付加価値が高まったスポーツモデル
中古車は製造されてから年月が経ち、また実際に使用されることで大なり小なり劣化しているからこそ、お得な価格で手に入るのが、大きな魅力の一つだろう。しかし、そんな常識とは正反対に、中古車相場が新車価格よりも高くなっているモデルも、少なからず存在する。高額になっているということは別な魅力があるに違いないわけで、その魅力を探ってみた。
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レースで勝つために誕生した第2世代GT-R
筆頭格は日産のR32型、R33型、R34型スカイラインGT-R。いわゆる第二世代のスカイラインGT-Rだろう。
グループA(全日本ツーリングカー選手権)の参戦を前提に開発されたRB26DETT型エンジンは、R32初期型の頃より当時の自主規制枠いっぱいの280psを発揮。だが、これが本来のポテンシャルとは遠くかけ離れたデチューン仕様だったのは周知の事実。グループAでは600psを発揮して使用することを前提にしていたので、マフラーやコンピュータ、タービンなどを交換してチューンアップしても充分に耐えられる耐久性を備えていたのだ。
さらには0:100~50:50まで前後駆動力配分を自在に電子制御する4WDシステム「アテーサE-TS」や、電子制御4WSの先駆者といえる「スーパーHICAS」、4輪マルチリンクサスペンションを搭載し、高いトラクション性能と優れた旋回性能を両立。チューニングのベース車として極めて高いポテンシャルを備えている。
右ハンドル車の規制年を越えて海外評価が加速
そして本籍ともいえるグループAでは、1990~93年の4シーズンで29戦29勝という偉業を達成。ゲーム「グランツーリスモ」シリーズや映画「ワイルドスピード」などの影響による世界的な日本製スポーツカー人気はあったものの、日本でしか販売されなかった第二世代スカイラインGT-Rは海外、特に右ハンドル車の走行が原則的に禁じられている国では手の届かない存在だった。
しかしながら、アメリカでは25年、カナダでは15年、新車製造時より経過した車両はクラシックカー扱いとなり、右ハンドル車でも登録し公道を走行できるようになる、通称「25年ルール」だ。そのため1989~94年に製造されたR32はほぼ全車が「25年ルール」の対象となっているため、彼の地での需要が急増。たちまち新車価格を上回るようになった。
こうした動きを受け、まだ「25年ルール」をクリアしていないR33やR34でもすでに“売り控え”が始まっている。そのうえR32に比べて絶対的に少ない新車販売台数、そして年式の新しさ、ポテンシャルの高さも相まって、特にR34(1999~2002年)では1000万円超の値札を提げているものも珍しくないほどだ。
純日本生まれな初代NSXの希少価値
また、国産車初のスーパースポーツカーと言える初代ホンダNSXも、同様の傾向を示している。
なかでも、公道での快適性を犠牲にしてまでオールアルミモノコックボディを採用、軽量なNSXをさらにウェイトダウンし、極めてハードなサスペンションを与えることで、サーキットでのハンドリング性能を大幅に向上させたホットバージョン「タイプR」はその程度が甚だしい。
なぜなら「タイプR」は日本仕様しか存在せず、その生産台数も1992年に発売された3リッターモデル(NA1型)が500台弱、2002年に発売された3.2リッターモデル(NA2型)は140台程度とごくわずかだからだ。
そのためNA1は修復歴なしのもので1800万円オーバー、NA2は市場に流通すること自体が珍しく、入手は極めて困難となっている。
90年代のハイパワーFRスポーツにも波及
そして、トヨタ・スープラ(A80型)、マツダRX-7(FD3S型)といった、90年代当時に国産車最速の座を争っていたハイパワーFRスポーツの2台もプレミア価格となっているものも珍しくない。
特に末期モデルの上級グレード・MT車、かつフルノーマルで修復歴なし、走行距離10万km以下となると、これまた絶対的な生産台数の少なさが手伝い、出会うことすら容易ではないのが現実だ。
もしあなたが今、こうした国産スポーツカーを所有しているのならば、よほどお金に困っていない限り、これからも大切に乗り続けた方が良いだろう。手放したが最後、もう二度と買い戻すことはできず、将来的にも同様の感覚を味わえるスポーツカーに出会うこともないかもしれないのだから。
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