F1第21戦サンパウロGP後から今回の第22戦ラスベガスGPへの出発までの約2週間の間に、角田裕毅(RB)は自宅をイタリアのファエンツァからミラノに引っ越した。
角田がイギリスのミルトンキーンズからファエンツァへ引っ越したのは2021年のモナコGP後のことだった。
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
当時、角田はF1にデビューしたばかり。そんな角田への「レースとレースの間にイギリスにいるより、チームのファクトリーがあるファエンツァに住んで、もう少し頻繁にファクトリーに足を運んで、エンジニアとコミュニケーションを図ったほうがいいのではないか」というヘルムート・マルコ(レッドブルのモータースポーツアドバイザー)からのアドバイスがきっかけだった。
それから3年が経ち、エンジニアとのコミュニケーションもスムーズに行っているいまの角田には、頻繁にファクトリーへ行く必要はもうなくなっていた。
「ファクトリーに頻繁に行っていたのはルーキーだった2021年で、その後はほとんど行っていないので、ミラノに引っ越しても、あまり関係ないと思います」
一昨年ほど前から、いい物件を探していたという角田。特に今年は連戦の後、2週間空いたり、3週間空くことがあって、小さな街のファエンツァでの暮らしで時間をもてあますようになりだしていた。そんなとき、ミラノにいい物件が見つかり、かつてのチームメイトでミラノ在住のピエール・ガスリー(アルピーヌ)が引越しを推していたことも後押しになったと角田は明かす。
またミラノにはアルファタウリ時代にレッドブルのシェフとして、角田に日本食を提供していた新森伸哉さんのレストランが最近オープン。すでに角田は何度か訪れ、新しいミラノ生活を満喫している。
ミラノの自宅から初めて向かうグランプリとなったラスベガスGP。角田はいきなりアメリカ入国の際に入国審査で止められ、数時間空港内にとどまるというトラブルに見舞われた。「プロフェッショナルなドライバー」という角田の言葉を担当者が信じてくれなかったのだ。
幸い同行していたフィジオが機転を効かせてF1管理会社のスタッフに状況を説明し、F1側から「ラスベガスGPに出場するプロのドライバーだ」と空港へ連絡を入れてもらって事なきを得たが、角田曰く「危うく強制帰国させられるところだった」という。
さらに初日のフリー走行1回目ではブレーキトラブルに見舞われて19番手と、出だしからつまずいた。
「去年の反省を活かしたセットアップをふたつ持ち込んだんですけど、そのうちのひとつがうまく行きませんでした」
そこでフリー走行2回目にもうひとつのセットアップを試すことにした。「それがうまく行った」という角田は、10番手にポジションを上げることに成功した。
「まだ、改善しなければならない部分はありますが、だいたいの方向性は見つかったので、初日としては悪くなかったと思います」
昨年はフリー走行が赤旗中断になったり、大幅な遅延により、深夜2時半からスタートするというコンデションがあったとはいえ、フリー走行2回目で角田は17番手に終わった。「2年目の今年はその反省を活かしたい」と語っていたとおりの走りを披露。その仕事ぶりは、まさにプロフェッショナルなドライバーだった。
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