2024年第2戦イモラ以来だ。コンウェイはキャリア23勝目を挙げ、これにより彼はチームメイトであるブレンドン・ハートレーと並び、歴代ウイナーリストの2位タイとなった。一方、小林可夢偉は18勝目を挙げ、日本人ドライバーとしての最多勝利数で中嶋一貴(現TGR-E副会長)を上回った。ニック・デ・フリースは3勝目、ハイパーカークラスでは2勝目を挙げた。


■ポルシェ963がWECラストラン「望んだ終わり方ではない」

 トヨタが2台のクルマで戦略を分け、ブレンドン・ハートレー駆る8号車がスタート時に履いた4本のミディアムタイヤでダブルスティントを行い、その後2回目のピットインを早めに行ったことについて、TGR-Eテクニカルディレクターのデイビッド・フルーリーは次のように述べた。「我々はレース終盤のためにタイヤを温存しようとしていた。最初のバーチャルセーフティカー(VSC)はかなり早く訪れ、それは8号車にとって利益となった。他のほとんどのクルマが給油だけしていたのに対し、我々はタイヤを4本交換した」

 フルーリーはまた、最後の1時間で導入された再度のVSCのタイミングが、これ以前にイエローフラッグ下で追い越しをしたことで科されたドライブスルーペナルティを受けた8号車にとって有利だったことを認めた。もし、平川亮とハートレー、セバスチャン・ブエミのトリオがペナルティを受けなかった場合、レースに勝てたかと尋ねられたフルーリーは、「(7号車)とかなり接戦になっていたと思う」と答えた。

 トヨタは2年ぶりに達成したワン・ツー・フィニッシュにより、ポルシェとキャデラックの両方を飛び越え、マニュファクチャラーズチャンピオンシップでフェラーリから74ポイント差の2位でシーズンを終えることとなった。

 87号車レクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)クルーの一員としてLMGT3で2回目の勝利を飾ったホセ・マリア・ロペスは、WECで通算17勝目をマークしている。彼のチームメイトであるクレメンス・シュミットとラズバン・ウンブラレスクは、トヨタにとって最高の日に2回目の勝利を収めた。1回目は今季第5戦のサンパウロだ。

 2度目かつ最後のSCピリオドの後、チェッカーフラッグまでの間に87号車レクサスをドライブしていたロペスは、マティア・ドルディの27号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3エボ(ハート・オブ・レーシング・チーム)のプレッシャーを受けた。

「僕たちのクルマはタイヤのデグラデーション(性能低下)がかなり大きく、ハードタイヤを履いていても、それが依然としてもっとも弱いポイントになっている」とロペス。「クレメンスとペトル(ウンブラレスク)は非常に良いギャップを築くことができたが、ギャップができるたびにリスタートを余儀なくされた。最終盤、僕はニュータイヤを持っていなかった。(マキシム・マルタンの61号車メルセデスAMG GT3エボを含む)彼らは猛スピードで迫ってきていたので、正直に言って順位を守りきれないと思った。バトルではトラフィックの中で少しリスクを冒したが、僕は適切なタイミングで適切な場所にいたから、なんとか持ちこたえることができたよ」

 ASPチームのオーナーであるジェローム・ポリカンは、87号車のドライバーがドライバーズスタンディングで3位でシーズンを締めくくったことに対し、チームのトヨタとのパートナーシップに敬意を表した。「チームとしてこれほど良い成績を残せるとは思ってなかった。なぜなら2024年は非常にタフなシーズンだったためだ。トヨタとともに2年間で達成したこと、ゼロから始めたわけではないが、このクルマはFIAエアロウインドウにあわせて改造された少し特殊なマシンであり、8レースを終えて上位に食い込めたことは、素晴らしい気分だ」

 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(PPM)は、WECラストランとなるイベントで困難を味わった。2台のファクトリー963は13位と14位でポイント圏外に終わった。これは6号車に対する2度のペナルティの後であり、ペンスキー・レーシング社長のジョナサン・ディウグイドは、マット・キャンベルのスティント中にプジョー9X8の後ろに引っかかったことも結果に影響したと述べた。「マットはそのスティントで20秒を失い、プジョーを恐らく7回追い抜いたが、また抜き返されてしまったと思う」と彼は述べた。

 5号車のポルシェには目立った後退はなかったが、ディウグイドは、同車がタイヤのデグラデーションでより苦戦したことを示唆した。963はバーレーン向けのBoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)に従い、クラスでもっとも重いハイパーカーとして走行した。

 ポルシェ・ペンスキーのWEC最終戦を総括して、ディウグイドは次のように述べた。「チームを誇りに思う。2台とも無事に完走することができた。今日は明らかにペースが不足しており、それは残念だった。もちろん、これは我々が望んだ終わり方ではない」

 ロジャー・ペンスキーを含むペンスキー・ポルシェのチームメンバーは、PPMのWEC最終レースのスタート前にクルマにサインをした。またクルーは、最終スティントで装着される最後のタイヤセットに「No Revolution(革命はない)」という言葉を書き込んだ。


■バトン、引退レースで特別なヘルメットを着用

 AFコルセのフィル・ハンソンは、レース序盤で12号キャデラックVシリーズ.R(ハーツ・チーム・JOTA)の後ろに引っかかったことを嘆いた。彼はそれが83号車フェラーリ499Pのクルーにとって、51号車フェラーリとドライバーズタイトルを争うチャンスを失わせたと感じている。

「最初のスティントの後、我々はタイトル争いの最前線にいた。しかし、僕の2番目のスティントでは、キャデラックによってスティント全体を通して非常に妥協を強いられた。実際。追い越すことができずスタックしてしまったのは、少し受け入れがたい現実だった」

 ハンソンによると、サテライト・フェラーリのクルーはその後、何らかのコーションを利用しようと代替戦略を採用したが、最後のセーフティカーは彼らにとって不適切なタイミングで発生した。「レースのある期間で遅れうまく相殺できた時間帯があった。もし、セーフティカーまたはフルコースイエローが適切なタイミングで発生していれば、それを活用することができただろう」と彼は述べた。「いつセーフティカーが出るかを教えてくれる占い師の水晶玉を持っていたなら、僕たちはすべてのレースに勝つだろう。しかし、現実はそうはいかないものだ」

 アレックス・リン、ノーマン・ナト、ウィル・スティーブンスの12号車キャデラックは、今シーズン、すべてのレースでポイントを獲得した唯一のハイパーカークルーとなった。このトリオはドライバーズ世界選手権で、ランキング4位に順落としたポルシェ・ペンスキーのローレンス・ファントールとエストーレとわずか1ポイント差の5位でシーズンを完走した。

 リンは今年全体を振り返って、「JOTAがキャデラックで成し遂げたことは、それを非常に良いレーシングカーに変えたことだと思う」と語った。「今週末、僕たちがレースをしたコンディション(性能調整レベル)を見ると、明らかに今や良いクルマと見なされている。そしてそれはJOTAの功績だ。僕らは1勝と計3回のポールポジションを獲得した。良い仕事をしたと思うよ」

 ジェンソン・バトンはレースの最終スティントで38号車キャデラックに乗り込み、プロドライバーとしてのキャリアを16位で終えた。2009年のF1世界チャンピオンであるバトンは、最後のWECレースのために初期のカート時代に使用していたものに似せた特別な黒と黄色のヘルメットデザインを使用した。また彼は、日曜夜のアワードセレモニーでレガシー賞を受賞し、スピーチを行った。

 レース終盤のVSCは15号車BMW MハイブリッドV8がターン11でストップしたことによるものだが、同車の右リヤのホイールが適切に装着されていなかったことが原因であると断定された。これによりBMW MチームWRTには5000ユーロ(約90万円)の罰金が科されている。

 関連するスチュワードの公式通知には次のように記されていた。「ビデオを検討し、チーム代表者の話を聞いた結果、スチュワードは15号車が右リヤホイールのボルトが適切に締め付けられていない状態で作業エリアから解放されたと判断した。この問題を広範囲にわたって考慮し、スチュワードはこのインシデントが重大な安全違反を該当すると結論付け、競技者に対し5000ユーロの罰金を科すことを決定した」

 アルピーヌのチーム代表であるフィリップ・シノーは、終盤のSCの影響により同チーム最上位のA424(35号車)が11位に終わった中で、マニュファクチャラーズ・スタンディングでBMWを抜き去り5位になるチャンスをわずか1ポイント差で逃したにもかかわらず、同チームのレースを「勇気づけられるもの」と評した。

「良いレースペースを持っていることが分かっていたので、最後の数時間までタイヤを温存する戦略だった。我々はそれを実行し、最後の1時間を迎える前に5位から7位を狙える位置にいた。我々のスタートポジション(13&15番手)を考えると、それは非常に満足のいくものであった。しかし、その後VSCとSCの介入があった。それがレースだ。報われなかったのは明らかにフラストレーションが溜まるが、我々が示したスピードには大きな満足感がある」


■レース後すぐにイタリアへ

 一方、プジョー・スポール・テクニカルディレクターのオリヴィエ・ジャンソニは、最初のSC期間後に93&94号車プジョー9X8を早めにピットインさせるという同チームの決定を嘆くこととなった。この決定は、最後の1時間での2回目の中断によって裏目に出てしまい、2台の9X8がトップ5争いから9位と10位に順位を落とすこととになった。

「すべてがうまくいけば、5&6位フィニッシュを達成できることを知っていた」とジャンソニは記者団に語った。「これは通常の戦略とそれほど変わるものではなく、我々はそれを行うことを決定した。大きなポイントを獲得するにはリスクを冒す必要があるが、それは完全に報われなかった」

 マンタイ・レーシングはLMGT3クラスで連覇を達成した。このドイツのチームとポルシェは、このカテゴリーの2年間の歴史において、ル・マン24時間レースとチャンピオンシップの両方で無敗を維持した。

 ポルシェ911 GT3 Rプロジェクトマネージャーのセバスチャン・ゴルツは次のように述べた。「LMGT3カテゴリーにおけるこのサクセスストーリーに勝るものはない。ル・マンでの2回のクラス優勝とLMGT3でのチャンピオンシップタイトルは、決して小さな功績ではない。マンタイとポルシェ・モータースポーツのチームは、これまで築き上げた基盤と、トラックで勝ち取ってきた結果を誇りに思うだろう」

 92号車ポルシェ911 GT3 Rのドライバーであるライアン・ハードウィックは、グスタヴォ・メネゼス(2016年/LMP2)、パトリック・リンジー(2018-19年/GTE-Am)、ベン・キーティング(2022年、2023年/GTE-Am)の足跡をたどり、WECタイトルを獲得した4番目のアメリカ人ドライバーとなった。ハードウィックは来年、マンタイとともにIMSAミシュラン・エンデュランス・カップレースに注力することが予想されており、ヤッサー・シャヒン(ベンド・チームWRT/31号車BMW M4 GT3エボ)がWECでこのドイツチームに復帰すると見込まれている。

 ハードウィックはまた、グッドイヤー・ウイングフット・アワードを受賞し、シーズン最後のファン投票でロペス、キーティング、マーティン・ベリーを退けた。

 チームメイトのリヒャルト・リエツは、マンタイと2015年のGTE-Proタイトルを獲得しており、アストンマーティンのマルコ・ソーレンセンに続くかたちで、ふたつの異なるGTクラスでタイトルを獲得した2番目のドライバーとなった。

 バーレーン・インターナショナル・サーキットとWECは、長年フォトグラファーとして活躍してきたアンドリュー・“スキッピー”・ホール氏に土曜日のレース前にケーキを贈呈した。これは、世界中を駆け巡り約30年にわたる輝かしいキャリアを終え、WEC最後のレースを迎える同氏の功績を称えるものだ。ホール氏はまた、日曜夜に行われたアワードセレモニーでエクセレンス賞を授与された。

 その他の賞には、レーシング・スピリット・オブ・レマンのドライバーであるエドゥアルド・バリチェロに贈られた年間最優秀新人賞、チームWRTのアハマド・アル・ハーティに贈られた年間最優秀スポーツレーサー賞、TFスポーツオーナーのトム・フェリエに贈られた年間最優秀パーソナリティ賞などがあり、LMGT3クラスでのシーズンを通しての活躍が認められ、ビスタAFコルセのドライバーであるアレッシオ・ロベラには年間のグッドイヤー・ウイングフット・アワードが贈られた。

 ジョビナッツィはセレモニーに欠席したひとりだったが、彼のチームメイトであるジェームス・カラドによると、ジョビナッツィは妻アントネッラの出産に立ち会うため、レース直後に帰国したという。これにより、彼は同じ日に世界チャンピオンとなり、父親にもなった。

[オートスポーツweb 2025年11月11日]

文:AUTOSPORT web
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