■SUVなのに「レース」参戦!? 数々のインパクトを与えた初代「C-HR」
2016年にデビューしたトヨタのコンパクトクロスオーバーSUV「C-HR」が、2023年7月をもって国内生産終了となりました。C-HRはデビュー当時、クルマ業界を驚かせる一大ムーブメントを巻き起こしたクルマでした。
欧州では後継の2代目C-HRがデビューしていますが、日本導入の予定は今のところ発表されていません。どうしてでしょうか。
【画像】「斬新」すぎるSUV! 新旧のトヨタ「C-HR」を画像で見る(50枚以上)
C-HRが登場した2016年当時、他社メーカーでは、ホンダ「ヴェゼル」や日産「ジューク」、マツダ「CX-3」など、200万円ほどで手に入るコンパクトSUVが人気を集めていました。
しかしトヨタでは「プリウス」や「アクア」などのハイブリッド専用モデルがバカ売れしていた時代で、コンパクトSUVのラインナップはまだ存在していませんでした。
そこにC-HRが登場するやいなや、猛烈な人気を集めました。
翌年の2017年にはなんと年間登録台数11万台強を記録し、翌2018年も7万台強を売り上げ、2年連続で国産SUVカテゴリのトップセラーとなったのです。
奇抜なデザインが印象的だった初代ジューク(2011年登場)が欧州市場でヒットした過去がありましたが、日本市場では2011年に出した年間3.2万台の記録が最高でした。
コンパクトSUVが国内でこれほどのヒットしたのは、この初代C-HRが初めてといえます。
これほどヒットした理由としては、ボディサイズは小さく、走りの性能にも相当に力が入れられていたことに加えて、後席の広さを多少犠牲にしても低く構えたクーペフォルムで、ジューク同様かそれ以上にエッジの効いたデザインだった、ということもあるでしょう。
そして1.2リッター直列4気筒ガソリンターボのエントリーモデルなら、およそ240万円で手に入るコスパの良さもまた魅力でした。
しかしそれ以上に、トヨタの宣伝の上手さがあったと筆者(河馬兎)は考えます。
トヨタは2016年、ニュルブルクリンク24時間レースに、なんと市販前だったC-HRのプロトタイプカーで参戦。
背の低いスポーツカーでの参戦が当たり前のレースにコンパクトSUVで参戦するという「暴挙」に打って出たのです。
レース活動を担当したのはTOYOTA GAZOO Racing(TGR)チームで、C-HRのプロトタイプカーは無事に完走することができました。
まさかの「クロスオーバーSUVでレースに参戦!?」という無謀に思えたチャレンジに、筆者も含めて面食らった人は多かったと思います。
24時間耐久レースに出たマシンがほぼそのまま市販される、というか正確には市販目前のモデルが参戦した訳ですが、スポーティカーに飢えていたファンがこぞってトヨタディーラーへ駆け込む事態となりました。
のちの2019年には、TGRによるスポーティ仕様「GRスポーツ」も登場。同時に、今の時代には非常に珍しい6速MT仕様も追加され、よりスポーティなクルマを求めるユーザーのニーズに応えています。
このように、レーシングカーさながらのスタイリッシュなデザインとコスパの良さ、そしてアウトバーンなど速度域の高い欧州の道路で鍛え上げられた走行性能を兼ね備えていたC-HR。
様々なユーザーから支持を集める要因が重なった結果、C-HRは空前のヒットを記録したのです。
■2代目「C-HR」登場までのおよそ7年の間に「変わった」こと
そんなC-HRですが、冒頭でも触れたように2023年7月をもって初代モデルの国内販売が終了。
欧州では、2023年6月に2代目が発表されていますが、トヨタによると新型C-HRの日本市場への投入予定は今のところないといいます。
日本で一世を風靡したはずのC-HR後継モデルが、今度は日本に導入されないことは非常に寂しい限りです。
トヨタが2代目C-HRを日本導入しない理由は、日本市場向けのSUVラインアップの多さにあると考えられます。
小さいほうから「ライズ」「ヤリスクロス」「カローラクロス」「RAV4」「ハリアー」、そして大型モデルでは間もなくデビュー予定の「ランドクルーザー70」や「ランドクルーザー250」に、2021年のデビュー以来納車待ちが続く「ランドクルーザー」(ランクル300)、そして少し変わり種としてはピックアップトラックの「ハイラックス」まで、もはや新モデルが入り込む隙間がないほどといって良いでしょう。
特に2021年に登場されたカローラクロスは、C-HRとほぼ同等のサイズ感や価格帯です。
しかもC-HRに比べ室内や荷室はかなり拡大し余裕がある空間となり、より広いユーザー層にアピールする仕上がりとなっているのです。
このようにここ7年から8年で、トヨタのSUVラインアップは熟成しました。
トヨタにコンパクトSUVがなかった時代に強いインパクトと共に登場し、トヨタSUVの底力をみせてくれた初代C-HRは、いまのSUV時代の礎を築いた、偉大なモデルだったといえるでしょう。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
1000万円超え!! 新型MR-2の中身はGRMNヤリス!? トヨタ最後の純ガソリンスポーツが2026年登場か
トヨタがヤリスクロスサイズの「新型SUV」を世界初公開! 斬新フェイスに「コの字ライト」採用で24年に発売!? 欧州イベントで展示
高すぎるガソリンに「トリガー条項」いよいよ凍結解除へ⁉ 自民・公明・国民民主が協議を開始……〈多事走論〉from Nom
1700万円超えのトヨタ新型「クラウンミニバン」“エアロ仕様”登場! 存在感スゴすぎるモデリスタパーツが中国で初公開! 反響は?
バス運転手が集まらないのは「不人気だから」なのか? 人手不足の本当の理由 見えづらくしている業界のマイナス思考
みんなのコメント
不景気な日本に残っていると知らしめてくれた車だわ
勿論スポーツカー同様、需要を満たしたら売れなくなったがね
とはいえ末期でも他社ならラインナップに残るぐらいの売れ行きだった
問題は新型を出さないので、乗り換え先がジュークみたいに無いって事