先般、スーパーフォーミュラで開催された『おしごとセッション』で縁のあったSTEM Racing参戦チーム『WindBreaker』より売り込みがあった。なんでも、10月にシンガポールで開催される世界大会の出場に向けて最低でも600万円が必要であり、その資金調達に苦労しているのだという。
STEM Racingとは、F1がサポートする国際STEM教育プログラムで、競技としては自分たちで開発したマシンを直線コースで走らせるというものだが、参加者たちはF1チームさながらにCFDや風洞を使った車両開発、さらにはマーケティングや前述のような資金調達も行なう。モータースポーツをはじめとする様々な産業の未来の担う優秀な人材が育つ土壌がそこにはある。
■レースに真剣に挑むって、本当に楽しいんだ。STEM Racing日本大会開催……スケールは小さくとも、本気のレーシングチーム同士の戦いがそこにはあった
今回は、WindBreakerのメンバーがその思いの丈を綴ったコラムをお送りする。大きな壁に挑戦する高校生たちは、目標実現のためにどんな言葉を紡ぐのか……。
■「世界大会に行ける!」
日本大会で準優勝し、2026年10月にシンガポールで開催されるSTEM Racing World Finalsへの切符を手にした瞬間、私たちは涙が止まりませんでした。後先を考えず、ただ夢中になって走り続けてきたことが報われた。「こんなに頑張れば、本当に夢は叶うんだ」と思えた瞬間でした。
でも、その喜びの直後、私たちは新しい「WIND」に直面しました。
世界大会に出場するために必要な資金は約600万円。高校生5人だけで集めるには、あまりにも大きな金額です。最初に思ったのは、「自分たちでは集められない。親に負担をかけてしまう。本当に参加できるのだろうか」ということでした。それでも、世界への切符を手にしたのに、ここで諦めることはできませんでした。
■何も知らない高校生だった私たち
WindBreakerは、女子3人、男子2人の高校生5人で活動するチームです。全員が帰国子女で、日本とアメリカの2拠点で活動しています。
活動を始めた当初、私たちはSTEM Racingに必要なことをほとんど知りませんでした。CADも、3Dプリンターも、スポンサー活動も、マーケティングも、ビジネスマナーも知らない。それでも、「F1が好き」「面白そう」「やってみたい」という気持ちから始めました。
チーム名を決めるとき、これから私たちの前には、たくさんの「壁」が現れるだろうと考えました。そこで生まれたのが「WindBreaker」。WIND=私たちの前に立ちはだかる壁、BREAKER=その壁を越えていく人。未経験、知らないことだらけ。「でも、私たちなら越えていけるよね」そんな思いを込めました。
■600万円を集めることも、競技の一部
世界大会への出場が決まった後、私たちは5人の親を全員招待してZoomミーティングを開きました。
大会前の約1か月は、深夜2時頃までミーティングや作業を続ける日々でした。なぜ世界大会に行きたいのか。そこで何を実現したいのか。この経験が自分たちの将来にどうつながるのか。そして最悪の場合、一家庭あたり160万円近い負担をお願いする可能性があること。すべてを自分たちの言葉で説明し、「それでも挑戦させてください」と頭を下げました。
そして今、私たちはスポンサーへのアプローチやクラウドファンディングなど、自分たちの力で資金を集めています。何十社に連絡しても返信が来ない日々、時には1日に100社近くへアプローチも行いました。
「自分たちを知らない人に、どうすれば応援したいと思ってもらえるのか」
その問いに向き合うこと自体が、私たちにとって大きな学びになっています。
ファイナンシャルマネージャーを担当するメンバーは、「この金額を集めることは正直、非現実的だと思うこともある。でも、赤の他人である自分たちをどうすれば支援してもらえるのかを考えることにやりがいを感じる」と話します。
一方、デザインエンジニアを担当するメンバーは、CADで車体を設計し、テスト結果を基に改良を重ねています。2回目のテストで思うように改善できなかった時も、「挑戦ありきの世界。最初からうまくはいかない」と前を向きました。
■私たちが世界大会で証明したいこと
5人が目指している未来は、それぞれ違います。
マーケティングを学び、将来自分の情熱をもとにビジネスを立ち上げたいメンバー。世界で通用する国際的な人材となり、将来はビジネスやパイロットという道も視野に入れているメンバー。そして航空宇宙エンジニアとして、将来は飛行機のデザインに携わりたいメンバー。だからWindBreakerは、単に「速い車を作るチーム」ではありません。それぞれが自分の未来を見つめながら、そのために必要なことを実際に経験し、学び、挑戦する場所です。
世界大会では、エンジニアとして「速くて壊れない車を作ること」、チームとしては「日本から世界のトップレベルを目指せる」ということ、そして自分自身に「想像できなかった未来も、努力すれば現実にできる」ということを証明したいと思っています。
■次の世代へ、つないでいきたい
現在、クラウドファンディングでは30万円を最初の目標にしています。600万円という大きな壁から考えれば、まだ小さな一歩です。でも私たちは、これも一つの「WIND」だと考えています。一気に600万円を見上げるのではなく、目の前に現れる壁を一つずつBREAKしていく。それがWindBreakerらしい挑戦だと思っています。
支援をしてくださる皆さんに私たちが与えられるメリットは、大きく分けて3つあります。
まずは企業名、お名前の掲載です。クラウドファンディングからのご支援でもお名前を掲載する予定で、活動をまとめるポートフォリオにお一人ずつお名前を載せさせていtだきます。企業ロゴの掲載場所はスポンサーレベルによって位置やサイズは異なりますが、ユニフォーム、車体、SNS、プレゼン資料、世界大会ディスプレイでの掲載を可能としています。
もうひとつが、SDGs/CSRに貢献しているという認知度の向上です。STEM Racingは車を走らせるだけの競技ではありません。スポンサー集め、チームマネジメントなどに加えて、環境にどのような影響を与えられるかというのも審査項目の一つです。私たちの活動に支援していただくことによって、間接的にSDGsとCSRに貢献しているということになります。
WindBreakerは環境についても様々な活動を行っています。企業様とパートナーになり、食べられなくなったお米をプラスチックに変えて、プラスチックバッグにして配布したり、マシンを走らせるために使う使い捨てのCO2カートリッジをキーチェーンに加工し、その工程を子どもたちにも手伝ってもらったり……エコな活動の普及を子どもたちと共に楽しく行っております。
そして、「次世代支援」というブランドイメージも与えられると思っています。STEM Racingは学生たちを社会で活躍できる人材に育成することを求めて作られました。この活動を支援することによって、次世代の子供たち、そして社会全体を成長させる一歩につながります。
特にWindBreakerでは、学んだことや経験を次世代へ還元していくことに大きな重要性があると感じております。そのためにも、WindBreakerの活動は世界大会では終わりません。引き続き、どのように次世代に還元できるかと考えながら活動を続けていこうと思っています。現在考えているアイデアの一つは、WindBreakerの2代目を作り、STEM Racingを日本にもっと広めていくことです。
私たち自身も、最初から特別な高校生だったわけではありません。CADも、ビジネスも、マーケティングも、何も知らない0からのスタートでした。だからこそ伝えたい。「やったことがないから、できない」なんてことはないと。
私たちは10月、シンガポールへ行きます。そこで見る世界を、応援してくださる皆さんとも一緒に見たい。そしていつか私たち自身が、誰かの「WIND」をBREAKするきっかけになりたい。それが、WindBreakerが世界大会を目指す理由です。
【クラウドファンディング】
高校生日本代表STEM RacingチームWindBreaker 世界大会挑戦
【URL】https://camp-fire.jp/projects/947367/view
【Instagram】
https://www.instagram.com/windbreaker_japan/
【 スポンサー企業向け問い合わせ先】
windbreaker.stemracing@gmail.com
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