■スバルが放った“異色”の5ナンバーハッチ
自動車の歴史をたどると、OEMモデルの中にも独自の存在感を放つ個性的な一台が存在します。
【画像】超カッコいい! これがスバルの「“スポーツ”ハッチ」です! 画像で見る(20枚以上)
スバル「トレジア」も、そのような特徴を備えたOEM車のひとつでした。
トレジアは、2010年12月に発表されたコンパクトクラスのハッチバックモデルです。
全長は3995mmと5ナンバー枠に収まるサイズながら、全幅は1695mm、全高はFF車で1595mm、4WD車で1605mmと、全体的にゆとりあるプロポーションが特徴です。
ホイールベースは2550mmで、取り回しに優れたパッケージングがなされていました。
トヨタ「ラクティス」(2代目)のOEM供給を受け誕生しましたが、開発時にはスバルのスタッフも参画したといいます。
その結果、エクステリアのデザインはスバルらしさを強調する専用フロントフェイスを採用。
ボンネット先端に配されたスバルの六連星エンブレムとともに、精悍なグリルとシャープなヘッドランプで、ベース車とは異なる独自性を発揮しています。
インテリアは、コンパクトながら上質感を意識した設計となっており、ブラック基調の室内にシルバー加飾が施されるなど、洗練された雰囲気に仕上げられています。
シート表皮はグレードにより異なり、上級グレードではスポーティなアクセントが与えられていました。
また高い全高を活かした余裕ある室内空間も魅力でした。
荷室容量はVDA方式による最大値で約429リットル(2名乗車時)とされ、リアシートを倒せばさらなる大容量スペースの確保も可能です。さらに、荷室の床下にもサブトランクが設けられており、使い勝手の良さが際立っていました。
■STIが手がけた「トレジアSTI」も存在した!
トレジアのパワートレインには、1.3リッターと1.5リッターの直列4気筒DOHCエンジンが設定されていました。
1.3リッター(1NR-FE型)は最高出力95PS・最大トルク121N・mを発揮し、燃費性能を重視したグレードに搭載。
一方、1.5リッター(1NZ-FE型)は最高出力109PS・最大トルク138N・mを発揮し、よりパワフルな走りを提供しました。
トランスミッションはCVTが採用され、駆動方式はFFに加え1.5リッター車のみ4WDが選択可能です。
1.5リッターには、走りを楽しめるスポーツ仕様「TYPE EURO(タイプユーロ)」も設定されたほか、大型パノラミックガラスルーフ仕様も存在するなど、欧州のコンパクトハッチバックを思わせるグレード構成も特徴でした。
その基本性能の高さを見込まれ、デビュー直後の2011年1月開催のカスタムカーイベント「東京オートサロン2011」では、スバルのモータースポーツ部門やカスタムパーツなどを手掛けるSTI(スバルテクニカインターナショナル)が、コンセプトモデル「トレジア STIコンセプト」を出展。
STI製専用チューニングサスペンションやフレキシブルドロースティフナー(フロント)、ブレンボ製ブレーキ、専用エアロや専用シートなどで武装したホットハッチ仕様でした。
コンプリートカーとしての発売こそ実現しなかったものの、翌2012年にはエアロパーツや専用アルミホイールなどのSTIパーツが市販化されています。
一方でカタログ燃費は、1.3リッターで20.0km/L、1.5リッターで19.0km/L(ともにFF車/10・15モード燃費)と当時としては優れた数値を誇りました。4WD仕様でも18.4km/Lをマークしています。
装備面では、グレードによって内容が大きく異なっていましたが、上級グレードではHIDヘッドランプやオートエアコン、クルーズコントロール、本革巻きステアリングなどが標準装備されており、コンパクトながら上質な仕様となっていました。
また安全面では、VDC(横滑り防止装置)、SRSサイド&カーテンエアバッグ、ABS、EBD、ブレーキアシストなどを設定グレードに応じて装備しています。
発売当初の販売価格は142万8000円から197万9250円と幅広く、用途や好みに応じた選択が可能でした。
※ ※ ※
2016年3月をもって販売終了となったトレジアですが、スバルのラインアップにおいて、希少なコンパクトスポーツハッチとして独自の存在感を放ちました。
その実用性とクオリティ、そして控えめながらも主張あるデザインは、今なお一部のファンに支持されています。(佐藤 亨)
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