■イカツイ印象のステーションワゴンを振り返る
かつて、国内メーカーから数多く販売されていたステーションワゴンですが、ニーズの変化から販売台数は低迷し、近年はだいぶラインナップが減少してしまいました。
ヒットしなかったけどカッコイイ! スタイリッシュな絶版ステーションワゴン3選
それでも消滅したわけでなく、一部の国産メーカーと欧州メーカーからステーションワゴンの販売は続いています。
現行ステーションワゴンの特徴というと、流麗なフォルムでスタイリッシュなデザインを採用しているモデルが多いことが挙げられます。
一方で、かつてはバラエティに富んだデザインのモデルが散見されました。そこで、個性的な見た目のステーションワゴンを、5車種ピックアップして紹介します。
●日産「セドリック/グロリア ワゴン」
昭和の時代は1車種で複数のボディラインナップを揃えるのが一般的でした。それは高級車でも例外ではなく、4ドアセダンと2ドアクーペ、ステーションワゴン、ライトバンなどが設定されていました。
そのなかの1台として日産の高級車「セドリック/グロリア」が挙げられ、主力はセダンでしたがステーションワゴンとライトバンがラインナップされました。
ワゴンとバンの設定は1983年に登場した6代目が最後で、セダンと同系統のフロントフェイスで、直線基調のボディは重厚感のあるデザインを採用。
ボディサイズは全長4690mm×全幅1690mm×全高1500mmと5ナンバーサイズですが、スクエアなフォルムによって数字以上に大きく見えたほどです。
内装もセダンに準じたデザインですが、ステーションワゴンは3列シートの7人乗りが標準で、後期モデルは8人乗りもあり、3列目シートは荷室に折りたたんで格納されていました。しかし、乗車時は後ろ向きに座るレイアウトだったため、あくまでも緊急用といえます。
エンジンは2.8リッターディーゼルと2リッターV型6気筒を搭載し、駆動方式はFRの2WDのみです。
セドリック/グロリア ワゴン(バン)は一定のニーズがあったことから、1999年までフルモデルチェンジすることなく継続して販売され、アメリカ車風な雰囲気もあって中古車は若い世代からも人気がありました。
●トヨタ「クラウン カスタム」
前述のセドリックと同じく、トヨタ「クラウン」にも初代からステーションワゴンがラインナップされていました。1999年まで販売され、さらに1999年以降は「クラウンエステート」の名で単一の車種に昇格しています。
この歴代クラウン ワゴンのなかでも、とくに1971年に登場した4代目は、個性的なデザインから今も語り継がれる存在です。
4代目クラウンのワゴン、バンは「クラウン カスタム」の車名で、「スピンドル・シェイプ(紡錘形)」と名付けられた、それまでのクラウンシリーズとは一線を画する斬新なデザインが特徴です。
外観は伸びやかなサイドビューのスタイリッシュなフォルムで、とくに個性が際立っていたのがフロントフェイスとリアまわりで、現在の価値観で見てもかなりアグレッシブなデザインを採用しています。
ステーションワゴンは1グレードで展開され、エンジンは2リッター直列6気筒SOHCを搭載。トランスミッションはMTが2種類、ATが2種類設定されるなど、さまざまなニーズに対応。
しかし4代目クラウンのデザインは、当時は保守的なユーザーから敬遠され販売台数が低迷。デビューからわずか3年後の1974年に、直線基調で重厚感のあるデザインの5代目にモデルチェンジして、販売台数は回復しました。
●三菱「レグナム」
1996年に発売された三菱「レグナム」は、8代目「ギャラン」のステーションワゴン版として開発されたモデルで、主要なコンポーネンツと内外装のデザインの多くはギャランと共通です。
外観で特徴的なのがフロントフェイスで、ギャランと共通ながらロングルーフの伸びやかなフォルムと相まって、かなり押し出し感の強い印象です。
搭載されたエンジンは量産車世界初のガソリン直噴エンジン(1.8リッター)に加え、トップグレードの「VR-4」には、最高出力280馬力を発揮する2.5リッターV型6気筒ツインターボエンジンを設定。
さらにVR-4のフルタイム4WDシステムはリアの左右駆動力配分を電子制御して旋回性能を高める「AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)」が採用され、4輪マルチリンクサスペンションのポテンシャルも高く、大柄のボディながら走行性能・運動性能とも良好で高い人気を誇りました。
しかし、ステーションワゴン人気の低下からレグナムは2002年に生産を終了。後継車はなく一代限りで消滅してしまいました。
■スポーツワゴンの先駆けと質実剛健なモデル?
●マツダ「サバンナ スポーツワゴン」
マツダは1967年に、世界初の量産ロータリーエンジン車「コスモスポーツ」を発売しました。その後、マツダはロータリーエンジンをさまざまな車種に展開し、1971年にはスポーティな「サバンナ」がデビュー。
発売当初は2ドアクーペと4ドアセダンの2タイプでしたが、1972年にステーションワゴンの「サバンナ スポーツワゴン」が追加されました。
外観は比較的オーソドックスなスタイルのステーションワゴンですが、クーペと同じフロントフェイスによって迫力ある見た目を演出。
搭載されたエンジンは10A型ロータリーエンジンで、最高出力は105馬力を発揮。スポーツワゴンの名のとおり、現在まで続く高性能ステーションワゴンの草分け的存在です。
ちなみに、マツダはサバンナ スポーツワゴンの販売と同時期に、北米専用モデルのトラック「ロータリーピックアップ」や、ロータリーエンジンを搭載したマイクロバス「パークウェイ ロータリー26」をラインナップするなど、ロータリーエンジン車のフルラインナップ化を進めていました。
●ボルボ「240エステート」
現在、欧州製ステーションワゴンは日本で数多くラインナップされていますが、なかでも古くから人気をキープしているのが、ボルボです。
かつて、ボルボがつくるクルマは安全性が高く、デザインも質実剛健なイメージがありましたが、近年の「Vシリーズ」は流麗な美しいフォルムが特徴です。
この質実剛健さの最たるモデルとして挙げられるのが「240シリーズ」です。
240シリーズは1974年に誕生し、ボディタイプは2ドアセダン、4ドアセダン、そしてステーションワゴンの「エステート」をラインナップしていました。
外観では、当初丸目2灯のフロントフェイスでデビューし、後に角目2灯(仕向地によって異なる)がスタンダードとなり、各ボディタイプで共通化。
さらに、大型のバンパーと切り立った直線基調のボディパネルによって、見るからに頑丈な印象です。
エンジンは2リッター直列4気筒OHVと、2.1リッター直列4気筒OHCが設定され、1981年には2.1リッターエンジンにターボチャージャーが装着され、最高出力155馬力を発揮。
240シリーズは1993年まで19年間生産されたロングセラーとなり、現在も日本の中古車市場で、ネオクラシック・ボルボのなかでも高い人気を誇っています。
※ ※ ※
ステーションワゴンだけでなく、セダンやSUVも、いわゆるクーペフォルムが近年のトレンドです。流れるようなシルエットは、多くの人がカッコイイと感じるでしょう。
一方、今回紹介したセドリックや240エステートのようなフォルムこそ、本来はスペース効率という点でステーションワゴンにふさわしいボディ形状だといえます。
どれも横並びに流麗なフォルムが主流の今だからこそ、240エステートのような無骨なフォルムが新鮮に映り、人気となっているのかもしれません。
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