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トラックが追い越し車線をひた走ってしまう理由…現役ドライバーの本音

掲載 更新 333
トラックが追い越し車線をひた走ってしまう理由…現役ドライバーの本音

■なぜ追い越し車線を走り続けるの?

「うっとうしいなぁ、あのトラック」
「ノロいくせになんで追い越し車線走り続けてるんだ?」

トラックの前輪ホイールはなぜ凸で、後輪はどうして凹んでいるのか?

高速道路を走っているとき、一般(普通車)のドライバーならそう思ったことが、一度ならずあるだろう。高速道路の制限速度は、ざっくり言えば大型トラック(車両総重量8トン以上)で80km/h、それ以外の一般車両は100km/h(一部例外あり)と決められているから、大型トラックが追い越し車線に出ること自体どうなのって声もあるだろう(すべてが違反ではないけど)。しかも上記の大型トラックは、90km/hで速度リミッターが効く設定になっている。なのに、なぜ追い越し車線を走り続けるの? そんなよくある疑問というか批判に、トラックドライバーの立場から少し言わせてください。

ご存知のように大型トラックの走る目的は、荷物を運ぶこと。しかも指定の時間に間に合うよう、なるべく効率よく運行したい。また付け加えるなら、運転にストレスや疲れをためずに走りたい。積んでいる荷物を崩すような“急”のつく挙動をしたくないし、無用な変速操作もしたくない(燃費も悪くなるし)。いわば、極力速度変化を少なく、一定速でたんたんと走りたい。でも、なかなかそうは行かない。高速移動できる道路といえども、さまざまな速度で走るクルマが混ざっているからだ。

■車速を維持するのが難しい

高速道路で現実的に流れている速度レベルは大体80~100km/hだろうが、走行車線を走っているとこれを維持するのが難しい。渋滞していなくてもだ。時間に余裕のあるクルマや慎重に走るクルマは80km/h以下で走っているし(違反ではないけど)、上り坂で徐々に速度が落ちることなど意識せずに走るドライバーもいる。最近では上り坂の手前に「速度低下注意」などの表示も見受けられるけれど、要は速度一定で走れない、交通の流れを意識することに無頓着なドライバーも多いのだ。

そうした状況にさらされることの多いトラックドライバーは、それがストレスになる。前方にやけにノロノロと走っている車がいたら、速度を落としたくないから車線変更して速度を維持したくなる。積極的に追い越したいわけではない(ぶっ飛ばしたいトラックもいるかもだが…)。一定ペースの阻害から避けるために、仕方なく追い越し車線に…そう、“退避”するような気持ちで車線変更する。

なぜ、一定速にこだわるのか? 物理的に考えればわかるように、重量の重いトラックは一般車よりも制動距離が伸びて停止までに時間がかかる。また速度を元に戻す(加速する)場合でも、シフトダウンしてじわじわとしか上がっていかない。幸いにも大型トラックは着座位置が高く先方の状況は見通しやすいから、自分のトラックがどう動いたら急減速・急加速をしなくていいかを考えやすい。そこで、追い越し車線に入る場合もあるのだ。

■ストレスだらけのトラックドライバー

しかし、ここに入っても大型トラックにはストレスがある。走行車線を走るクルマの前に出るのに、90km/hの速度リミッター付きで挑むからだ。追い越しするのに時間がかかるし、最悪の場合は追い越しを完了できずに走行車線に戻る場合もある。そこで、神経の図太い大型トラックドライバーは、減速や加速を強いられがちな走行車線を走るくらいなら、自車の速度上限をそのまま維持して走り続けられる追い越し車線をベタ走りをするのだろう(違反だけど)。一般車にとっては、相当迷惑な速度レンジにもかかわらず、である。後続車両がイライラしながら詰まっていても、目をつぶって(?)我が道を行く。批判はさておき、いい度胸のドライバーもいるわけだ。

自分の場合はどうかって? できないっす。追い越し車線に出て遅い車を抜くことはあっても、なるべく後続が詰まる前に走行車線に戻りたい。大型トラックはその図体のため、後続に威圧されること(いわゆるあおり運転)は少ないけれど、自分の走りが他車のストレスを増幅させていると思うと、普通は耐えられないものだし。

でも、一般車の皆様にも流れを意識して走ってほしいと思うのだ。自分の都合で流れよりゆっくり走るとか、坂道に差し掛かっても速度が落ちる自覚がなく漫然と走る(速度維持のためアクセルを踏み増してください)とか、そんなことが少なくなれば、大型トラックが追い越し車線に入る必要はなくなるのだから。

〈文=坂 和浩〉

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みんなのコメント

333件
  • トラックが追い越し車線を走ろうがどうでもいい。
    でも、トラック同士で2車線を塞がれると、一般車はなすすべがない。
  • そのストレス以上のストレスを追い越し車線で人に与えている現実。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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